「過労死防止基本法の制定運動」 大阪大学大学院教授 小野田正利 (『内外教育』2012年4月13日号「普通の教師が生きる学校-モンスター・ペアレント論を超えて」より) [読書記録 教育]
今回は 4月13日発行の教育紙『内外教育』より
小野田正利(大阪大学大学院教授)の連載
『普通の教師が生きる学校-モンスター・ペアレント論を超えて』より
「過労死防止基本法の制定運動」を紹介します
勤務校の教務主任が毎日出してくれている日報に紹介されていました
いつごろからでしょうか 夜遅くまで残る職員が多くなったのは
子どもたちと触れ合う時間は少なくなったのに
それ以外の仕事が増えてきました
本文にあるように
文科省が呼ぶ「教育改革」が進められてから
また パソコンが行き渡ってからでしょうか
12時間以上学校にいることが当たり前のようになっています
わたしの身近にも2人の休職者がいます
まじめに頑張ろうとしているのに
このままで いいのでしょうか
このことは教職員の世界だけでなく
どの職場にも当てはまるようになっているのではないでしょうか
「健やかな身体康らかな心」
どの職業人も健康でいられるような日本を今つくらないと
子どもたちの世代 その次の世代に苦労させることになってしまいます
労基法によって本当に守られているのだろうかと思うことが多々あります
就職運動中の学生は労働環境のよくない職場を知っています
しかし だれかがそこで働くようになってしまいます
自分とは関係ないからでいいのでしょうか
「過労死防止基本法」
成立して 実際に守られるようになることを切に願います
☆「過労死防止基本法の制定運動」
大阪大学大学院教授 小野田正利
(『内外教育』2012年4月13日号「普通の教師が生きる学校-モンスター・ペアレント論
を超えて」より)
◇ポイント
① 働く意義と、人間の尊さを両立させることが難しくなってしまった国・ニッポン
② 働く教師、教え子を社会に送り出す教師として、この事実を受け止めてほしい
③ 今、過労死防止基本法の制定を求める運動が進められている
◇父さんが死んでしまう前の日に
《大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシーンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや》
「ぼくの夢」と題されたこの詩は、父親を過労自殺で亡くしたマーくん(当時小学校1
年生)が書いたものだ。
これを前面に出しながら、今、全国各地で、過労死防止基本法の制定のための運動が展
開されていることをご存じだろうか。
「いのちより、家族より、大事な仕事って、何ですか?」
◇人間の尊厳のために
私は次のようなメーツセージを寄せた。
○○○○○
私は教育学者の一人として、学校や教師達の働きぶりや生活実態を調査してきました。
今の学校と教職員は過労死水準をはるかに超えています。
朝早くから夜遅くまで、土日も部活指導で馬車馬のように働いていて、アップアップの
状態にあります。2つの数字がそのことを物語っています。
① 業務の拡大と複雑化が進行し、病み倒れていく者はあとをたちません。公立学校に限
定した数字ですが、病気休職者8000入超、うち精神性疾患5000入超の背後には、
その3倍ほどの2~3か月の病気休暇者がおり、さらに数倍の危険水域にある者がいる
と思われます。
そして毎年100人近い教員が自殺しているとされます。
② 1971年からの教職調整手当は、残業時間はどれだけあっても、月額で本給に対し
て4%上乗せをすることで打ち切りとなっています。
当時は月平均で8時間の残業だったからです。
しかし2006年の調査結果は、1日の労働時間ですら11時間。これだけで、いか
に無茶な実態であるかか分かるでしょう。
必至で善であると進められてきた矢継ぎ早の「教育改革」の嵐(教育改革病)は、確実に
教師から「子どもと触れ合い向き合う=教師としての自信を取り戻す時間」を奪っていっ
た。
そして、本来は協業文化で子どもを見ていたものが、個業から孤業へと移りゆきます。
極限的多忙から、疲労感、徒労感が、その身を包んでいます。
民間企業もおかしい、公務労働もおかしい状態がまかり通ることは、社会の危機と思い
ます。ぜひ「過労死防止基本法」を制定する緊急性があると強く思います。人間の尊厳のために
○○○○○
過労死防止基本法は、
① 過労死はあってはならないことを、国が宣言する
② 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にする
③ 国は、過労死に間する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行う
ことを求めている。
過労死防止基本法については、インターネットの検索サイトで「過労死防止基本法の制
定をめざす実行委員会」のホームページにアクセスしていただければ、詳細な情報と署名
用紙のダウンロードが可能なので、ぜひ広めていただくことをお願いしたい。
それは私たちの問題だけでなく、私たちにつながる人々の問題でもあり、これから生ま
れ来る次の世代への財産でもあると思うから。
小野田正利(大阪大学大学院教授)の連載
『普通の教師が生きる学校-モンスター・ペアレント論を超えて』より
「過労死防止基本法の制定運動」を紹介します
勤務校の教務主任が毎日出してくれている日報に紹介されていました
いつごろからでしょうか 夜遅くまで残る職員が多くなったのは
子どもたちと触れ合う時間は少なくなったのに
それ以外の仕事が増えてきました
本文にあるように
文科省が呼ぶ「教育改革」が進められてから
また パソコンが行き渡ってからでしょうか
12時間以上学校にいることが当たり前のようになっています
わたしの身近にも2人の休職者がいます
まじめに頑張ろうとしているのに
このままで いいのでしょうか
このことは教職員の世界だけでなく
どの職場にも当てはまるようになっているのではないでしょうか
「健やかな身体康らかな心」
どの職業人も健康でいられるような日本を今つくらないと
子どもたちの世代 その次の世代に苦労させることになってしまいます
労基法によって本当に守られているのだろうかと思うことが多々あります
就職運動中の学生は労働環境のよくない職場を知っています
