今回は 月刊誌『致知』2007年9月号より 野口芳宏さんと向山洋一さんの対談
「教育の志を取り戻せ」 1回目の紹介です。
向山さんは「TOSS」の代表として教育界で知られていますが、
その評価は様々です。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆対談「教育の志を取り戻せ」野口芳宏 向山洋一 『致知』2007年9月号 ①
◇いじめ発見、対応のシステムを確立せよ(1)
<向山>
私は現在、全国の教師が持つ優れた教育技術を集めて改良し、皆の共有財産にしていこ
うという「教育技術法則化運動」(TOSS)を推進しています。
20年以上前にこの運動を10人で始めた時、日本中で3人だけお力添えいただきたいと
思った先生がいました。
その一人が野口先生でした。
きっかけは、雑誌に紹介された野口先生の教育実践の内容でした。
「ごんぎつね」という国語の教材を使ったもので、子どもの発言に感激され、模範解答よ
り解釈が深いと締めくくられていたのです。
<野口>
教師は自分の持っている答えにたどり着かせようとして、「他にはないか?」と誘導す
るような授業をしがちです。けれども、子どもの素晴らしい発言に心を留められないよう
ではダメだと私は思うんです。
<向山>
非常に高度な授業内容でした。
私はいたく感動して、先生をお訪ねしたのです。以来私どもTOSSの先生方を随分ご指導いただきました。
野口先生はじめ、日本の教育界でも最高峰のお三方にお力添えいただいて、日本中に怖
いものはないと思いました。
<野口>
私は「本音、実感、わがハート」をモットーに、人の関心を引くようなことは極力言わ
ずにやってきました。
けれども、向山先生が私の実践に目を留めてくださったおかげで、活動の舞台が全国に
広がりました。
最初にお声がけいただいた時から、20世紀で協力関係は解消することに決めていまし
たから、15年間一緒に活動した後、向山先生は引き続きTOSSを、私は「野口塾」を立
ち上げて、それぞれの道を歩んでいるわけですが、きょうは久しぶりに教育の問題につい
て膝を交えて語り合いたいですね。
<向山>
まず気がかりなのは、いじめの問題です。
私は12年前に「いじめの構造を破壊せよ」という本に、いじめを発見するシステム、
対応するシステムが学校に必要だと書いて、そのことを訴え続けていますが、学校の現状
はその頃からほとんど改善されないままで、自殺する子も後を絶ちません。
いじめを発見するシステムは、医者の触診,問診,検査にそってお話しすれば分かりやすいと思います。触診は,教師が教室に入った時に感じる異変です。
例えば,教室に並んでいる子どもの机が、ある子のところだけ隣とほんの少しだけ離さ
れている。
いじめに遭っている子の隣の子は、机をつけていると皆から非難されるので、少しだけ
離すんです。そのわずかな隙間にいじめの兆候が現れているのです。
それ以外にも、注意すべき兆候を何項目か挙げておいて、担任に毎週報告させれば、そ
れだけでもいじめの約半分は発見できます。
もちろんその触診だけでは不十分で、次の問診に当たるのがアンケートです。よく「い
じめにあったことはありますか」という設問を見ますが、そんなこと皆の中で鉛筆の音を
させながら書けません。
「なし」「1,2回ある」「5回以上」の三択ぐらいにして丸をつけさせるんです。
そして5回以上となると何かがある。
同様に「蹴飛ばされたことはありますか」「帰る時にカバンを持たされたことはありま
すか」といった設問にも答えさせます。
そうしたアンケートを定期的に実施していれば、かなり実態が掴めてきます。
しかし、子どもは巧妙に隠しますから,それでもまだ不十分です。そのために検査ます。
これは、子どもたちが休み時間を終えて教室に戻ってきた時,全員立たせて聞くんです。
「さっちゃんと一緒に野球をやった人は座りなさい」
「次郎ちゃんと一緒に縄跳びをした人は座りなさい」
「よし子ちゃんと一緒に鉄棒をやった人は座りりなさい」
そうすると順次座っていって、最後に一人でいた子が何人か残るんです。
これを6日間やったら、ある学校では6日間ずっと一人でいた子が23人いたんです。
一番楽しいはずの休み時間に一人でいるというのは、何らかの問題をはらんでいる可能性
が高いのですが、そういう実態が相当優秀な先生でも見えていませんでした。
