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「哀しみを語りつぐ日本人」齋藤孝・山折哲雄 PHP ② 2003年 [読書記録 一般]

今回は 6月7日に続いて 斎藤孝さん山折哲雄さんの
「哀しみを語りつぐ日本人」の紹介 2回目です

教育学者・斉藤孝さんと宗教学者・山折哲雄さんの共著

出版社の紹介
「日本的感情とでも呼ぶべきものがいまどのように衰退しているか、そしてそれ
 を 取り戻すためにはどうすればいいのかについて考えた対論。日本に伝統的
 に強かったとされる感情のなかでも、とくに哀しみに焦点を当てている。 」
にあるように
日本人の感情について たくさんのことを教えてくれます

興味深く読むことができました



今回紹介分から 印象に強く残った言葉は
・「『堪え忍ぶ梅雨』が感情に旨味を与えてきた」
・「悲しみは辛いけれども透明感のある感情」
・「盆踊りは死者と一体化する供養の儀式」





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☆「哀しみを語りつぐ日本人」齋藤孝・山折哲雄 PHP ② 2003年

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◇日本人の感情のふるさと

1 感情のふるさとは「季節感」にあり
      
 「堪え忍ぶ梅雨」が感情に旨味を与えてきた 
梅雨という季節のリアリティが希薄化している



梅雨はアジア・モンスーン地帯の日本人の宿命
「腐敗」と「発酵」の季節



   「ストレートに感情を表出するのははしたない浅薄だ。むしろ洗練された真
    の感情というものは、一度自分自身の心の中で腐敗→発酵というプロセス
    をたどり、そこから初めて生み出されるものだ」
 
人間の感情も一度腐敗させることで、そこから新しく美しい「旨味のあ
    る」感情が引き出されてくる


 「長雨」は日本女性の恋心のルーツ
早乙女 ~ 男性と交わってはならない期間
   → 長雨の中で恋に悩み耐え抜くイメージ


 演歌の女性はなぜ北を目指す?


 高村光太郎の文学と雪 
   高村光太郎 戦争詩
→ 戦後自ら戦争責任を痛感し、岩手県花巻市大田の小屋で謹慎、
     自炊生活を七年間


 北方への巡礼から生まれた「おくのほそ道」


 寺山修司と日本語の「発酵」
 寺山修司のバックグラウンド
~ 北方の生活感覚が文学表現の「発酵」減少を促進させる微生
      物のような働き


 文学に表現される雪の浄化作用
悲しみは辛いけれども透明感のある感情


 季節感の喪失が詩の「イメージ」を希薄化させている
季節感覚が急速にモノクロ化している


「歳時記」は日本人のバイブル




2 感情のふるさとは「精神世界」にあり
霊魂の感覚も失われつつある
「ハリー・ポッター」的ファンタジーの軽やかさ


 物の怪 - もうひとつの「源氏物語」の世界
近代西洋的考え方 ~ 現実世界と霊的世界の二元構造

↑↓

伝統的日本    ~ 現実世界と霊的世界が交錯



物の怪の棲む世界ともののあはれの世界の一体化


 「この世」と「あの世」が交錯する能舞台


 能のおもしろさは霊魂感覚にあり
   中世的世界


 能に退屈する人しない人 
   能~神道と仏教が一体


 盆踊りは死者と一体化する供養の儀式
新野の盆踊り(長野県阿南町)


 踊りはトランス状態の入り口


 カーニバル化する京都祇園祭
日本の祭りがカーニバル化され「神や霊との対話」という要素が失わ
   れていった  正客=神


 それに出会うと心洗われるという存在があるか?


 ヨーロッパ人は神を「信じ」、日本人は神を「感じる」
気配を重視する日本人の感受性

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コメント 4

mino

最近「日本人らしさ」というのはどこから生まれたのかと、よく考えます。
小さな島国の農耕文化というのが大きい気がしていますが、なるほど季節感というのも非常に大きいファクターですね。
by mino (2013-06-10 07:52) 

ポレンタスキー

こんにちは。
“ヨーロッパ人は神を「信じ」、日本人は神を「感じる」”
まさにその通りだと共感しました、
日本人は身近にいる数多くの神と共に生きていますね。
by ポレンタスキー (2013-06-10 20:41) 

ハマコウ

mino さん ありがとうございます

よく 日本は四季がはっきりとしていると言われますが 外国と比べての実感はありません
しばらく外国に暮らすと実感できるものでしょうか
by ハマコウ (2013-06-11 04:21) 

ハマコウ

ポレンタスキー さん ありがとうございます

わたしも ひとことで うまく表現されているなと 納得しました
神が近くにいるという感覚 わたしにもあります
神に裁かれるという感覚は そうありません

by ハマコウ (2013-06-11 04:24) 

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