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「『家栽の人』から君への遺言」毛利甚八 講談社 2015年 ② / 読書ノート「遠藤周作さんはこんなことを」21 「信じる勇気が湧いてくる本」遠藤周作 祥伝社 2002年 ①【再掲載 2014.10】 [読書記録 教育]

今日は10月7日月曜日です。

今回は、10月2日に続いて毛利甚八さんの
「『家栽の人』から君への遺言」の紹介 2回目です。


「宮本常一を歩く」(小学館 1998年)を読み、
わたしは毛利甚八さんと出合いました。
あとがきを見て、毛利さんが「家栽の人」の原作者と知りました。
テレビドラマは見たことがあるのですが、漫画が原作と知りました。


毛利甚八さんが残された少年審判への思いがあふれています。
毛利さんの強い悩みが伝わってきました。


「ブルーパージ」を本書で初めて知りました。



出版社の案内には、

「ヒット作『家栽の人』で一躍人気マンガ原作者となりながら、著者は、
その成功を素直に喜べない自分に出会う。現実離れした人物像を『家
栽の人』の主人公にしてしまったことに苦しみ、著者が突き当たった
のが、戦後の少年法が抱える問題だった。少年法への無知、無理解が、
ピント外れの少年法叩きを生む日本社会の現状を嘆く著者に、2014年
夏、末期の食道がんが見つかる。すでに肝臓、リンパ節、肺にも転移
していた…。」

とあります。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「朝日新聞連載記事に『家栽の人』の桑田判事が取り上げられて以来、
周囲の目ががらりと変わり、月1回の連載から隔週連載になった」


・「『如月会』は青年法律協議会裁判官部会のメンバーが、親睦会の形
で残った集まり。日本国憲法の理念を裁判で実現しようと活動した
 が、1970年代の『司法の冬』の時代に最高裁事務員局からさまざま
 なイジメにあった。若い裁判官が労働運動や反戦運動、安保反対運
 動に関わる事件で、国を負けさせる判決をいくつか出したことが保
 守勢力や与党自民党の逆鱗に触れたことによる」

- 前のNHKの朝ドラ『虎と翼』にブルーパージが描かれていまし
 たね


・「元気な裁判官を大都市の裁判所から放逐し地方の支部や家裁に飛ば
  すことで粛清しようとした(裁判所のランクで)。判事補1人でも
審判できる家裁は裁判官のプライドを最も傷つけられる最低の職場
としても利用される。物語主人公の桑田義雄判事は、まるで逆。最
高裁事務員局の部長クラスでもおかしくない年頃なのに家裁で楽し
そうに仕事している?」



もう一つ、再掲載になりますが、読書ノートより
「遠藤周作さんはこんなことを」21を載せます。
心に響いた言葉です。




☆「『家栽の人』から君への遺言」毛利甚八 講談社 2015年 ②

1.jpg

<原作者が迷い込んだ少年法の戦後史>
◇「家栽の人」を振り返る(2)
□孤高の王国 
  朝日新聞連載記事 
    桑田判事が取り上げられた
記事以来、周囲の目ががらりと変わった
  月1回の連載から隔週連載に


□原作ができあがるまで
  締め切りが週間に1度になった
   初日から2日目 
     トートバッグに5冊、社会学や心理学の本を入れ、江古田駅
    周辺の喫茶店をはしご
   3日夜 ~4日目 
     歌舞伎町で子どもたちの観察
   5日目     
     ワープロを机の前に置き、書けない自分にプレッシャー
   6日目     
     書けない 
      ~ アイデアがわいては否定の繰り返し
        逃亡者のような後ろめたさ
   7日目     
     頭の中に片鱗  
      → 一気に書き上げる(1日で)
   8日目     
     作品の推敲 
       夜編集者 - 原稿を読み、持ち帰る
     20ページの原作 約7,000字 小説形式 
      - シナリオよりずっと事務的 
        動作や風景の書き方を学ぶ
    → 魚戸おさむさんが20ページの絵にまとめた 
        時に涙を流しながらと聞く    

