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大村はまさんはこんなことを ㉒-『教えるということ』 共文社 1973年 (1) /山本夏彦さんはこんなことを①-「その時が来た」新潮社 1996年 【再掲載 2018.1】 [読書記録 教育]

今回は、12月1日に続いて、大村はまさんの
「大村はまさんはこんなことを」の紹介 22回目です。
「教えると言うこと」の要約1回目です。


出版社の案内には、

「教えない先生が多すぎる。『教える』とはどういうことか。教師・父母必読、問題の書。」

とあります。



大村はまさんの文章には、納得させられます。
学ぶことばかりです。




本ブログで幾たびか紹介してきた「仏さまの指」の話が好きです。
ぼくがしてやった、と満足感に浸ろうとするわたしのようなものは先生ではないのだと、
初めて読んだときに目を見開かされました。
今も、ともすると「~してあげたのに」と思ってしまいがちです。
ほんものの先生とは、この仏さまのようなきもちの方を指すのですね。



もう一つ再掲載となりますが、山本夏彦さんの
「山本夏彦さんはこんなことを①-『その時が来た』」を載せます。
山本夏彦さんが亡くなられて20年近くになりました。
ふだん気づかない世相の問題点を鋭く指摘する辛口コラム、好きでした。
辛口コメントで売る人は多いのですが、
わたしにはただ目立ちたいだけのような気がしてしまいます。


澤井隆治個展「わくわく木彫動物園」開催中
場所:「ギャラリー蔵」 浜松市西区入野町1104
日時:12月8日(水)~12月12日(日) 11:00~17:00
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<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。







☆大村はまさんはこんなことを ㉒-『教えるということ』 共文社 1973年 (1)

◇教師の仕事の成果 - 仏 様 の 指

 終わりに、私の好きな話をご紹介したいと思います。


 私はかつて、八潮高校在職のころ、奥田正造先生の毎週木曜の読書会に参加していまし
た。

 奥田先生は、そのころ成蹊女学校の主事をなさっていらっしゃいました。


 先生は私が今日までお会いした先生の中で、いちばんこわい先生でした。


 それで、読書会に行くときも、気をつけて、どなたかがすでに到着しているあとに着く
ように、つまり、先生と2人にならないように気をつけておりました。


 その日も、私は、じゅうぶん計算をして行ったのですが、どうしたことか、だれもまだ
見えてなく、私は先生と2人きりになってしまいました。


 先生の前でかしこまって緊張している私に、先生は急に、

「どうだ、大村さんは生徒に好かれているか。」

と、お尋ねになったのです。


 私ははたと返事に困りました。


 好かれていると言えばどういうことに怒るか、好かれていないと言えばどういうことに
なるか、瞬間、子どものようにぷるぶるふるえてしまいまして、やっと、

「嫌われてはいません。」

というへんなお返事をしました。


 先生は

「そう遠慮しなくてもいい、きっと好かれているだろう。学校中に慕われているに違いな
 い。」

と言ってお笑いになりました。


 私は、どうしてよいかわかりませんので、下を向いてもじもじしていますと、先生が一
つの話をしてくださったのです。


 それは

「仏様がある時、道ばたに立っていらっしゃると、一人の男が荷物をいっぱい積んだ車を
 引いて通りかかった。そこはたいへんなぬかるみであった。車は、そのぬかるみにはま
 ってしまって、男は懸命に引くけれども、車は動こうともしない。男は汗びっしょりに
 なって苦しんでいる。いつまでたっても、どうしても車は抜けない。その時、仏様は、
 しばらく男のようすを見ていらっしゃいましたが、ちょっと指でその車におふれになっ
 た。その瞬間、車はすっとぬかるみから抜けて、からからと男は引いていってしまった。」

という話です。

「こういうのがほんとうの一級の教師なんだ。男はみ仏の指の力にあずかったことを永遠
 に知らない。自分が努力して、ついに引き得たという自信と喜びとで、その車を引いて
 いったのだ。」

