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「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ③ [読書記録 一般]

「『日本が西洋に後れを取っている』=この認識がすべて」
「西洋が2世紀かかって到達したものを,日本はその1/10の20年間でどうにか獲得
 してしまった」



今回は 2月18日に続いて 社会学者 加藤秀俊さんの
「加藤秀俊著作集3」の紹介 3回目です



加藤秀俊さんの本 身近な学問を感じさせてくれます



出版社の案内には

「著者加藤秀俊氏は、現代の生きた諸問題に挑戦する意欲に満ち溢れている。行動的に世
 界中を駆け巡る個性的な社会科学者である。現代に生きることへの責任を行動をもって
 果たしたからである。 」

とあります



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「西洋への傾倒 = 日本のエネルギー源
西洋を敵視し,それを拒否したことでついに近代国家になり得なかった社会がいくつ
 もあった」


・「日本 自主的市民を待つだけのゆとりがなかった」


・「企業にとっておもしろみがあるのは政府権力に密着すること          
  = 政商が中心的役割」


・「政府がスターターを回して,それを有利な条件で民間に引き継いだとしても,引き継
 ぐだけの能力と資本が日本にはあった」




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☆「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ③

1.JPG

◇日本の百年

○西洋の衝撃

(1)日本の百年

 アメリ「発見」カ - 太平洋航路 対中国貿易の寄港地

 = 日本の港は世界地図を完結させる最後の一筆


 ペリー 
  1853年 必ずしも友好的ではなかった
  政権交代によって方針が変わった

  1854年以後
  イギリス,ロシア 同時に発見された



  日本の自己発見の歴史
「日本が西洋に後れを取っている」=この認識がすべて




(2)西洋化の道

 命題 … 日本も西洋のごとくあるべし

「文明開化」風俗,挙措動作,行動様式,社会制度



 明治初年~10年
西洋に倣った社会制度の変革

適応力~直感力・行動力


 「天皇によって」明治6年 天皇の断髪

明治5年 天皇の肉食


 明治16年 鹿鳴館
官費留学生 お雇い外国人800人


 西洋への傾倒 = 日本のエネルギー源
西洋を敵視し,それを拒否したことでついに近代国家になり得なかった社会がいく
  つもあった



○工業化を目指して

(1)2世紀 VS 20年

  19世紀半ばに姿を現した西洋は2世紀に渡る社会変革



留学生 お雇い外国人



※ 西洋が2世紀かかって到達したものを,日本はその1/10の20年間でどうに
   か獲得してしまった


  西洋の産業革命は市民革命とペア
市民(ブルジョア)在来権力への反逆者

↑↓

日本 自主的市民を待つだけのゆとりがなかった



  市民の代用品をこしらえる=政府権力
スターターは政府
エンジンが回転し始めると民間に譲り渡す

三菱 航路運賃赤字分を政府が穴埋め → 払い下げ

    財閥… 民間会社には違いないが,そのスタートの点で押さえて見るなら,明ら
       かに政府の権力と結びついていた 

          ∥

  企業にとっておもしろみがあるのは政府権力に密着すること          
    = 政商が中心的役割

上からの革命はやむを得なかった
注意すべき問題

① 政府のイニシアチブによる工業化が近代国家として「歪んだ」ものだとは必ずし
   も言えない

違ってはいた 政府がスターター

  ② 政府がスターターを回して,それを有利な条件で民間に引き継いだとしても,引
   き継ぐだけの能力と資本が日本にはあった

↑↓

  現在の未開発地域とは違う
国際資本が多量に投資されスターターとなるが,引き継ぐもの出現しない

   = 日本には甘い汁を吸う能力のある政商が存在し得た


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