<野口>
なるほど。
「教育の志を取り戻せ」 1回目の紹介です。
向山さんは「TOSS」の代表として教育界で知られていますが、
その評価は様々です。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
☆対談「教育の志を取り戻せ」野口芳宏 向山洋一 『致知』2007年9月号 ①
◇いじめ発見、対応のシステムを確立せよ(1)
<向山>
私は現在、全国の教師が持つ優れた教育技術を集めて改良し、皆の共有財産にしていこ
うという「教育技術法則化運動」(TOSS)を推進しています。
20年以上前にこの運動を10人で始めた時、日本中で3人だけお力添えいただきたいと
思った先生がいました。
その一人が野口先生でした。
きっかけは、雑誌に紹介された野口先生の教育実践の内容でした。
「ごんぎつね」という国語の教材を使ったもので、子どもの発言に感激され、模範解答よ
り解釈が深いと締めくくられていたのです。
<野口>
教師は自分の持っている答えにたどり着かせようとして、「他にはないか?」と誘導す
るような授業をしがちです。けれども、子どもの素晴らしい発言に心を留められないよう
ではダメだと私は思うんです。
<向山>
非常に高度な授業内容でした。
私はいたく感動して、先生をお訪ねしたのです。以来私どもTOSSの先生方を随分ご指導いただきました。
野口先生はじめ、日本の教育界でも最高峰のお三方にお力添えいただいて、日本中に怖
いものはないと思いました。
<野口>
私は「本音、実感、わがハート」をモットーに、人の関心を引くようなことは極力言わ
ずにやってきました。
けれども、向山先生が私の実践に目を留めてくださったおかげで、活動の舞台が全国に
広がりました。
最初にお声がけいただいた時から、20世紀で協力関係は解消することに決めていまし
たから、15年間一緒に活動した後、向山先生は引き続きTOSSを、私は「野口塾」を立
ち上げて、それぞれの道を歩んでいるわけですが、きょうは久しぶりに教育の問題につい
て膝を交えて語り合いたいですね。
<向山>
まず気がかりなのは、いじめの問題です。
私は12年前に「いじめの構造を破壊せよ」という本に、いじめを発見するシステム、
対応するシステムが学校に必要だと書いて、そのことを訴え続けていますが、学校の現状
はその頃からほとんど改善されないままで、自殺する子も後を絶ちません。
いじめを発見するシステムは、医者の触診,問診,検査にそってお話しすれば分かりやすいと思います。触診は,教師が教室に入った時に感じる異変です。
例えば,教室に並んでいる子どもの机が、ある子のところだけ隣とほんの少しだけ離さ
れている。
いじめに遭っている子の隣の子は、机をつけていると皆から非難されるので、少しだけ
離すんです。そのわずかな隙間にいじめの兆候が現れているのです。
それ以外にも、注意すべき兆候を何項目か挙げておいて、担任に毎週報告させれば、そ
れだけでもいじめの約半分は発見できます。
もちろんその触診だけでは不十分で、次の問診に当たるのがアンケートです。よく「い
じめにあったことはありますか」という設問を見ますが、そんなこと皆の中で鉛筆の音を
させながら書けません。
「なし」「1,2回ある」「5回以上」の三択ぐらいにして丸をつけさせるんです。
そして5回以上となると何かがある。
同様に「蹴飛ばされたことはありますか」「帰る時にカバンを持たされたことはありま
すか」といった設問にも答えさせます。
そうしたアンケートを定期的に実施していれば、かなり実態が掴めてきます。
しかし、子どもは巧妙に隠しますから,それでもまだ不十分です。そのために検査ます。
これは、子どもたちが休み時間を終えて教室に戻ってきた時,全員立たせて聞くんです。
「さっちゃんと一緒に野球をやった人は座りなさい」
「次郎ちゃんと一緒に縄跳びをした人は座りなさい」
「よし子ちゃんと一緒に鉄棒をやった人は座りりなさい」
そうすると順次座っていって、最後に一人でいた子が何人か残るんです。
これを6日間やったら、ある学校では6日間ずっと一人でいた子が23人いたんです。
一番楽しいはずの休み時間に一人でいるというのは、何らかの問題をはらんでいる可能性
が高いのですが、そういう実態が相当優秀な先生でも見えていませんでした。
<野口>
なるほど。