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(1)「子どもの本のカレンダー」鳥越信・生駒幸子 創元社 2009年 ⑨  (2)「笑い声に包まれた旅立ち」 三谷幸喜 『2011 ベスト・エッセイ』光村図書 より⑩ [読書記録 一般]

今回は 8月1日に続いて 鳥越信さん 生駒幸子さんの
「子どもの本のカレンダー」の紹介 9回目 9月の本のカレンダーです


出版社の案内には

「『自分の誕生日が出てくるお話の本が読みたい』九州のとある公共図書館への子ど
 ものリクエストに応えて、1年間366日毎日の日付の入った子どもの本を紹介する。
『○○ちゃんのお誕生日の本はどれかな?』『次はお父さんのお誕生日の本を読んで
 みようか』会話が広がり、自然と本好きになる楽しい本。本書は、1996年にゆまに
 書房で刊行されたもののリニューアル版。紹介する本を、現在書店や図書館で入手
 可能な本に改めた。」

とあります


おもしろい視点で本が紹介されています



もう一つ 『2011 ベストエッセイ』より 三谷幸喜さんの
「笑い声に包まれた旅立ち」を紹介します
『ベストエッセイ』シリーズは 大変楽しむことができる本です




※浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー
 ものづくりの街 浜松
 行くたびに新しい感動が得られる 山田卓司さんの世界
 山田卓司さんの作品を見ることができます
 詳しいことはホームページをご覧になってください
 ホームページにも魅力がいっぱい詰まっています
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(1)「子どもの本のカレンダー」鳥越信・生駒幸子 創元社 2009年 ⑨

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◇9月  

2日 「さりさりと雪の降る日祈りの日」 山本なおこ 銀の鈴社 1996年


 4日 「風の又三郎」 宮澤賢治 偕成社 2007年


 5日 「人間 野口英世」 秋元寿恵夫 偕成社 1983年


 7日 「赤い靴下」 エルフィー・ドネリー さ・え・ら書房 1992年 老人性認知症


10日 「伊能忠敬」 鈴木喜代春 岩崎書店 1999年


11日 「救助犬ベア」 スコット・シールズ ナンシー・ウェスト 金の星社 2005年


14日 「先生志願」 奥田継夫 ポプラ社 教育実習


16日 「仕事ばんざい」  ランベルト・バンキ 中央公論社 1992年


25日 「こちら地球防衛軍」 さとうまきこ 講談社 2000年


26日 「午後6時ののろい」 日本児童文学者協会 偕成社 1991年










(2)「笑い声に包まれた旅立ち」 三谷幸喜 『2011 ベスト・エッセイ』光村図書 より⑩

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 去年の暮れに祖母が94歳で他界した。

 世田谷の家で、母と二人暮らしをしていた祖母。あまりの元気ぶりに、ひょっとし
たら永遠に生き続けるのではないかと思われていたが、最期はあっけなかった。

 病院嫌いのはずなのに、よほど身体がきつかったのか、自分から入院すると旨い出
した。

 検査の結果は、肺がん。

 既に手術は無理な状態で、年齢的なことを考えると抗がん剤も難しかった。入院し
てから9日後の朝に容態が急変した。


 5人の子供たちに見守られ(子供と言っても全員60歳以上だが)、眩いばかりの
朝日に包まれて、祖母は静かに息を引き取った。


 その光景は、僕ら親族が、いずれ訪れる祖母の最期の、こうであったらいいなと漠
然と思っていたイメージに限りなく近かったような気がする。

 別れが近付いた時、一族が枕元に並んで順番に別れを告げた。


 まず長女である母が、祖母に感謝の言葉を述べた。

 それから年齢の高い順に並んだ母の弟妹たちが、それぞれの思いを祖母の耳元で語
った。ひとつひとつの言葉に重みがあり、まるで優れた舞台劇を観ているようだった。


 4番目の叔父の番になった時、彼はしばし悩んでから

「うーん、全部先に言われて、もう言うことがない」

とぼやいた。

 病室内の空気が一瞬にして柔らかくなった。それ以降は、なんとなく面白いことを
言わないといけないような雰囲気で、僕ら孫たちの番になった時はもはや、お題が
「ユニークな別れの言葉」の若手芸人大喜利みたいになっていた。

 初期の感動的なシーンはどこへやら。母までもが

「そうだ、もうひとつ言うことがあった」

と再び列に並んだりと、もうやりたい放題。

 どんな時も感動のまま終わらず、最後は笑い声で締めるあたりが、我が家らしかっ
た。


 僕は子供の頃、祖父母と暮らしていた時期が長かったので、性格や趣味嗜好には祖
母の影響が大きい。


 使ったものを元へ戻さない、自分が食べているものをやたら人に食べさせたがる。
それはすべて、妻に指摘されて初めて気づいた、僕と祖母の共通項だ。

 靴下をいつも半足だけなくしてしまうところまで、そっくりだった。


 祖母が他界した後、遺影用の写真を選ぶため、僕だけ先に実家に帰った。

 祖母のベッドの枕元に旧式のゲームボーイを見つけた。

 10年以上前に僕が買ってあげたもの。祖母はこれでオセロをやり続けた。他のゲ
ームには目もくれず。そして彼女の言葉を信じれば、常に勝ち続けた。

 そんなところも僕に似ている。凝り性なところ、そして一つの事にこだわり続ける
ところ。


 スイッチを入れると、祖母の対戦相手たちが画面上に勢揃いした。

 彼らは、いつもとは違う人間に呼び出され、心なしか戸惑っているように見えた。

 僕は祖母の死を伝え、そして一番弱そうな女子高生キャラを選んで、祖母を偲んで
追悼試合を行った。

 完敗だった。

 めちゃくちゃ強い。

 こんな奴らを相手に、祖母は日々戦っていたのか。


 長年祖母の相手をしてくれていたその少女に感謝の言葉を述べ、僕は静かに電源を
切った。
            みたに・こうき(劇作家)「朝日新聞」1月8日・夕刊


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コメント 4

ojioji

三谷幸喜さんの、亡くなられた祖母のお話し、じーんとしました。
よいお話しをここで知ることができて、ありがとうございます。
ぜひ紹介させてくたさい。

小生の祖母は、九十歳近くになってもひとりで電気カートに乗って地元の町営?温泉に浸かりに出かけていたそうです。その温泉の湯船に浮いていたのを発見されるという傍迷惑な最期^^;でした。が、実はさいこうに羨ましい死に方だなあと密かに思いました。
by ojioji (2014-09-01 08:14) 

ハマコウ

ojioji さん ありがとうございます

いろいろな雑誌 新聞等から集めたエッセイ集 ベスト・エッセイ
びっくりする話 じんとする話 面白い話が詰まっている本 好きです

よい人生だったのだろうなと思います ojioji さんのおばあさまもそうですが
by ハマコウ (2014-09-01 22:06) 

ディブ松本

「子どもの本のカレンダー」楽しそうな本ですね
早速、アマゾンに注文します
by ディブ松本 (2014-09-01 22:17) 

ハマコウ

ディブ松本 さん 励ましの言葉をありがとうございます

一冊ずつ丁寧な解説もあり わたしは思わず読みたくなってしまいました
by ハマコウ (2014-09-02 04:08) 

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