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「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ② [読書記録 一般]

「『歴史学』は上澄みをよりどころにして成立した学問=エリートの思想と行動の軌跡」
「上澄みは上澄みで結構。しかし,少なくともそれと並んで熱い沈殿層にも目を向けな
ければならない」

わたしも文献史学より 無文字層の歴史-考古学・民俗学に興味があります


今回は 2月15日に続いて 社会学者 加藤秀俊さんの
「加藤秀俊著作集3」の紹介 2回目です



加藤秀俊さんの本は 新しく知ることばかり 大変勉強になります



出版社の案内には

「著者加藤秀俊氏は、現代の生きた諸問題に挑戦する意欲に満ち溢れている。行動的に世
 界中を駆け巡る個性的な社会科学者である。現代に生きることへの責任を行動をもって
 果たしたからである。 」

とあります



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「歴史学 … 社会の頂点に立つ人々=上澄みをよりどころにした学問」
「民俗学 … 沈殿した記憶の歴史に照明 常民が主人公 ~ 世相史」

・「世相史 - ぼさぼさした個別的事実の集合体-小さな経験とその産物」

・「常民の変化  ~ 自らの手で記録が可能に」
「常民の成長が早かった」





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☆「加藤秀俊著作集3」中央公論社 1981年 ②

1.JPG

◇世相史研究序説

□文字にならない歴史

 記憶の保存 
   口承の伝承 → 文字の伝承


 「歴史」 = 記憶に対する恐るべき執念の集積


 偏りがある - 社会の頂点に立つことのできた限られた人々



  数十億の人間の殆どすべては,誰にも知られないまま,不快沈殿層をつくっている。
 その上に文字になった記録が薄い上澄み部分をつくってのっかっている。

 「歴史学」は上澄みをよりどころにして成立した学問
 
             ∥

  エリートの思想と行動の軌跡



  しかし,それだけを歴史と考えるのは間違いではないか?



上澄みは上澄みで結構。しかし,少なくともそれと並んで熱い沈殿層にも目を向けな
ければならない





□正史と稗史


 ○歴史学 … 社会の頂点に立つ人々=上澄みをよりどころにした学問

   政治性

       正史 政治史を以てその主流とすべき


 ○民俗学 … 沈殿した記憶の歴史に照明

       常民が主人公 ~ 世相史



 「正史家」
    物事を因果の網の目で説明する



網の目に乗らないものは偶発的・例外的
切り落とす=植木屋の職人のごとき


 
  稗史  
    因果律にも法則的にも別段興味を持たない = 自然観察家

行き当たりばったり 事実の寄せ集め



  世相史 
    ぼさぼさした個別的事実の集合体

  小さな経験とその産物





□市井のジャーナリズム

 常民の変化
   ~ 自らの手で記録が可能に

新聞の誕生 ~ 日録(ジャーナル)

 ①市井の記録家
江戸期 西沢一鳳,喜多村信節,神沢卓幹,浜松歌国 -随筆 

    菅江真澄,橘南渓             -旅行家

鈴木牧之 -雪国博物誌


   場期末・明治  服部誠一,菊池貴一郎,宮武外骨,石井研堂



 ②常民の成長が早かった
江戸・大阪・京都  寺子屋-普通教育

武官優位 → 文官優位 → 浮浪・有閑知識人=自由なインテリ



 ③日本人の大多数は世俗的-即物的関心
18 ~ 今世紀 

   稗史材料は優れている(他国に比べて)

  = 世相史は日本史しかつくれない





□世相史の確立に向かって

 歴史学徒としての世相史学,世相史方法論の確立
  ~ 記録保全
民具,常民の記録



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