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「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ① / 酒井臣吾さんはこんなことを【再掲載 2017.4】 [読書記録 一般]

今日は4月29日、月曜日です。


今回は、暮しの手帖社から出されている
「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」
の紹介 1回目です。


出版社の案内には、

「豪華執筆陣で贈る珠玉の随筆集『あなたの暮らしを教えてください』
は、『暮しの手帖』の本誌と別冊に寄せられた『暮らし』がテーマの随
筆作品を選りすぐり、全4冊にまとめたシリーズです。
 第2集は、日々の気付きにまつわるお話を集めています。当時の話題に
触れて感じたこと、近所の猫やお店のこと、仕事や家事を通しての発見
や、趣味や学びのなかで思うことなど、小さな日常をいつくしみたくな
る一冊です。」

とあります。


そのような見方もあるのだと気付かせてくれました。

もう一つ、再掲載になりますが、
「酒井臣吾さんはこんなことを」を載せます。






☆「忘れないでおくこと 随筆集あなたの暮らしを教えてください2」暮しの手帖社 2023年 ①

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◇天国 三木卓

 戦争が終ったときぼくは中国にいたので、いろいろな軍隊に出会った。


 最悪だったのはソ連軍で、強盗団のようなものだった。


 中国国府軍も、ここは自分の土地だから、それほど悪質ではなかったが、よ
いとはまるでいえず、日本軍も、中国の民衆に対して相当わるいことをしてい
た。


 戦争している軍隊がやさしいわけがないけれど引き揚げてくると、日本人の
こどもが、米軍の兵士になついている。


 米兵は体格がよく、お尻もパンパンにはっていて小さなジープに乗って、活
気あふれる動きをしている。


 日本人のこどもがすぐについていって

「チョコレート、ちょうだい」、

と平気でいう。米兵は、ニッコリわらって手をあげて、それに応え「ハーィ」
といって、行ってしまう。

「チョコレートなんて、あるのか」

ぼくが訊くと、

「あるある。前は、いくらでもくれたぞ」

といった。米兵は人気の的だった


 ぼくは一度もその恩恵に浴さなかったけれど、かれらは本当にくれた。あい
つらはこどもが好きなんだよ、という。


 このちがいは何なのか。

 アメリカは豊かで、信じられないほど人がいい。

 米兵はなぜか天使だ。  


 大人になった、それも相当たってのある日、ぼくはようやく気づいた。


 あれは占領時の内密の指令があったからだ。

 こどもから手なずけよ。

 この内情を書いたものには、まだお目にかかっていないけれど、しかし、今
はミエミエだ。

兵士諸君まず、こどもたちにチョコレートやガムをくばって、あかるくふるま
え。


 そして、ぼくらは、みごとにそれにひっかかった。

 米軍はぜいたくで、GIはみんなすごくお人好しだ。

 戦争中に鬼だ強姦魔だと思っていた連中のイメージとは、まったくちがう


 巧妙な懐柔。


 いろいろな局面で今はそれがよくわかるが、あの「チョコレート・ギブミー」
もその一環だった。


 続いて大量に公開されたハリウッドの映画も、その一翼をになっていた。


 水着の女王、エスターウィリアムズ。

 チョイわるでカッコいい、ヒゲのエロールフリン。

 エロールフリン主演の『ロビンフッドの冒険』は、『風と共に去りぬ』とと
もに終戦前のカラー作品である。


 そしてデモクラシー。


 ぼくがアメリカにソ連より好意をもったのは、「チョコをくれるか。もって
いるパンをうばいとられるか」のちがいの記憶のせいだ。


 あのころのスターは、「ハーシーのチョコレート」「リグレーのガム」。

 「ハーシー」は、ドル安の今、ぼくのいる鎌倉でも売られているが、なつ
かしさにロに入れてみると、昔の気持ちがよみがえる。

 しかし、ハーシーってこんなに牛乳くさい香りがしたのか。

 昨今の空輸の欧州チョコに比べると、ずいぶんひなびている。

 しかし、あの時は、これで充分天国に行き、とても帰ってこられなかった。
2012年3月






☆酒井臣吾さんはこんなことを【再掲載 2017.4】

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◇図書館指導
  図書室で(最初の図書室指導で=ハマコウ註)
    ①「目をつぶりなさい」
  ②「今から言う本があるところを指で指し示しなさい」
「文学は?」
       「年鑑は?」 
      「科学関係は?」
       「歴史関係は?」
  ③「テストをします」
  ④「班の代表者はベートーベンの本を探して持ってきなさい」
 ※ 何回か繰り返す
  ⑤「いろいろな種類の本があるね。」
    ⑥「いろいろなところにある本を読もう」
    ⑦「今から5分間図書室にある本を整頓しなさい」


◇みんなが主役
  1 教師主役の授業  
      自分が主役になるべき時には主役に徹しきれる
     - 必ず教師の出番
  2 子供が主役の授業 
      発問の回数を数える 
       → 一回ごとに減らしていく


◇学級経営二つの柱
 ① きっぱりと叱る  
      私情を入れない 
  ② 自分を表現する  
      表現力を付ける


◇授業研究テーマ
□「研究不可能なテーマ」ばかりでばかばかしい
  例「自ら学ぶ子供の育成」
   「生きる力をはぐくむ授業の創造」
 「新しい授業観における指導の在り方」
     → 正対した緒論を導き出すことは可能かという観点で
  テーマと直結した結論を
  ①テーマをうんと具体的に
  「授業のどこで何を記述させるか」
   ②研究の廃止
  成長した事実のみ記録


◇叱り方
□叱り方の下手な教師  二つのタイプ
 ① まったく叱れないタイプ 
     → 教師には不適格
② 叱り方過剰タイプ        
     男性教師 →  怒鳴り散らす
女性教師 →  お説教タイプ
      → 子供はストレスがたまりいじめ  不登校に?

□「叱る」はスパイス      
  「叱る」はコショウで「ほめる」はラーメン。
    → 褒め方が下手だから叱り方が下手になる

□「褒める」とは「口に出す」こと。
  → 具体の発見が大切  
  = 具体を発見しようと目を皿にする

□「叱る」効果が上がるのは,教師と子供の人間関係があってこそ。


◇「良いことは良い」と教える中でこそ
  不正義を知らないで正義を知ることはできない
   = 教師を仕事としている者ならば善悪の判断は単純に割り切り,よ
    りシンプルに、そして力強く子供たちに反映すべし。


◇黒板の思想
   子供を教育するためのもっとも大切な道具である黒板というものを
  大切にしよう。
   → 多様で自由な空間にする工夫を


◇担任の力量
 「できないことをできるようにさせること」
   当たり前のことを当たり前にできる力がどれくらいあるか
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