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「土のいろ」集成 第6巻 63~74号 ひくまの出版 [読書記録 郷土]

今回は「土のいろ」集成第6巻を紹介します

「土のいろ」は大正11年から中断を挟んで昭和30年頃まで出されていた
遠州地方の郷土雑誌です

「子供の魂の味方 子供の生活の正しい伴路者」

を掲げて大正11.12.15に創立された 浜松子供協会によるもので
会員は主として教育(初等教育)関係者です
会としては 童話公演会 童謡踊り発表 童謡講習会 
などの活動がされたとのこと 
童謡・童話雑誌『花火』を出し
土俗伝説雑誌として『土のいろ』を出しました
遠州の土俗・伝説中心に民間伝承を掘り起こすことを目標とした雑誌です

柳田国男の呼びかけで全国に広がった運動に連動したものだと思います
柳田国男さん、南方熊楠さんもこの雑誌に寄稿されています
 
郷土研究家の鈴木実氏は
「遠州郷土を愛する人たちにとってこよない心の慰め」
「研究する者にとっては限りない豊富な資料」
と評価しています


ひくまの出版は それを集成として苦労して復刻しました
そのおかげでわたしたちも読むことができます


この第6巻には わたしが住む地域のことも書かれています
1500年頃 大風によって津波が起きたとのことですが
これは「明応の地震」のことではないかと思われます

方言 伝説 考古 歴史 等々

わたしの大好きな話題にたくさん触れることができる本です

社会科を愛する教員にとっては それこそ
「限りない豊富な資料」だと思います











☆「土のいろ」集成 第6巻 63~74号 ひくまの出版

5.jpg

◇月報
○「土のいろ」飯尾校長そして縁 
   内山惣蔵 昭和56年 13代校長・追分小(浜松師範第二附属)
飯尾校長(昭和18.4~昭和21.3)



◇第12巻第1号 通刊63号  昭和10年4月
○教育者としての賀茂真淵先生 宇波耕策 
・国学  契沖-荷田春満-賀茂真淵
 先駆 学問化  普及

・真淵門人 内山真龍,加藤枝道,村田春道,栗田土磨
     「益荒男」精神(ますらお)

・奇僧風外の遺跡 冨田準作
引佐農学校正面-石仏畑
成田-田島-真鶴 生きながら埋められた風外の墓地
86歳 石岡の里(明治21中川村)に庵
ある日死を予感-穴を開けてもらい座禅

・三度栗について(遠州七不思議のひとつ) 原田和
牧野富太郎博士
  「野山の栗が年々刈り取られて,または春先に焼かれると株から
   新芽が出る」
それが年々成長して連続に花-イガ

刈らずに成長させると一度栗(変種ではない)昭和9年12月


◇第12巻第2号 通刊64号 昭和10年7月
○「音羽の松」の絵について 鈴木実
(浜松市)小沢渡大東院西・音羽松  白狐・音羽婆さん
 松は天保年間に枯死
神明町の蕎麦店「音羽屋」(小沢渡町出身)
絵 福田半香(渡辺崋山高弟)天保直前・麦飯長者-小野田五郎兵衛宅



◇第13巻4号  通刊70号 昭和11年12月
○鴨江見せ物特集 (註:鴨江観音-春秋の彼岸がかつては賑やかだった=ハマコウ)
お鴨江と見せ物 故松井多聞
軽業,サーカス,猿芝居,剣舞芝居,のぞきからくり,生人形,畸人
珍獣希魚,動物園,活動写真,女相撲,ねずみ芝居,ろくろ首
蛇遣い,小男芝居,オートバイの曲乗り



◇第14巻第3号 通刊73号 
○新津村の地名伝説(三影) (註:新津村は元浜松市南区の新津地区=ハマコウ)
今の浜松の発達以前は,新津村付近が東海道の宿駅として町並みの中心
 となっていたという考えもある。

伝説 かつては堤千軒と呼ばれる賑やかな町並み
  5つの町が繁盛 勘助町・土器町・新船町・松尾町・天神町

しかし,海岸沿いのため津波の襲来 (註:明応の地震の間違いか?=ハマコウ)
殊に文亀2年1月20日夜大風による津浪
町全体が流出 死者350人 1502年

↓ それから70年あまり荒廃地


  永禄12年(1569) 堀江の彦左衛門が開墾
その後多くの人が入り込む

今日の倉松が新田開発村として成立(倉松町だけが堀江領地)

  当時の土器町 → 今は土器塚 (註:今の瓦塚遺跡か=ハマコウ)
  ①土器類販売店が多かったから土器町に説
②土器製造所説
③土器船難破説
④千軒の町ではなく波よけ堤が一千間説

・ 一つの川が町を流れていて往来の人を船で送り迎え=小沢の渡し
→小沢渡
(註:高塚池もあった沼地が存在していた=ハマコウ)

◇第14巻第4号 通刊74号 昭和12年12月
○遠江に於ける屋敷神 中道朔爾 
呼び名 地の神,地まもり,屋敷神(佐久間村),土公神(阿多古村)
  コンコン様=新津村の子供 ~ 稲荷との関係?
コンコ様(曳馬町),オコンコン様(雄踏町,伊佐見町)
地の神稲荷(金指町) 祖先稲荷(積志村)

ほこら わら(海)と木(山)と二つに大別

  毎年新調


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マチャ

郷土の歴史には、とても興味深いものがありますね。
by マチャ (2012-02-15 07:25) 

ディブ松本

郷土史・地理は大好きです   
by ディブ松本 (2012-02-15 20:12) 

ハマコウ

マチャ さん いつもありがとうございます

郷土の歴史 知れば知るほどおもしろくなります
「土のいろ」誌には 記憶に誤りがなければ 奈良の小学校教諭・民俗学者の高田十郎氏の名前もときどき載っていたのではないかと記憶しています
by ハマコウ (2012-02-15 20:14) 

ハマコウ

ディブ松本 さん  いつもありがとうございます

わたしも歴史大好きです
柳田国男さんによって 全国に民俗学が広がったと言われます
各地にその流れの地域誌が見られるのではないでしょうか
by ハマコウ (2012-02-15 21:06) 

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