今回は、小国喜弘さんの
「民俗学運動と学校教育」1回目 前半を紹介します。
地域の学校である公立小中学校と民俗学は深い関係があると思っています。
歩く民俗学者、宮本常一さんが元小学校教員でありましたし、
昭和初期に流行した各地の民俗雑誌を支えたのも主に地方の教員でした。
小国喜弘さんの本はその関係を明らかにしてくれます。
出版社の案内には
「民俗の発見と国民の創出との相剋が学校教育においてどのように展開されていったのか 民俗学を手掛りとした学校教育の改革の構想とその教育実践を郷土教育・生活綴方教育
・社会科教育の個別的実践事例に則して分析,民俗の発見と国民の創出との相剋が,戦前
から戦後にかけて学校教育においてどのように展開されていったのかをあきらかにし
た。」
とあります。
今回紹介分より強く印象に残った言葉は…
・「地方における民俗学運動の最大の担い手が小学校教師」
・「『国民教育』という枠組みがどのようなナショナリズムの運動を引き起こすかを如実
に描き出している」
・「なぜ、戦前よりも戦後の方が民俗学による教育において、ナショナリズムが強く作動
してしまったのか?」
・「途絶えようとした伝承を活性化し、かつて村人達が共有してきた小さな道徳や歴史を
今一度現在に相応しいものとして再生しようとした」
もう一つ、再掲載となりますが、村上淳子さんの
「先生 本を読んで!」を載せます。
執筆当時、静岡県の中学校長、「読書指導」について知られた方でした。
ここに紹介されている本は、わたしの好きな本と重なります。
大分前によく読まれた本ですが、今読んでもいいなあと思う本だと信じます。
丘修三さんの本は特別支援教育に関わる人に読んで欲しい本です。
読むと、少し優しくなれるような気になります。
<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト
☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」
〈ふじのくに魅力ある個店〉
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆「民俗学運動と学校教育」小国喜弘 東京大学出版局 2001年 前半
◇刊行によせて 佐藤学
□国民国家の統合におけるナショナリズムの運動
□民俗学の学校教育への浸透
「民俗学」(差異化)と「国民化」(同一化)
↓
※ 矛盾に対峙した教師と子どもの葛藤と妥協の具体的様相 → 「国民教育」
□教育におけるナショナリズムの考察
「民間伝承の会」1935年 柳田国男
小学校教師の実践を事例研究
地方における民俗学運動の最大の担い手が小学校教師
民間伝承の会の名簿や講習会参加者名簿により大量の小学校教師の存在
◎「国民教育」という枠組みがどのようなナショナリズムの運動を引き起こすかを如実
に描き出している
□戦前
長野県の竹内利美
大阪府の宮本常一
青森県の三上斎太郎
□戦後
群馬県の都丸十九一
フォーク・ペダゴジー(ヴィナキュラーな教育学)
↓
※ なぜ、戦前よりも戦後の方が民俗学による教育において、ナショナリズムが強く作動
してしまったのか? (どこまでも凝縮する収縮性を特徴とする)
◇序章 主題の設定と研究の方法
1 主題の設定
1935.8 第1回日本民俗学講習会 日本青年会館
「民間伝承の会」設立
設立時会員 160名中20名以上の小学校教師
1935~44年間 3385名 職業確認445名中94名が小学校教師
戦前~戦後
小学校教師は「民間伝承の会」の地方での最も有力な担い手
宮本常一
「学校の教育」と断絶したものとして村人の生活の中に「家郷の躾」
宮本の課題
= 途絶えようとした伝承を活性化し、かつて村人達が共有してきた小さな道徳や歴史
を今一度現在に相応しいものとして再生しようとした
※ 村落の中の国民教育と対立するものとして「教育現象」を発見し、そして彼らはその
「教育現象」の価値を再評価することで学校教育を改革し、ひいては学校が制度的に依拠
している国民教育をも再構築し得る方途を模索しようとしていた
|
◎「民間伝承の会」会員による教育実践
1930年代末 一旦姿を消す
↓
1947年 社会科発足 改めて活性化
・民俗学者を中心とする教科書編纂
・学校を単位とするカリキュラムの開発
◎和歌森太郎
1949 戦後最初中等学校日本史教科書「日本の成長」
初年度100万部 全国の中学生に民俗学的歴史
◎「柳田社会科」成城学園初等学校 カリキュラム開発
しかし、日本人に同一な民俗像 (=どうしてか?)
