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「子どもを変えた親の一言作文25選」明治図書出版 1998年 ⑧ /「人生のくくり方 ― 折目・節目の社会学」 加藤秀俊 NHKブックス 1995年 ①【再掲載 2017.1】 [読書記録 教育]

今回は、9月30日に続いて、明治図書出版の
「子どもを変えた親の一言作文25選」の紹介 8回目です。


編集は野口芳宏さん、水野茂一さん、向山洋一さん。
サブタイトルに「教室で読み聞かせ 子どもの作文珠玉集」とあります。



もう一つ、再掲載となりますが、加藤秀俊さんの
「人生のくくり方 - 折り目・節目の社会学」①を載せます。
先日、7日の早朝に聴いたNHKラジオ深夜便「明日へのことば」に、
加藤さんが出ておられました。「先立った妻との心の旅路」とのタイトルでした。
奥様との思い出を語られていました。
加藤さんの社会学を支えてきたものが分かるような気がしました。

「NHKらじるらじる」の聴き逃しサービス(ラジオ深夜便6日水曜日放送分明日へのことば)で、
あと14日(木)午前5時まで聴くことができます。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。







☆「子どもを変えた親の一言作文25選」明治図書出版 1998年 ⑧

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18.お父様の一言        OTさん(2年)

 クラスの友だちのお父さまが、なくなったのでおそうしきに行くためにお母さまと二人
であた川をあとにしたんだ。


 ぼくたち家ぞくは、その日りょ行中だったがお父さまがぼくに一言、

「友だちだったら行きなさい。」

と言った。

 ぼくは、りょ行もつづけたいしおそうしきのことを考えるとふくざつな気持ちになって
しまったが、

「おそうしきに行くよ。」

と答えた。


 電車の中でお母さまが、

「お父さまは、数年前にじ分のお父さまをなくしているでしょう。だから、たった八才で
 父親をなくすかなしみをだれよりも知っているからともちゃんにそう言ったのよ。」

と話してくれた。


 まどにうつったほくの顔は、平ぜんとしたふつうの顔であったが、心の中は、冬の海の
ようにこおりついていた。


 よこはまのみょうれん寺での友だちのお父さまは、おかんの中に入ってしまってこのま
ま車にのってけむりとなったら友だちは、一生大すきなお父さまの顔が見れない。


 今まで作ってきた思い出ももう少しも作れない。


 友だちの下をむいている顔やお母さまの赤い目を見るのもつらかった。


 きゅうに自分のお父さまが、なくなったようなかんじであふれた。


 ぼくは、「ハッ」とした。


 お父さまが、ぼくに言った一言のいみが少しわかった気がした。


 あい手の立場に立って考えてごらんということだったんだ。


 でも、こればっかりはあい手の立場に立つにはつらいよ。かなしいよ。


 もしぼくが、そうだったらかなしみはぜったいにはかれないくらい大さいものでずっと
ずっとかかえて大きくなっていかなくてはならない。


 あまりのかなしさとなみだのおもさでつぶれちゃうよ。


 ふくざつな気もちのまんまで行くよと言ったぼくは、友だちとじ分の心にすまない気も
ちでいっぱいになった。

「がんばれ、まさきくん。
 ぼく、ずっときみの友だちだからね。
 うれしい時もかなしい時も力となってたすけあおうね。」

と心の中で大きい声で言った。






19.おちた からばこ    SYさん(2年)

「あっはこがおちている。」

 ぼくは、そう思うと、もうそのはこをひろって手にもっていました。


 スーパーの一番大きい通ろにおちていたそのはこには、さっきまでたくさんのおかしが
入っていたんだと思います。


 でも、お母さんたちが「やすいやすい」と思って、どんどん中のおかしを買ったらしく
て、はこは 今までもっていた強い力を人間にとられてふらふらになり、下におちてしま
ったようでした。


 ぼくは一おう右と左を見て、ついでに ぐるっと回りを見わたしてからはこを元のとこ
ろにもどしておきました。


 ぼくがはこをおいてふりむいたちょうどその時、通ろの一番はしっこから、お母さんが
ぼくがべん強をがんばった時にも、お手つだいをした時にも見せてくれたことがないよう
なにこにこした顔で近づいて来るのが見えました。


