今回は 7月28日に続いて 月刊誌『致知』2007年9月号より 
野口芳宏さんと向山洋一さんの対談 「教育の志を取り戻せ」 2回目の紹介です。


向山さんは「TOSS」の代表として 教育界で知られています。
向山さんの取り組み方 わたしは苦手です…。







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☆対談「教育の志を取り戻せ」野口芳宏 向山洋一 『致知』2007年9月号 ②



◇いじめ発見、対応のシステムを確立せよ(2)

 
<向山> 

 今度は対処のシステムです。いじめが明らかになったら、24時間以内に介入すること。
 
 介入するのは校長先生、教頭先生、生活指導の先生、学年主任と担任で、そこで責任者
を決め、具体的対策を決める。

 対策を立て、5日たっても改善が見られなければ、別の対策を立てるのです。

 そして責任者が職員会議で、「この問題は解決しました」と発言するまで対策をずっと
継続するのです。
    

 さらに、担当者がその日のうちに子どもの家へ行くのです。

「○○君、気づかなくてごめんね。先生が味方するからもう大丈夫だよ。お母さん、申し
 訳ございませんでした。この件は学校が責任を持って解決しますから、どうかご安心く
 ださい」
   
と言えば、その子も親も安心するわけですよ。


 ある中学生の自殺事件では、子どもに訴えられて一週間後にようやく対応を始めたそう
ですが、とんでもない話です。
    

 こうしたシステムをつくって学校全体で取り組めば、いじめ問題は随分改善されます。

 それができないところに、私は学校という組織の問題解決能力の低さを感じるのです。






◇弱くなっているいまの人間

<野口>

 向山先生のシステムは見事だと思いますね.
    
 私は教頭、校長の時に、悩み調査というのを子ともたちに実施していました。

 書かれたことにはこちらもきちっと対処しましたから、いじめはなくなって私は退職し
たんです。
    

 ところが、それから一年半たって中学生が恐喝をされました。

 2、3百万円というすごい額だったのですが、なんとそれが私が校長を務めた学校の卒
業生で、小学生の時から続いていたというんです。

 あれは衝撃的でした。子どもの闇の深さを見た思いでした。


 


<向山>

 本当のワルは子分にやらせたりして自分は表に出ませんしね。


 


<野口>

 ただ、私がその時思ったのは、いじめられても黙っていて、助けてもらうのをじっと待
っているのはどうかということです。

 やっぱり、困っているならそういう意思表示をしてくれなければ助けようがないわけで
す。

 もちろんいじめをなくすための努力は大切です。

 しかし私は、いじめというのはいつになってもなくならないものだと思いますし、いじ
めに負けない子を育てる教育、強さの教育というのも一方で絶対必要だと思うんです。
 




<向山>

 イギリスのベンジャミン・ディズレーリはいじめられっ子だったけれども、母親に言わ
れでボクシングで心身を鍛え、首相にまでなりました。

 人生で遭遇する様々なトラブルに、耐えられるような子どもをつくっていくことは重要
ですね。
 




<野口>

 いまの人間は非常に弱くなっています。

 これはいじめられるほうだけでなく、いじめるほうもです。

 耐える力、我慢強さがないから、すぐに行動に出てしまうわけです。
 




<向山>

 だからルールを守るという社会の基本が崩れてしまっている。

 昔は兄弟が多く、近所で遊ぶ習慣があったから、みそっかすでも泣く泣くみんなについ
ていきながら、我慢とか、ルールを学んでいました。

 だけどいまは、成長段階でそういう体験をする機会がほとんどないことも大きいですね。