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「古代日本の発掘発見物語」玉利勲 国土社 ③ 1985年 [読書記録 歴史]

今回は 玉利勲さん「古代日本の発掘発見物語」の紹介 3回目

今回の内容から印象に残ったことは

①「縄文式土器は模様から 弥生式土器は町の名前から」
 ・わたしの頭の中に強くイメージが入っています

②「開発により大正末には分からなくなった向ケ丘貝塚が、昭和49
 (1974)6年生3人が東大で土器破片を拾い、場所が特定されたこと」
 ・小学生が… だれでもにも発見の機会はあります
 ・浜松市の伊場遺跡も西部中学校の生徒が発見した土器がきっかけ
 で発掘されました

③「発掘は破壊である」
 ・現在遺跡発掘は開発によるものがほとんどです。発掘終了と同時
  に、報告書(写真・図)と引き替えに(費用は事業者負担ですが)
  遺跡は破壊されてしまいます。三内丸山遺跡など残される場合も
  ありますが…  
 ・しかし、発掘によってしか分からないこともあります…難しいと
  ころです

わたしの住む町にも遺跡はあります
舗装されていない道路とその周りの畑付近です
犬の散歩に時々出かけますが 雨が降った後などには
たくさんの須恵器や土師器を見つけることができます

各市町村に遺跡地図があります
静岡県教育委員会HPには埋蔵文化財包蔵地検索システムがあり
県下の遺跡を簡単に調べることもできます
近所の遺跡の存在が分かると 
歴史により親しくなれた気分になります

(好きな分野だけに 長くなってしまいました…)


 




☆「古代日本の発掘発見物語」玉利勲 国土社 ③ 1985年

1.jpg

◇二つの土器の名付け親 -縄文式土器と弥生式土器

○モースとコード・マーク・ポタリー
  モース 「コード・マーク」「コード・マーク・ポタリー」
紐の印の付いた焼き物
矢田部 訳 「索紋土器」

  昭和14(1939)縄文式土器が一般的に

○縄目の文様の謎
昭和6(1931)山内清男博士(やまのうち すがお 東北大医学部)
   「紐を使ってつくられた」

○弥生式土器第一号
明治17(1884)3月2日 弥生町の貝塚を訪れる

坪井(人類学)・白井(植物学)・有坂(造船学)
→ 向ケ岡貝塚 - 弥生式土器 蒔田明治29(1896)
一般化は大正2(1913)以降



◇向ケ丘貝塚の行方
○開発により大正末には分からなくなった
昭和49(1974)6年生三人が東大で土器破片を拾う
→ 東大 考古・人類学共同調査
理工学部建設現場 旧向ケ岡弥生町3-1

  昭和50(1975)春夏二回の発掘調査
佐藤達夫教授 向ケ岡貝塚と断定
国史跡となったが「弥生二丁目遺跡」


◇発掘は破壊である - 日本考古学の父・浜田青陵
○日本最初の考古学講座
浜田耕作 明治14(1881)2月南河内郡古市村生
東大 西洋史学 → 院 日本美術と外国美術
明治42(1909)京都帝大 文学部講師
大正2(1913) 京都帝大助教授 
        → 考古学研究のためヨーロッパ留学
2年間イギリス ロンドン大 ペトリー・セイスから
フランス・ローマ・ギリシア
大正5(1916)9月 考古学講座
大正6(1917) 京都帝大教授に(36歳)
大正7(1918) 文学博士学位 文学部長
昭和12(1937)6月 京都帝大総長に
昭和13(1938)7月25日 過労のための死去

○画期的な「京都考古学報告」
「京都帝国大学文学部考古学研究報告」全16冊
大正6~昭和18年
ペトリー教授の言葉から
    「発掘調査をしながらその研究報告を出さないのは一種の罪悪で
     あり、それならむしろしない方がいい」

    日本 ・報告しないのが実情
・遺跡全体の研究より珍しい遺物を尊重

○浜田博士と装飾古墳
装飾古墳 現在まで凡そ300
福岡県熊本中心、九州の一部と茨城、福島、宮城

○名著「博物館」の出版
「博物館」昭和4(1929)年9月 アルス社「日本児童文庫」シリーズ
井寺古墳の石室内模様が表紙 挿絵も自ら
  昭和16(1941)年 書名変更 「考古学研究」ベストセラー
現在「考古学入門」(講談社学術文庫)小林行雄解説

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コメント 8

楽しく生きよう

確かに発掘は破壊でもありますね。
難しい。
by 楽しく生きよう (2012-01-20 05:17) 

yo

自宅の近くの公園には小さな古墳跡が残っています。
子供の小学校には遺跡から出た土器などが展示されています。
意外と身近に遺跡跡はあるものですね。

nice!をありがとうございます。

by yo (2012-01-20 08:18) 

mizuho

ハマコウさん。コメント、ありがとうございます。
知り合いの方で、
埋蔵文化財関連のお仕事をしている方がいます。
発掘と一言でいっても、さまざまな背景がありますね。
興味深いです。
by mizuho (2012-01-20 10:57) 

ハマコウ

楽しく生きよう さん

nice!とコメントをありがとうございます
破壊をともなうものが多いだけに 遺跡が公開される機会があれば 参加するのもいいと思います
by ハマコウ (2012-01-20 18:46) 

ハマコウ

yo さん

こちらこそ nice!とコメントをありがとうございます

自分が住んでいるところの地面の下に 生活したあとが と思うと
少し怖い気もしますが 浪漫もあるのではないでしょうか
by ハマコウ (2012-01-20 18:49) 

ハマコウ

mizuho さん

nice!とコメントをありがとうございます

わたしも埋蔵文化財関係の知人がいます
熱い人が多いですね


by ハマコウ (2012-01-20 18:55) 

Safari

ナイスありがとうございます^^
私の町に遺跡があるのですが、体験学習なんかできるみたいです。
開発による発掘で写真と図による破壊との交換、なんだかなって気がしました。
by Safari (2012-01-20 22:32) 

ハマコウ

Safari さん
nice!とコメントをありがとうございます

子どもの頃から文化財に親しむ…大変望ましいことですね
by ハマコウ (2012-01-20 23:25) 

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