今回は、7月15日に続いて、静岡県女子師範学校郷土研究会編による
『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)18回目の紹介です。




静岡県にある羽衣出版による、すばらしい本です。


今回も、「屋敷の話」にまつわる伝説の紹介です。
採取者の女子師範学生の努力に感謝します。


一昨日、台風の強風で我が家の木の枝が折れました。
車の近くに落ちていたのですが、当たらなくてホッとしました。



<いちゆうのヒト in 浜松 vol.10>

毎年夏の恒例、浜松出身の講談師・田辺一邑さんの
「いちゆうのヒト in 浜松 vol.10」が、今夏も浜松市地域情報センターで開かれます。
今回は来年の大河ドラマいだてん特集「古橋廣之進と田畑政治」。
高田柊(ヨーヨー世界チャンピオン)さん、
田辺凌鶴さんの「金栗四三」、
田辺いちかさんの出演も!
時間があえば、ぜひお楽しみください。
  日時:8月19日(日) 開場 13:30~ 開演 14:00~
  会場 :浜松市地域情報センター ホール
  入場料:前売券 2,500円 当日券 3,000円
以下のサイトに
http://www.hcf.or.jp/calendar/detail.php?id=21422







<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。










☆『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ⑱



8 屋敷の話

(1)お化け屋敷 (浜松市八幡町)

 これは、昔、浜松の田町や肴町に家の少なかったころ、早馬の横町にあった。


 その家には一つの古井戸があって、狐を退治しては、この井戸に投げ込んでいたので、
その家に住んだ人は死に絶えてしまった。


 それでそこをお化け屋敷と呼んでいる。(金原せつ)








(2)沖の瀬御殿 (引佐郡三ケ日町)

 津々崎の南海岸より数丁(約500㍍)の間を沖の瀬と称し、浅瀬が続いているが、そ
の先端に宏大な建築物の跡とも見える石垣が、四方一町 (約1090㍍)余りの間の海
底に残されている。


 里の人は沖の瀬の御殿と呼んでいる。


 昔々、ある大名のお姫様が病気保養のため、風光絶佳の猪鼻の湖岸に宏壮な邸宅を営み、
侍女を相手に、凰の夕、雪の朝と、思いのままの生活をしていた所だという。


 美しい女達の住家とて、定めし面白いエピソードもあった事であろうが、語り伝える人
も無い。この御殿跡には、美しい魚類が多いという。


 定めしお姫様の魂ででもあろう。                 (城川てる子)







(3)たたり屋敷 (引佐郡三ケ日町)

 鵜代の札木の付近に崇り屋敷という屋敷がある。


 昔、この屋敷に住んでいた某という相当裕福な老爺があった。


 ある年の師走の夕方に、行きくれた二人連れの六部(巡礼)さんが報謝の宿を求めたけ
れど、在郷の事でと言うので、一人だけこの家へ泊めてもらって、他の一人は他の家に泊
めてもらうことになった。


 朝になって他の家に泊まった六部が、「さあ、出掛けましょうな」と札木のこの家に誘
いに来たところが、主の老爺が「私の家へ泊まった六部さんは、先刻一足先にお立ちにな
った」と言う。


 戸口に掛けた同行二人と記された笠は正しく連れの笠であるので、不思議な事だと首を
ひねりながら一人で出発してしまった。


 聞けば、老爺のところに泊まった六部は、大変小判を持っていたという事である。


 それからというもの、流石に裕福であったその家も、だんだん衰えて、土蔵も屋敷も人
手に渡して西国巡礼の旅にのぼってしまった。


 多分知らぬ他国で並木の肥になった事であろう。


 それからというものは、この屋敷へ何の関係のない誰が住んでも、どうも栄えぬという
事だ。                              (掘川てる子)