  裁判所の人と会うようになってから髭を伸ばした
    - 自分は「違う世界の人」と伝えたかった


□裁判官からの講演依頼
  裁判官グループ「如月会」
    魚戸おさむさん、山崎司弁護士、毛利さん3人で労政会館
    60人の裁判官を前に3人で壇上に
  
  「如月会」            
  - 青年法律協議会裁判官部会のメンバーが、親睦会の形で残っ
    た集まり、日本国憲法の理念を裁判で実現しようと活動したが、
    1970年代の「司法の冬」の時代に最高裁事務員局からさまざ
    まなイジメにあった
         |
    ※ 若い裁判官が労働運動や反戦運動、安保反対運動に関わる
     事件で国を負けさせる判決をいくつか出したことが保守勢力
     や与党自民党の逆鱗に触れた   

   自民党も青年法律協議会裁判官部会を批判 ※「ブルーパージ」

◎ 最高裁事務員局は弾圧を恐れ、脱退を迫った
 メンバーの任官拒否、再任拒否(10年毎の再任)

   最高裁事務局    
元気な裁判官を大都市の裁判所から放逐し地方の支部や家
     裁に飛ばすことで粛清しようとした(裁判所のランクで)

ルーキーである判事補1人でも審判できる家裁は裁判官の
     プライドで最も傷つけられる最低の職場としても利用される
↑↓
   物語主人公の桑田義雄判事は、まるで逆 
     - 最高裁事務員局の部長クラスでもおかしくない年頃なの
      に家裁で楽しそうに仕事している?

   ◎ 如月会の裁判官は物語のテーマが「抵抗」だと考えた
    = 仕掛け人を探すための講演会だった 


□大ヒット
1992年春 
   「家栽の人」テレビドラマ化の話 
     TBS木曜夜9時 1993年1月~12月
     その年の総収入は8,500万円前後 (1982年の年収は100万円)
◎悩む
    「司法の冬」「裁判官の人事差別」


□西武池袋線の高校生
   大ヒットが始まった1992年夏からの1年間が最も悩み深い時期
  だったかもしれない
  
  悩み
   ~ 「家栽の人」を書き続けるべきか辞めるべきか


□裏切り
  どこかでステージが変わってしまった 

悩み 
   ・ヒットしたことへの戸惑い
・物語と本物の裁判所との齟齬
・ネタ切れと材料不足
・泣ける話を書き続けてきたことに対する倦怠感

  ※ わがままになってしまった筆者


□多田元弁護士と若者たち
  強引に「家栽の人」を半年休んだ
「家栽の人 第二部 教育編」 
   
  ノンフィクション方式
   - 低調 1994年秋連載終了
    ◎ ヒットしてから終了までのわずかな間に、ぼくは多くの人
    を傷つけ、自身もまた深い傷を負った
    ◎ しかし、「家裁の人」を読んで法曹界に入った若者も多数






☆読書ノート「遠藤周作さんはこんなことを」21 「信じる勇気が湧いてくる本」遠藤周作 祥伝社 2002年 ①【再掲載 2014.10】
 
1.jpg


◇恋が破れる時実る時

・ 誰かを愛すると言うことは「信じよう」とする意志にほかならない。
 もしくは信じる賭けをなすことにほかならない。
                        『愛情セミナー』

・ 自分を作ることは結局自分自身がやることなのだなあと私はしみじ
 み思う。  『お茶を飲みながら』


・ 愛は情熱のように本能的に発生するのではありません。    
  - 情熱と愛との区別
愛は重い荷物を背負って長い路を歩く 『恋の絵本』


・ 恋にはそれほど烈しい努力も忍耐も克己もそして想像力もいらぬこ
 とです。だが,愛すること、それは恋のように容易しいことではな
 い。                      『愛すること』


・ 恋のように激しい炎の華やかさも彩りもないのです。その代わりに,
 長い燃え尽きない火を守るため,決意と忍耐と意志とが必要なのです。
『恋することと愛すること』
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「脱 教育ポピュリズム宣言」新堀通也 明治図書 2002年 ① /「マザーネイチャーズトーク」立花隆 新潮社 1996年【再掲載 2014.6】 [読書記録 教育]

今日は10月3日木曜日です。


今回は、新堀通也さんの
「脱 教育ポピュリズム宣言」1回目の紹介です。


出版社の案内には、

「子どもにおもねる大人、叱れない教育の結果、どんな子どもが生まれ
 たか。自己中心主義で甘えが目立ち、耐性喪失。ここから脱出する道
 を示す。」

とあります。



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「ポピュリズム、大衆迎合主義の王様は有権者(政治)消費者(経済)
  視聴者(マスコミ)」