 お母さんは すごくあたたかい手でぼくのあたまをシャンプーでこするみたいに強くさすると、

「後でね。」

と一こと言って、またのこりの買いものをしに、歩いて行ってしまいました。


 お母さんは買いものの帰り道、とてもきげんがよかったです。


 となりにお母さんがいなくても、ぼくが おちていたはこをひろったからといって、 

「ゆうすけのこと、ほこりに思うよ。」

と言いました。

「ぼくはきたなくないよ。」

と言いかえすと、

「ばかねえ。うれしいからほめているのに。」

と大きな声で 本当にうれしそうにわらいました。


 お母さんは ぼくとはなれて買いものをしていた時、同じ年ぐらいのおばさんが、スー
パーのかごにおかしを入れた時、空になったはこが、おばさんのおしりに当たっておちた
のを、はなれたところから見たそうです。

 でも、そのおばさんは、おちたはこを見ても、知らんふりをして むこうの方へ行って
しまったそうです。

「ただのはこだけどね。おばさんにひろってもらえず、みんなにふまれそうな通ろにぽつ
 んと一人ぼっちでころがっているはこを見るときゅうにはこがかわいそうでかわいそう
 でたまらなくなったよ。」

とお母さんは言いました。


 ぼくはそれを聞いて、「人間のためにはたらいてくれたはこなのだから、おちた時せめ
てひろってあげるぐらいしないといけないよ。ものをそまつにしていると、かみさまのば
ちが当たるかもしれないよ。」と思いました。


 ぼくは、せまい道を通る時、先にゆずってあげれる人、だれに会っても先にあいさつの
できる人、人がかなしそうな時はげましてあげれる人、人やものにかんしゃできる人、う
まく言えないけど、そんな人になりたいなあといつも思います。











☆「人生のくくり方 ― 折目・節目の社会学」 加藤秀俊 NHKブックス 1995年 ①【再掲載 2017.1】

<出版社の案内>
一生の折目・節目を迎えるたびに、人は知恵と人間らしさを育んできた。区切りを彩る儀
礼を通じて、ある社会のなかの一員となり、人として生かされてきた。出産の祈り、誕生
の祝いにはじまり、社会的思春期を経て、齢とともに人生を表現しながら、儀礼を重ねる。
そして「個」をかがやかせながら晩年を越え、やがて人生をまとめながら死にゆく。こん
にちの日本人は、人生儀礼の体験に何を学び、如何に「生きること」と出会うのか。生を
うけて、死に至るまでの様々な「通過儀礼」を通して、人間の暮らし、人生のドラマを捉
え直し、現代人のアイデンティティーと生き方に迫る。
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◇アーノルド・ブァン・ジェネップ

□『通過儀礼』1969年 フランス人

 人の一生 = 同じような始まりと終わりを伴う一連の段階

 誕生 → 社会的思春期 → 結婚 → 父親になる → 階級昇進 → 職業的専門化 → 死


「人の一生の中では,生まれてから死ぬまでにいくつかの段階や儀礼があり,自然の運行
 にあわせた時間の区切りもたくさん用意されている」
  


□敷居 

 敷居を境にして、こちらの空間とあちらの空間が異質


「シキイ」の象徴性  
   狛犬・鳥居・しめ縄



□3つの通過儀礼

 ① 「分離儀礼」   お葬式

 ② 「合体儀礼」   結婚

 ③ 「移行儀礼」   成人式 入学式



□二分法(日本民俗学)

① ハレ … 特別な時空間


 ② ケ … 日常の時空間 柳田国男「郷土生活の研究法」




□結界  

 特定の世界を或象徴的なもので区別する諸々の工夫

  → 狛犬・しめ縄・フェンス・鳥居・暖簾



 塞の神 - 馬頭観音・道祖神・村の境


 峠   - 国の境・文化の境・神聖な場所・峠の茶屋 ~ 祠・地蔵 
  


□ケ - ケガレ - ハレ

 ケ - 日常的な状態はそのままにしておくと枯れてゆく

    「ケが枯れる」 → 「けがれる」


 ケガレからの脱出方法
 
  = リフレッシュ運動 = ハレ



□ケがつく 

 「気がつく」

 「気づけ」

 「気付け薬」



 ◎ 抜け落ちた精気が活力をつけることが「ケがつく」

 ◎ ケヅケ …「いってらっしゃい」「いってまいります」「気をつけてね」



◇ミルチャ・エリアーデ
 
□『聖と俗』東洋と西洋の類似点 
 
 時間と空間 タイムとテンプル



  時間にも空間にも様々な切断面があり,その切断面の少なからぬ部分が聖と俗という
二つの異なった時空間と深く関わっている。



 ◎ 諸々の境界の具体例
 

 ◎「折り目節目の学問」

  = 民俗学 人類学 社会学 言語学 など

※ 横断した学際的な学問

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