こういうふうにおっしゃいました。


 そして、

「生徒に慕われているということは、たいへん結構なことだ。しかし、まあいいところ、
 2流か3流だな。」

と言って、私の顔を見て、にっこりなさいました。


 私は考えさせられました。


 日がたつにつれ、年がたつにつれて深い感動となりました。


 そうして、もしその仏様のお力によってその車がひき抜けたことを男が知ったら、男は
仏様にひざまずいて感謝したでしょう。


 けれども、それでは男の一人で生きていく力、生きぬく力は、何分の一かに減っただろ
うと思いました。


 お力によってそこを抜けることができたという喜びはありますけれども、それも幸福な
思いではありますけれど、生涯一人で生きていく時の自信に満ちた、真の強さ、それはは
るかに及ばなかっただろうと思う時、私は先生のおっしゃった意味が深く深く考えられる
のです。







☆山本夏彦さんはこんなことを①-「その時が来た」新潮社 1996年 【再掲載 2018.1】 
 
<出版社の案内>
毒があるから面白い。コラムの醍醐味ここにあり。

革命党はすぐに腐敗して次の革命党に倒され、こうして国は健康を保ってきた。今暖衣飽
食して助平の限りを尽くしているのは国民大衆であり、それを倒すものはないから、今度
は大衆丸ごと倒れる番だ…。毒入りの心優しいコラム。
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◇贈答 

 ◎ 日本の贈答のよさ =  雛節句・端午節句・中元・歳暮にまとめて
 

◇自腹を切るつもりなら言え 

  侵略戦争か否か   謝罪は補償を伴う


◇銀行は国民の敵


◇広告と広報 

  広告 - お金を出す

  広報 - お金を出さない
 

◇何よりも正義を愛す

  多少の殺戮があってもなかったというのが健全



  自分の国の非を隠すのが当然・健康 
    日本だけは非を暴く
 良心的 = 誇りを失った



 「自分の国の悪口を書く教科書なら採用しない」


◇古い言葉と新しい言葉があったら古い方を取れ

  歴史の古い言葉は使い方一つで天地を動かす



 衣食住が焼け落ちたら残るのは言葉だけ



  ◎ 教育は過去の財産を今に伝えるもの


◇戦争まで 

  犬飼・高橋は命を惜しまないが他は惜しむ



  軍人の天下 
   - 発端は侵略


◇命ながらえば恥多し
 

◇丸ごと滅びる番である
   
  私たちは今捨てなければ生きていけない時代
 

◇猫なで声はよせ  

  童話が嫌い - 幼子の言葉
 

◇元凶は日教組と文部省
  
 ◎「なぜ」と口を尖らさす 
  - 従えと幼いうちにしつければ済む



◎ 教育の根本は古典を教えることにつきる
 

◇みんなJISのおかげです

  戦争に備えて工業製品の規格を統一


◇「子供の科学」70年

  科学はブラックボックスに入ってしまった
 

◇アポイントメント

  電話がそうした

  昔 「友アリ 遠方ヨリ 来タル マタ 楽シカラズヤ」



◎ 突然現れることが失礼になった


◇喧嘩両成敗  

  春秋に善戦なし


◇親には孝  

  中国が何千年も掛けて育てた「教え」


◇仔羊学園  

  豊橋市郊外 素読はリズム

  ◎ 文にリズムがあれば覚えられる

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tai-yama

気付かせるように教える・・・難しいです。
私はどうしても全部正解を言ってしまうと言う。ダメですね(笑)。
by tai-yama (2021-12-11 19:42) 

ハマコウ

tai-yamaさん ありがとうございます。
気付かせるように教えることは難しいことですね。
わたしは、この話を「教える方が黒子に徹するように」という示唆だと感じ、そうありたいと思うだけです。
by ハマコウ (2021-12-12 01:11) 

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