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『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 21 [読書記録 郷土]

今回は、8月30日に続いて、静岡県女子師範学校郷土研究会編による
『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)21回目の紹介です。


戦前に女子師範学校の学生達がまとめた昔話。
大変おもしろく、それを今読むことが出来るのは、学生さん達のおかげです。


今回も、前回に続いて、「地名の由来」に関係する昔話です。









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☆『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 21

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9 地名の由来 続き

(12)富塚 (浜名郡富塚村・現浜松市)


 浜松市郊外の富塚村西脇に御塚様、または○富塚(お-つか)と称して、小さい祠の中
に石地蔵様のようなものが安置してある。


 言い伝えによれば、これはこの村の開祖だと言って、村人は大いに尊崇し、毎年9月2
4日にお祭りをする。


 この○富塚様があるので、富塚の村名が出来たのだという。
                                 (本多みち)





(13)血塚畷 (浜名郡雄踏町)

 明治維新になる少し前の事、雄踏の小山という所の医者の家へ中年の女が雇われた。


 彼女の夫は至って凶暴なので、ついに家出して女中となり、この医者の家へ身を隠した
のである。


 しかし、執拗な夫は六部(巡礼)姿となって妻を探しまわり、ついにこの医者の家にい
るのを見つけ出した。


 そして、妻を村はずれにおびき出してずたずたに斬ってしまった。


 彼女は、斬られながらも一町(約109㍍)余りの畷を逃げまわり、そのために畷の上も
草もことごとく血潮で真紅に染まる程であった。


 それから人々は、この畷を血塚畷と呼ぶようになった。


 また彼女が殺された場所にその冥福を祈るため、地蔵様を作り、彼女の名前のお弁をと
って弁地蔵と称し、地蔵棟の前の道を弁地蔵道と呼んでいる。
                                  (本多みち)








(14)芋瀬 (浜名郡河輪村・現浜松市)

 河輪村に芋瀬という字がある。


 昔、天竜川が大洪水になった。


 ちょうど時期が夏で、上流地方では芋を沢山栽培しておったが、それがこの氾濫のため、
みんな押し流されて河輪村に漂着し、天竜川の瀬に堆積したので、ここを芋瀬と呼ぶよう
になった。
                                  (本多みち)







(15)蒲島 (浜名郡河輪村・現浜松市)

 河輪村の蒲島という所は、ごく小さい字で、今では2、3軒しか人家がない。


 昔、この村のある老人が天竜川に魚釣りに行っていると、上流の方から蒲で編んだ筵の
上に神様が乗って流れて来たので、その老人は、不思議なこともあるものかなと、うやう
やしく奉拝して我が家に帰りお祀りした。


 それからこの村は非常に富裕となった。


 そのことから蒲廷にちなんで蒲島と称するようになった。


 今でもこの村の家では、いかなる時でも決して畳は用いない。

 常に太いイグサで織った廷のみを敷いている。
                                  (本多みち)








(15)貴平 (浜名郡豊西村・現浜松市)

 豊西村に貴平という字がある。


 言い伝えによると、源平時代に平家の落人が来て草を刈り分けて、一本の大木の所に家
を造って暮らしていた。


 それで昔は、木辺と称していたが、後に貴平となったという。


 また次のようにもいわれている。


 南北朝時代に、豊西村一帯は見渡す限り草原で、一軒の人家も無かった。


 そこへ後醍醐天皇の皇子様が家来を従えられて、今の貴平の地に居を定められた。


 都より余り遠くないので、まだ豊穣なこの土地で時節の到来するのを待って、再び都に
向かおうと一時の住所を定められたが、ついに永住の地となった。


 それから、この地を、貴い方のお住まいになった所だからといって、貴平と称するに至
ったという。
                                  (本多みち)


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旅爺さん

血塚畷の話は怖いですね。
昔話や伝説などはその土地に行って探すと本があるところもありますね。

by 旅爺さん (2018-09-15 11:55) 

ハマコウ

旅爺さんさん ありがとうございます。
土地土地に残る昔話や伝説、その本を後世にしっかり残していくことは大切ですね。
by ハマコウ (2018-09-16 04:39) 

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