☆「先生 本を読んで!」村上淳子 ポプラ社 1999年 【再掲載 2011.9】
<出版社の案内>
読み聞かせで、教室が変わった!「感動がこころを育てる」をモットーに、小中学校
の教師として、38年間にわたり教室で本の読み聞かせをつづけてきた著者が、その
活動を通じて出会ったさまざまな体験をもとに、読み聞かせが持つ無限の力と読書
の魅力を語る。
◇楽しい読書を求めて
□村上淳子さん
スタート
1960年 島田市中学校
1961年 焼津市中学校
「赤蛙」を読む
静岡市の中学校 読書指導の大切さ
中央図書館へ異動
静岡県立中央図書館指導主事(読書普及担当)
3年間読書普及の仕事
※ 「学校はありがたいところだ。教室に行けば生徒は座って待ってくれている。社会教
育の場は、そうはいかない」
→ 楽しい学級づくりを! 工夫ある授業づくりを!
再び教師として 志賀直哉「正義派」
親子読書
静岡県 1960年代~ 「茶の間のひととき読書」
◎齋藤隆介 「ベロ出しチョンマ」「花さき山」「三コ」
◎川村たかし 「山へ行く牛」
◎大川悦生 「おかあさんの木」「火のなかの声」
◎有島武郎 「一房の葡萄」
◎菊池寛 「入れ札」
◎芥川龍之介 「父」
◎O.ヘンリー「最後の一葉」
◎モーパッサン「首飾り」
いろいろな工夫
同じ本を四十冊揃える
・集団読書用テキスト
・教科書 → 人数分コピー
・新聞の切り抜き、コラムをプリント
「友よ」をめぐって
◎林京子 「友よ」 感動が心を育てる
「にんげんをかえせ」
◎高木敏子 「ガラスのうさぎ」
◎米倉斎加年「大人になれなかった弟たちに…」
◇中学生に読み聞かせ
わたしの思い
1996年 最後の勤務校 静岡市立南中学校長
「朝読書の時間」 → 「読み聞かせの時間」
みんなで読み聞かせをしましょう
教師に向けての読み聞かせ研修会
先生をもっと好きになっちゃった
◎丘修三 「ぼくのお姉さん」
保護者たちも巻き込んで
◎向田邦子 「字のないはがき」
何を読もうか
「15分間読み切り」
2年生で
◎「さっちゃんのまほうの手」
◎「ゆずちゃん」
◎「ラヴ・ユー・フォエバー」
◇生徒たちは変わった
◎「杜子春」で感動する子
信頼を求めて
スポーツ → 勝つことが目的ではなく自分の選んだスポーツを通して己を磨くこと
「感動が心を育てる。感動がなければ心は変わらない」
お母さんたちは
◎大川悦生 「火のなかの声」
◇「読み聞かせ」って何
読み聞かせで大切なこと
① 本が好きであること
② 読書する姿を見せること
一回に15~20分間
留意点
① 是非肉声で
② 感想は聞かない
どんな本を?
