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「若者はなぜ就職できなくなったのか」 児美川 孝一郎 日本図書センター 2011年 ③(最終) /「人間形成の論理」上田薫 黎明書房 1985年 ①【再掲載 2017.1】 [読書記録 一般]

今日は5月6日、月曜日です。


今回は、5月3日に続いて、児美川孝一郎さんの
「若者はなぜ就職できなくなったのか」の紹介3回目 最終です。


出版社の案内には、

「『就職内定率』悪化、下落率は過去最大、もはや勝ち組ではない、燃え
尽きる『正社員』、 技術を得る機会を与えられない『非正規労働者』、
『職業的レリバン』」の低い教育を続ける学校現場・・・。『日本的雇用』
『新規学卒就職モデル』の崩壊をきっかけに、就職できない若者があ
ふれるニッポン社会。いま、学校や親には何ができるのか?若者たち
は何を知るべきなのか?ルール無き時代を生き抜くための『リアルな
入門書』が遂に登場。」

とあります。



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「日本的雇用-①終身雇用(長期雇用) ②年功序列型賃金 ③企業別
労働組合」


・「急ごしらえのキャリア教育・支援ではなぜダメなのかといえば構造的
把握がなされていないから、つまり『勝ち組』の勧めをしているから」 


・「雇用慣行や労働法則が企業の側の都合によってのみ変わるというの
では労働者の幸せが保証されるはずがない」


・「絶対数が決まっているから、仮に正社員になれなかった者に対して、そ
れを本人の『自己責任』に帰すのはあまりにも酷い」


・「『正社員=勝ち組』ではない」



もう一つ、再掲載になりますが、上田薫さんの
「人間形成の論理」①を載せます。




☆「若者はなぜ就職できなくなったのか」 児美川 孝一郎 日本図書センター 2011年 ③(最終)

1.jpg

◇「新規学卒一括採用」の功と罪 -1980年代の就職模様-
新規学卒採用  
    他には「既卒者採用」「通年採用」「非正規雇用」
欧米諸国にはない

  高校はどう就職斡旋していたか  
    ひとり一社主義

  就職斡旋システムの副産物  
    学業成績に基づく 
     → 学習のモチベーション維持

大学生の就職ルートは?

新規学卒一括採用から「日本的雇用」へ
日本的雇用
      ① 終身雇用(長期雇用) 
      ② 年功序列型賃金 
      ③ 企業別労働組合

  日本的就職プロセスの光と影  
    日本的雇用にも

  日本的雇用は「安全なあり地獄」?
    リスク弊害もある

  職業的レリバンスの低い学校教育

  従来型の就職プロセスを超えて


◇仕事の世界へのわたりを支援する学校教育の問題
急ごしらえのキャリア教育・支援ではなぜダメなのか
構造的把握がなされていないから
     = ※「勝ち組」のすすめをしているから 
(間口がかなり狭いのを分かった上で)
メッセージ
「若年労働市場の現実は厳しいかもしれないけれど、頑張って
      正社員になること、そのために努力することが、あなた自身
      にとっても得策なのだよ」
     = 学校では未だに「正社員モデル」しか勧めていない

◎ 同一価値労働・同一賃金  
        オランダモデル
        「ワーク・ライフ・バランス」の実現 
◎ 雇用慣行や労働法則が企業の側の都合によってのみ変わると
     いうのでは労働者の幸せが保証されるはずがない
- 適応の論理が先に立っている

正社員という勝ち組の虚と実
正社員の世界のしんどさ
× 「名ばかり正社員」「なんちゃって正社員」
 週60時間以上働かせ、定昇やボーナスもないケースも珍し
     くない
    <ブラック企業> 
      = 使い捨ての正社員
<長時間過密労働> 
      日本 長時間過密労働が常態化している
        → グローバル化
          仕事のオンオフのけじめが付かない     
◎「正社員=勝ち組」ではない
◎ 大切 
      - 身構え+自分を守る術
  
見落とされた正社員以外の進路
※ 絶対数が決まっているから、仮に正社員になれなかった者に
     対して、それを本人の「自己責任」に帰すのはあまりにも酷い

若者たちの意識と論理
なぜフリーターが容認されるのか
      → アルバイトとして正社員のしんどさを知っている

「自分」から出発しないキャリアガイダンス

  社会理解、就職理解こそが出発点

  労働者の権利、そして働く場のルール

  支援の鍵を握る職業的レリバンス

中長期視点から追究すべき課題
   - 学校制度改革
   <小中> ◎普通教育としての技術教育

  労働市場の改革と生涯学習社会へ






☆「人間形成の論理」上田薫 黎明書房 1985年 ①【再掲載 2017.1】

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◇注入主義
□注入主義への郷愁

□2つの注入主義 
  注意 ≠ 与えること 
    ① 保守的な注入主義 - 都合のよい物だけ
 ② 進歩的な注入主義
 ③ 事実の押しつけ  - 無立場という迷彩
   ◎今日正しいとされる知識も明日は誤りとされることを覚悟

   知識の相対性  
    知識は発展するためのものである 
      注入 = 知識の奴隷
    注入 = 絶対主義
      注入 = 暴力    


◇系統主義との対決
□系統主義とは何か 
  系統主義 
   = 学問的な系統主義的知識の注入に基礎
  ◎ 無恥で不遜な絶対的安定感(=正しい教育の最大の敵)

□系統はどこに成立するか
 知識は子どもがそれを系統的に働かすことができるとき初めて真に
  系統的なのである 
    <系統が実現するのは子どもの中>
   ・基準の選択が介入してきている
 ・公約数はあくまで公約数にしか過ぎない
系統と主体
   系統の成立には選択が働く価値観が作用する  
       注入 = 知識圧殺


◇オプティミズムの害毒
□経験主義への論難  
  動的相対主義

□一般と特殊  
  「水道方式」一般から特殊へ
  水道方式はあくまでも「計算の世界」で

□法則固定の問題 
  川合章『教授=学習過程』 
    科学の相対性の確認不徹底

□新しい普遍  
  経験主義
   - 「計画性を欠く」「指導性に乏しい」
   ◎ 確かさにしがみつくことこそ系統主義の致命的弱点
経験主義は動く系統を重んじる
   「働く世界」「手がかりの世界」
  「真にリアルに普遍を探求する立場」


◇「かのように」からの脱出
1 教師の特権としてのきめ手と言うこと
□昭和33年夏 社会科の初志を貫く会
「いかなる意味での注入を完全に排除すること」
◎「教育内容を与えることに関して何のためらいもない」
     -「与えることを除いて教育が成立するのだろうか」
  子どものものとなり働くということが真に与えたと言うこと
  注入 
   「教師が教育内容の背後に固定させられた真理を意識し、従ってそ
    れを絶対化して子どもに与えようとする場合」
↑↓
  相対的な内容を相対的な立場で与えるのは決して注入ではない
   「子どもがどう動いたか」「どう変わったか」が決め手

2 やむにやまれず戦うと言うこと
□上意下達(伝達講習)のみで下意上達はない(=有形無形の圧迫)

□絶対主義の泥沼に落ちぬと言うこと
教育が政治に振り回されている

□社会事象に立ち入ると言うこと

□ひっくり返しの連続と言うこと
事実を重んじよ
   - 教育はひっくりかえしの連続
  ◎「子どもをどこまでも納得させてやることが正しい社会科の指導で
    ある」 
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