・「教育ポピュリズムにより子どもに善悪判断力、自省心、自制力、耐
性が養われない。自己中心主義を当然とされ、『悪貨が良貨を駆逐
する』傾向に。あおりたてるのは、進歩的文化人や各種団体などの
応援団。」


・「教育ポピュリズムにより、『知識無用で教室はただの井戸端会議に
なってしまう』危険にさらされる - 竹内洋(京大)」




もう一つ、再掲載になりますが、立花隆さんの
「マザーネイチャーズトーク」を載せます。




☆「脱 教育ポピュリズム宣言」新堀通也 明治図書 2002年 ①

1.jpg

◇序・教育ポピュリズムの意味
□脱・教育ポピュリズム宣言
  ポピュリズム = 大衆迎合主義 
王様は有権者(政治)消費者(経済)視聴者(マスコミ)
下から上への迎合が上から下への迎合へ
子どもが王様、宝物、腫れ物

教育ポピュリズム
    許容社会 → 弁護社会 → 謝罪社会 

子どもに善悪判断力、自省心、自制力、耐性が養われない
自己中心主義を当然とする子どもの大衆
「悪貨が良貨を駆逐する」グレシャムの法則
◎ あおりたてるものは
進歩的文化人、各種団体などの応援団
   

□ポピュリズムとは
渡辺恒雄
    「ポピュリズム批判」博文館新社 平成11年
山内昌之(東京大学)
政治における新のエリートの不在は教育における新のエリー
    ト教育の不在の所産である
竹内洋(京大)
教育ポピュリズムにより「知識無用で教室はただの井戸端会議
    になってしまう」危険
「戦後日本の教育が悪平等主義あるいはエセ平等主義を蔓延さ
      せたために、自分の言葉で考えを表現する教養の力を人々か
      ら奪った反面、小利口な受験秀才を生み出した」


□古くて新しい現象
民主主義と繁栄の極にある国は、ポピュリズムと紙一重の危機に
  さらされる運命にある






☆「マザーネイチャーズトーク」立花隆 新潮社 1996年【再掲載 2014.6】
 
1.jpg

◇河合隼雄 「サル学」
□サルと人間の違い 
  異性間の愛情
   - 夫婦の永続性を何が支えるのか
若いときは性的なものが大切
長年続くと性的な衝動が薄れてきた
- 異性間の愛情が支えている

□サイエンス 
  あるわからなさを別の次元のわからなさに押し上げる作業

□人間は自己破壊能力を持っている 
  自殺 
   - 自己破壊は人間特有なもの
戦争
   - オーバーポピュレーション
- 究極の自己破壊
  核戦争・環境破壊は人類共通の敵

□環境破壊 
  10年前遺伝病 400ぐらい
5~6年前   2500~2600くらい
遺伝因子 環境破壊による突然変異

□先祖さんのおかげ 
  今我々があるのは自分の力でも何でもない
森林面積 日本  66.7%
カナダ 33  %
森は植物+動物  広葉樹林 → 針葉樹林

□森林  
  生産資源 環境資源 国防 
  林野行政削減
   - 森好きな人が首を切られエリート官僚は残る
文化資源

□自然教育 = 美意識の教育
  理科 + 美意識

□博物館  
  展示+収集+研究 ← 日本は展示に重点

□人間はアホウ 
  アホウで賢い  ものすごい失敗をしないと分からない
失敗したから分かる
 


◇日高敏隆 1930生・動物行動学
 エソロジー
   = 動物行動学 
チョウの道
   ~ 明るさに敏感
日本の昆虫学 
    札幌農学校 村松松年  養蚕学
チョウ
    モンシロチョウとスジグロシロチョウ
社会生物学 ソシオバイオロジー

 

◇松井孝典 1946静岡生 惑星科学
  地球上の大気にどうして酸素がたまったか
酸素と反応しないで地球の中に埋没していく炭素
なぜ21%か?
  30%だと森林火災頻繁に
 


◇多田富雄 1934 免疫学
 18世紀末 ジェンナー 種痘から
パストゥール
    「弱体化した病原菌」を注射すれば予防できる
ワクチン → 抗体(抗毒素)
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