短編から
↓
物語から
↓
易しいものから → イメージ
◎イメージづくりの練習には「絵本がおすすめ」
読み聞かせの効果
① 語彙が豊富になり、覚えた言葉を文脈に沿って使用
② 思いやりの心の芽生え
③ 聞く力がつく
④ 集中力がつく
⑤ 考える力もついてくる
継続は力なり
◇おわりに
静岡県教育研究会 学校図書幹部研究部部長(静岡県SLA会長)
「教える」から「自ら学ぶ」へ
「民俗学運動と学校教育」1回目 前半を紹介します。
地域の学校である公立小中学校と民俗学は深い関係があると思っています。
歩く民俗学者、宮本常一さんが元小学校教員でありましたし、
昭和初期に流行した各地の民俗雑誌を支えたのも主に地方の教員でした。
小国喜弘さんの本はその関係を明らかにしてくれます。
出版社の案内には
「民俗の発見と国民の創出との相剋が学校教育においてどのように展開されていったのか 民俗学を手掛りとした学校教育の改革の構想とその教育実践を郷土教育・生活綴方教育
・社会科教育の個別的実践事例に則して分析,民俗の発見と国民の創出との相剋が,戦前
から戦後にかけて学校教育においてどのように展開されていったのかをあきらかにし
た。」
とあります。
今回紹介分より強く印象に残った言葉は…
・「地方における民俗学運動の最大の担い手が小学校教師」
・「『国民教育』という枠組みがどのようなナショナリズムの運動を引き起こすかを如実
に描き出している」
・「なぜ、戦前よりも戦後の方が民俗学による教育において、ナショナリズムが強く作動
してしまったのか?」
・「途絶えようとした伝承を活性化し、かつて村人達が共有してきた小さな道徳や歴史を
今一度現在に相応しいものとして再生しようとした」
もう一つ、再掲載となりますが、村上淳子さんの
「先生 本を読んで!」を載せます。
執筆当時、静岡県の中学校長、「読書指導」について知られた方でした。
ここに紹介されている本は、わたしの好きな本と重なります。
大分前によく読まれた本ですが、今読んでもいいなあと思う本だと信じます。
丘修三さんの本は特別支援教育に関わる人に読んで欲しい本です。
読むと、少し優しくなれるような気になります。
<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト
☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」
〈ふじのくに魅力ある個店〉
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆「民俗学運動と学校教育」小国喜弘 東京大学出版局 2001年 前半
◇刊行によせて 佐藤学
□国民国家の統合におけるナショナリズムの運動
□民俗学の学校教育への浸透
「民俗学」(差異化)と「国民化」(同一化)
↓
※ 矛盾に対峙した教師と子どもの葛藤と妥協の具体的様相 → 「国民教育」
□教育におけるナショナリズムの考察
「民間伝承の会」1935年 柳田国男
小学校教師の実践を事例研究
地方における民俗学運動の最大の担い手が小学校教師
民間伝承の会の名簿や講習会参加者名簿により大量の小学校教師の存在
◎「国民教育」という枠組みがどのようなナショナリズムの運動を引き起こすかを如実
に描き出している
□戦前
長野県の竹内利美
大阪府の宮本常一
青森県の三上斎太郎
□戦後
群馬県の都丸十九一
フォーク・ペダゴジー(ヴィナキュラーな教育学)
↓
※ なぜ、戦前よりも戦後の方が民俗学による教育において、ナショナリズムが強く作動
してしまったのか? (どこまでも凝縮する収縮性を特徴とする)
◇序章 主題の設定と研究の方法
1 主題の設定
1935.8 第1回日本民俗学講習会 日本青年会館
「民間伝承の会」設立
設立時会員 160名中20名以上の小学校教師
1935~44年間 3385名 職業確認445名中94名が小学校教師
戦前~戦後
小学校教師は「民間伝承の会」の地方での最も有力な担い手
宮本常一
「学校の教育」と断絶したものとして村人の生活の中に「家郷の躾」
宮本の課題
= 途絶えようとした伝承を活性化し、かつて村人達が共有してきた小さな道徳や歴史
を今一度現在に相応しいものとして再生しようとした
※ 村落の中の国民教育と対立するものとして「教育現象」を発見し、そして彼らはその
「教育現象」の価値を再評価することで学校教育を改革し、ひいては学校が制度的に依拠
している国民教育をも再構築し得る方途を模索しようとしていた
|
◎「民間伝承の会」会員による教育実践
1930年代末 一旦姿を消す
↓
1947年 社会科発足 改めて活性化
・民俗学者を中心とする教科書編纂
・学校を単位とするカリキュラムの開発
◎和歌森太郎
1949 戦後最初中等学校日本史教科書「日本の成長」
初年度100万部 全国の中学生に民俗学的歴史
◎「柳田社会科」成城学園初等学校 カリキュラム開発
しかし、日本人に同一な民俗像 (=どうしてか?)
