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「詠う平家 殺す源氏」谷沢永一・渡部昇一 ビジネス社 2002年 ② [読書記録 一般]

「日本人の深い情緒を育む教育機関が和歌だった」




今回は、5月10日に続いて、谷沢永一さん・渡部昇一さんの
「詠う平家 殺す源氏」2回目の紹介です。



出版社の案内には、


「『平家物語』で現代社会に通じる日本人のアイデンティティを再発見する きらびやかな
 印象のある『平家物語』は、戦乱と権力の構図を浮き彫りにした日本人論である。本書
 は平家物語を題材に、朝廷、平氏、源氏に見る権力の流れや、人間 の欲望、甘さ、残
 酷さなどを、二大論客が鋭く語る。」


とあります。


なるほどと頷いてしまう本です。



今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「血縁関係に凝り固まってしまった平氏一族」


・「賢兄愚弟を地で行った重盛と宗盛」


・「道楽者集団を生み出した清盛の大罪」





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☆「詠う平家 殺す源氏」谷沢永一・渡部昇一 ビジネス社 2002年 ②

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<滅亡を招いた平家の集団力学>

◇「栄耀栄華」の極みとは

□おごりは手に凋落への一歩となった「福原遷都」

土豪からの金 → 湊づくり  失敗 

  福原遷都-自腹



□和田都(福原京)はどのあたりに? 

  清盛 大輪田泊に執着 大輪田船息(ふなせ)



□安徳天皇誕生の情景に極まった栄耀栄華



□血縁関係に凝り固まってしまった平氏一族 

  三善康信が頼朝のスパイに







◇「総大将」たる器量とは何か

□後白河法皇をどう扱ったかで政治判断力が測れる

  法皇は京都に残り高倉天皇の皇子を後鳥羽天皇にしてしまう

  = 天皇が二人

  = 宗盛の政治判断



□平氏には「利」と「大義名分」を使い分ける戦略が欠けていた







◇天下大乱は小事から起こる

□賢兄愚弟を地で行った重盛と宗盛

  唯一の味方を敵に 

    源頼政 鵺退治で有名

  ∥ 伊豆守仲綱(子) 馬を宗盛にとられる 

        従者として仕えていたが宗盛に馬鹿にされた
     
  馬一匹が天下の流れを変えた
  
      ↓

   唯一源氏の中で平家とうまくやっていたが頼政が平家と戦う気になる
   
      ↓
 
   以仁王の令旨

 → 宇治の戦い 
     負けるが全国の源氏が盛り上がる      



□清盛はお坊ちゃま  

  道楽者集団を生み出した清盛の大罪

冠位の方から転がり込んできたから天下取りの味を知らぬお坊ちゃま


  なぜ頼朝の首をはねなかったのか







◇家系を保持する難しさ

□反感を募らせた「平家に有らずんば人にあらず」(平時忠)



□平時忠は物語が必要とした悪役である

  酒乱 宮沢喜一,時忠,黒田清隆


  時忠は筆によって殺された



□ひとり・平重盛が平家の「大黒柱」だった

  重盛 武では平家第一 バランス-常識
           

  家が続くには三代 



□平家のあるべきシンボルに仕立て上げられた重盛

  重盛の並はずれた武勇と聡明さ 

 「百練抄」「六代勝事記」 → 頼山陽「日本外史」

  できすぎた理想化は否めない 
    高位を続くことを妨げるのは天の配剤か?



□重盛の死で事実上平家は終わった

 = 重盛以外はボンボン







◇脈々たる民族的「感性」の源泉 汲めどもつきぬ「和歌」の宝庫
   
□和歌は日本民族の日常言語である 

 「平家物語」の中に歌くずはいない



□和歌一首で人間関係が変わる



□和歌があるからシナにも朝鮮にも屈従しない
   


□日本人の深い情緒を育む教育機関が和歌だった 







◇圧倒的な「平家物語」の文学的影響
   
□大文学であると同時に大歴史である 



□三浦梅園以来日本の哲学者はすべて随筆家である



□正史と歴史物語 - 正副二路線



□傑作「滝口入道」を生んだ巨大な文学の泉



□高山樗牛はもっと再評価されるべきだ


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