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「地域住民から福祉・教育関係者等への無理難題要求をどう読み解き対応するか」~イチャモン研究の到達点~  大阪大学教授 小野田正利 2008年 ⑪ [読書記録 教育]

今回は 11月22日に続いて 小野田正利さんの講演
「地域住民から福祉・教育関係者等への無理難題要求をどう読み解き対応するか」
11回目の紹介です


大阪大学教授の小野田さんが「イチャモン」を通して 
現代の社会の課題をあぶり出してくれます


今回紹介した 「(5)モンスターではない!」では
「モンスター」としてとらえてしまうことの危険性を知ることができます


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「社会全休の風潮が『言ったもん勝ち』そして『言わなソン』という傾向を強めてい
  るのです。」
- 言った人だけ得をする そのような場面が増えているように感じます 

・「何かコトがあれば『あいつが悪い』と国民総出で叩きまくり、過激で暴力的な言い
回しをするタレントの言動に、溜飲が下がるような思いで依存しているような印象
  があります。しかしそれは根本的に自らの抱える問題が解消されたわけではないた
  めに、次の攻撃される標的が必要という、一種のファシズム的な兆候が感じられま
  す。」
- まさに…

・「ごく一部に過激な言動を繰り返す方がいたとしても、それはその言動の当否を議論
すべきであって、人間性そのものを否定すれば、関係構築そのものが不可能となっ
ていきます。」

・「様々なはけ口を探してぶつけることではなく、冷静に、なぜこのような現状が進ん
  だのか、誰が何をすることが必要かについて、理性を取り戻し合理的な思考と行動
  をすることによって、ファシズム的風潮をくい止めることへとつなげていかなけれ
  ばならない、と強く思います。」




「親学や親教育を、国や行政が語ってはいけません。」

その通りだなあと思います…



昨日 「家栽の人」原作者 毛利甚八さんの訃報を知りました
「宮本常一を歩く」が強く印象に残っています
お悔やみ申し上げます





<浜松ジオラマファクトリー 再開決まる!>

先月末日で閉館となった浜松ジオラマファクトリーですが
 12月 4日 同じザザシティ西館での開館が決まったと 新聞で知りました
 かなり狭くなるとのことですが 山田卓司さんの作品を見ることができます
 ものづくりの楽しさを味わえることと思います 

浜松ジオラマファクトリー








☆「地域住民から福祉・教育関係者等への無理難題要求をどう読み解き対応するか」~イチャモン研究の到達点~  大阪大学教授 小野田正利 2008年 ⑪

1.jpg

(5)モンスターではない!     
  
 しかし、コトは学校だけに起きているのではありません。


 社会全休の風潮が「言ったもん勝ち」
 

 そして「言わなソン」という傾向を強めているのです。


 国の指導者や上層部が一方で「やりたい放題」をし、それに正当な批判を向ける目が
育っていないように思います。


 何かコトがあれば「あいつが悪い」と国民総出で叩きまくり、過激で暴力的な言い回
しをするタレントの言動に、溜飲が下がるような思いで依存しているような印象があり
ます。


 しかしそれは根本的に自らの抱える問題が解消されたわけではないために、次の攻撃
される標的が必要という、一種のファシズム的な兆候が 感じられます。



  

 こういった中で最近になって、マスコミなどで「モンスター・ペアレント」という言
葉が出回り始めました。


 しかしこの言葉は、とんでもない人格否定の意味を持ち、結局は保護者と向き合う教
職員の気持ちすら萎えさせていく危険な用語であると、私は批判し続けています。


 親と教師は敵ではありません。
  

 ごく一部に過激な言動を繰り返す方がいたとしても、それはその言動の当否を議論す
べきであって、人間性そのものを否定すれば、関係構築そのものが不可能となっていき
ます。
  

 確かにいくつかのトラブルの中にぱ解決が難しいケーズもあります。


 学校側に落ち度はあるにしても現状のシステムではなんともならないような要求に発
展していくことや、教職員の市民生活を脅かすような形で要求を繰り返し、学校全休の
機能がマヒしていくような行動をとる方も、ごく少数ですが確かにおられます。


 この場合には「距離を置く」あるいは「適切な関係性を保持する」ことが必要です。


 医療や福祉あるいは法律の専門家のアドバイスを受けながら、どのように「接するか」
を学校全休として共通の方針とすることも大事でしょう。


 それは、排除とか敵視(モンスターという言い方ではそうなってしまう)ではないの
です。


 私がイチャモンという言葉を使っているのは、人の行為や行動について、それぞれの
背景を見据えながら、共通の議論の土俵にあげることを目的としているのであり、人を
否定してはいないのです。






(6)イラダチ感と「親教育」の強調
  
 このような事態が進む中で、一方では「親教育の必要性」が主張されはじめました。


 しかし国や行政機関が、ことさらこれにロや手を出してはいけません。


 文部科学省発行の『家庭教育ノート』や『家庭教育手帳』では、家族の団らんや、夕
食を一家で共にする必要性がうたわれていまが、現実に、子どもの夕飯時の7時に、家
路につける保護者がどれだけいるのでしょうか。


 行政がやるべきことは、子育てを不安なく遂行できるための条件整備が第一なのです。
  

 大手の雑誌記者が「最近の親はなっていない!」と私に向かって親教育の必要性を力
説したことがありました。


 彼の妻は教師で、彼自身は編集責任者の仕事に就いています。

「それじゃあ、あなたは一週間のうちに、どれだけ子ども達と一緒にご飯を食べている
 のですか?」

と聞き返しました。
 

 彼は下を向いて「一回程度ですかね…」と。雑誌編集の仕事は午後からが本番です。
朝八時過ぎに起きた時には、子どもたちはすでに学校に出かけ、夜はほとんど終電車で
の帰宅で、子どもの寝顔しか見ることができない実態です。


 彼は正規社員ですが、そうでない人を含めて、朝6時台の電車で出勤する人たちの多さ、
労働条件や生活条件の破壊現象が確実に広がっています。


 彼の発した言葉の中には「イラダチ感」が透けて見えます。


 それが時には、学校や保護者の現状批判へとスリカエられたりしますが、実は自分自
身の置かれた状況へのストレスとムカツキでもあるように思います。
  

 親学や親教育を、国や行政が語ってはいけません。

 それはまさに天に向かって唾する行為です。


 様々なはけ口を探してぶつけることではなく、冷静に、なぜこのような現状が進んだ
のか、誰が何をすることが必要かについて、理性を取り戻し合理的な思考と行動をする
ことによって、ファシズム的風潮をくい止めることへとつなげていかなければならない、
と強く思います。

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