☆「先生 本を読んで!」村上淳子 ポプラ社 1999年 【再掲載 2011.9】
<出版社の案内>
読み聞かせで、教室が変わった!「感動がこころを育てる」をモットーに、小中学校
の教師として、38年間にわたり教室で本の読み聞かせをつづけてきた著者が、その
活動を通じて出会ったさまざまな体験をもとに、読み聞かせが持つ無限の力と読書
の魅力を語る。
◇楽しい読書を求めて
□村上淳子さん
スタート
1960年 島田市中学校
1961年 焼津市中学校
「赤蛙」を読む
静岡市の中学校 読書指導の大切さ
中央図書館へ異動
静岡県立中央図書館指導主事(読書普及担当)
3年間読書普及の仕事
※ 「学校はありがたいところだ。教室に行けば生徒は座って待ってくれている。社会教
育の場は、そうはいかない」
→ 楽しい学級づくりを! 工夫ある授業づくりを!
再び教師として 志賀直哉「正義派」
親子読書
静岡県 1960年代~ 「茶の間のひととき読書」
◎齋藤隆介 「ベロ出しチョンマ」「花さき山」「三コ」
◎川村たかし 「山へ行く牛」
◎大川悦生 「おかあさんの木」「火のなかの声」
◎有島武郎 「一房の葡萄」
◎菊池寛 「入れ札」
◎芥川龍之介 「父」
◎O.ヘンリー「最後の一葉」
◎モーパッサン「首飾り」
いろいろな工夫
同じ本を四十冊揃える
・集団読書用テキスト
・教科書 → 人数分コピー
・新聞の切り抜き、コラムをプリント
「友よ」をめぐって
◎林京子 「友よ」 感動が心を育てる
「にんげんをかえせ」
◎高木敏子 「ガラスのうさぎ」
◎米倉斎加年「大人になれなかった弟たちに…」
◇中学生に読み聞かせ
わたしの思い
1996年 最後の勤務校 静岡市立南中学校長
「朝読書の時間」 → 「読み聞かせの時間」
みんなで読み聞かせをしましょう
教師に向けての読み聞かせ研修会
先生をもっと好きになっちゃった
◎丘修三 「ぼくのお姉さん」
保護者たちも巻き込んで
◎向田邦子 「字のないはがき」
何を読もうか
「15分間読み切り」
2年生で
◎「さっちゃんのまほうの手」
◎「ゆずちゃん」
◎「ラヴ・ユー・フォエバー」
◇生徒たちは変わった
◎「杜子春」で感動する子
信頼を求めて
スポーツ → 勝つことが目的ではなく自分の選んだスポーツを通して己を磨くこと
「感動が心を育てる。感動がなければ心は変わらない」
お母さんたちは
◎大川悦生 「火のなかの声」
◇「読み聞かせ」って何
読み聞かせで大切なこと
① 本が好きであること
② 読書する姿を見せること
一回に15~20分間
留意点
① 是非肉声で
② 感想は聞かない
どんな本を?
短編から
↓
物語から
↓
易しいものから → イメージ
◎イメージづくりの練習には「絵本がおすすめ」
読み聞かせの効果
① 語彙が豊富になり、覚えた言葉を文脈に沿って使用
② 思いやりの心の芽生え
③ 聞く力がつく
④ 集中力がつく
⑤ 考える力もついてくる
継続は力なり
◇おわりに
静岡県教育研究会 学校図書幹部研究部部長(静岡県SLA会長)
「教える」から「自ら学ぶ」へ