しかし だれかがそこで働くようになってしまいます
自分とは関係ないからでいいのでしょうか
「過労死防止基本法」
成立して 実際に守られるようになることを切に願います
☆「過労死防止基本法の制定運動」
大阪大学大学院教授 小野田正利
(『内外教育』2012年4月13日号「普通の教師が生きる学校-モンスター・ペアレント論
を超えて」より)
◇ポイント
① 働く意義と、人間の尊さを両立させることが難しくなってしまった国・ニッポン
② 働く教師、教え子を社会に送り出す教師として、この事実を受け止めてほしい
③ 今、過労死防止基本法の制定を求める運動が進められている
◇父さんが死んでしまう前の日に
《大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシーンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや》
「ぼくの夢」と題されたこの詩は、父親を過労自殺で亡くしたマーくん(当時小学校1
年生)が書いたものだ。
これを前面に出しながら、今、全国各地で、過労死防止基本法の制定のための運動が展
開されていることをご存じだろうか。
「いのちより、家族より、大事な仕事って、何ですか?」
◇人間の尊厳のために
私は次のようなメーツセージを寄せた。
○○○○○
私は教育学者の一人として、学校や教師達の働きぶりや生活実態を調査してきました。
今の学校と教職員は過労死水準をはるかに超えています。
朝早くから夜遅くまで、土日も部活指導で馬車馬のように働いていて、アップアップの
状態にあります。2つの数字がそのことを物語っています。
① 業務の拡大と複雑化が進行し、病み倒れていく者はあとをたちません。公立学校に限
定した数字ですが、病気休職者8000入超、うち精神性疾患5000入超の背後には、
その3倍ほどの2~3か月の病気休暇者がおり、さらに数倍の危険水域にある者がいる
と思われます。
そして毎年100人近い教員が自殺しているとされます。
② 1971年からの教職調整手当は、残業時間はどれだけあっても、月額で本給に対し
て4%上乗せをすることで打ち切りとなっています。
当時は月平均で8時間の残業だったからです。
しかし2006年の調査結果は、1日の労働時間ですら11時間。これだけで、いか
に無茶な実態であるかか分かるでしょう。
必至で善であると進められてきた矢継ぎ早の「教育改革」の嵐(教育改革病)は、確実に
教師から「子どもと触れ合い向き合う=教師としての自信を取り戻す時間」を奪っていっ
た。
そして、本来は協業文化で子どもを見ていたものが、個業から孤業へと移りゆきます。
極限的多忙から、疲労感、徒労感が、その身を包んでいます。
民間企業もおかしい、公務労働もおかしい状態がまかり通ることは、社会の危機と思い
ます。ぜひ「過労死防止基本法」を制定する緊急性があると強く思います。人間の尊厳のために
○○○○○
過労死防止基本法は、
① 過労死はあってはならないことを、国が宣言する
② 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にする
③ 国は、過労死に間する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行う
ことを求めている。
過労死防止基本法については、インターネットの検索サイトで「過労死防止基本法の制
定をめざす実行委員会」のホームページにアクセスしていただければ、詳細な情報と署名
用紙のダウンロードが可能なので、ぜひ広めていただくことをお願いしたい。
それは私たちの問題だけでなく、私たちにつながる人々の問題でもあり、これから生ま
れ来る次の世代への財産でもあると思うから。
おはようございます。
過労死問題は難しい問題ですね。民間と公務員とでは、違う事もあるでしょうし、管理職と一般職員や、個人の資質でもまた、問題が違うかも知れませんね。
私は今、横浜市内の自治会役員をしていますが、連合自治会の総会や定例会に区職員や小・中学校(管理職)の出席が昨年から、実施されています。
これなども、今までの業務(職務)以外に増やされた仕事とおもいますが、これまで、になかったことです。
社会全体が変容してきているなかで、何が真理(本分)かを見極めなければならないのに、それに向っての人間としての行動がなされていないのではないかと考えています。
私の学校教育(特に小・中学校)の考え方は、昔の「寺子屋」で教えていた「読み、書き、そろばん」の知識(小学校5年生ぐらい)を教えるだけで良いのではとも考えています。教師はその中で、社会通念の(道徳や躾)を実践するのが、知識以外の「教え」として子供達に学ばせる事では、ないかと考えます。
クラブ活動(学校外教育)の顧問や子供個人の躾や道徳などの教えはそれこそ各家庭や地域の問題であり、学校はそれを実践する場と考えます。・・・・・・・・これ以上はきりがありませんので書き込みしませんが、問題を複雑にしないで、真理(本分)はなにかと考え、それに向っての人間の生き方を導きださなければならないのでは、ないでしょうか。
・・・・・・それにしても難しい問題です。
by dentoukokesi (2012-04-24 09:52)
dentoukokesi さん 丁寧なコメントをありがとうございます
学校がやることがすべてではありません
家庭 地域 学校とそれぞれで子どもの場があるはずです
子どもにとって大切なことは何か
複雑に考えすぎないことも大切ですね
民間 公務員関係なく 健康・いのちが大切にされる場であってほしいと願います
難しいテーマですね
by ハマコウ (2012-04-24 19:43)
民間は民間でいろいろありますが、外部から見ても教員って子供を教える以外の雑用が多くなっているなぁと思いますよ。そして、いろいろな規制がかかってしまってたいへんだなぁと思いますよ。しかも良くも悪くも教員になられる方はまじめな方が多いので尚更ですよね。
by おれんじわに (2012-04-24 22:10)
おれんじわに さん いつもありがとうございます
教員は教員独特のにおいがあるといわれますが
そうだなと思うこともあります
「働き方」に これから視点が当てられるような気がします
by ハマコウ (2012-04-24 22:47)