SSブログ

団士郎「木陰の物語」(月刊『少年育成』誌連載)② /「妖怪と怨霊の日本史」田中聡 集英社新書 2002年 ①【再掲載 2015.8】 [読書記録 教育]

今回は、10月14日に続いて、今はない『月刊少年育成』誌の連載記事、団士郎さんの
「木陰の物語」2回目の紹介です。
本来は、漫画と文章で構成されたものですが、文章のみでの紹介となります。



連載記事でしたが、
ホンブロック社から「家族の練習問題 〜木陰の物語〜」として出版されています。
お薦めです。


新刊の出版社の案内には、


「あんなに小さかったうちの子が、いよいよ小学校に上がる。ランドセルを抱え、ワクワ
 クが止まらない子どもに対し、親御さんの頭の中は、考えても仕方のない不安でいっぱ
 いになります。試されているのは、親の覚悟なのかもしれません。
 家族心理臨床家であり、漫画家としても活躍する著者の人気作『家族の練習問題〜木陰
 の物語〜』シリーズの中から、学齢期のお子さんを持つ親御さんに特に人気の高い作品
 や、この時期に繰り返し読んでいただきたい13話と、既刊本未収録の新作7話を集め
 た特別版ができました。新たにコマ割り漫画で読める「木陰の物語」です。
 自分は親としてどうあるべきなのか――。心と向き合い、整理するのに最適な一冊です。
 ご自身用に、あるいはご贈答用に、ぜひご一読ください。」


とあります。



家族、家庭について考えさせられます。
練習問題のようです。




もう一つ、再掲載となりますが、田中聡さんの
「妖怪と怨霊の日本史」①を載せます。



<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
2.jpg





<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。





☆団士郎「木陰の物語」(月刊『少年育成』誌連載)②

1.jpg

◇木陰の物語 第27話「三十分未満」 団士郎

 友人が離婚をした時、まだ2歳にもならない娘がいた


 母親が引き取って、友人は娘が成人するまで


 月額5万円の養育費を支払うことになった


 離婚は近年ずっと増加してきた


 芸能人の高額の慰謝料などが、


 週刊誌やワイドショーのネタとして耳に入る


 しかし一般市民の離婚においては、そんな非現実的な事態はおきない


 ごく僅かな慰謝料や、支払いが滞りがちな養育費のほうが多いらしい


 しかし友人は、離婚以来20年、


 娘が大学を卒業するまで、慰謝料を払い続けた。


 当前といえばそれまでだが、実行しない人も多い中でのことだ。


 健康で自身の生活も充実していればこそだから、幸運だったのだ


 彼と話していて、20年も支払い統けているのだから、


 娘に会いたいだろうと思った。


 しかし一度も合わせてはもらえなかった


 いよいよ支払い終了を迎えたとき、


 一度でいいから成人した娘に会いたいと求めた


 条件付きで承諾が得られた。


 叔父夫婦と母親同席で十五分。


 直接会話はしないこと


 ホテルの喫茶室で僅かな時間会うことの許された友人は、


 顔を覚えようと懸命だったと言った


 当然のことながら、母親から娘には、


 たくさんのマイナスメッセージが吹き込まれてきたのだろう。


 あまりはずんだ時間とはいえなかったらしい。


 それでも無事大学まで卒業した娘をみて、ここまで育てた母親に感謝したといった


 半年もたたない頃、大阪のある大型書店で友人は仕事関係の本を物色していたそうだ


 人影の少ない専門書コーナー。


 従業員が脚立にのって、棚の本の整理をしていた


 そのそばの本を取ろうとして顔を見て驚いた


 娘だと思った。


 それでもまさかと思ったので


 アルバイトと書いたネームプレートを確認した


 彼女も間をおかずに気づいて、ショックを受けたようだった。


 何を言ったらいいのか分からないまま呆然としていると


 後女が泣き出してしまった


 この様子に気づいた男子従業員があわててやってきた


 人気の少ない専門書コーナーに、


 中年男性と泣き出しているアルバイト従業員。


 最悪だと思ったという

 「なんでもありません。大丈夫です」

 こう言う彼女はすぐ、他の女性従業員に連れられて


 奥に入っていった


 何かを説明しようにも、どう言えばいいのだろうと思ったという


 そしてまた五年たった


 体調を壊して入院していた友人が無事退院した


 午後の通院の帰り道、


 歩道橋でほほえみながら会釈する若い娘にあった。


 入院中、世話になった看護婦さんかと思って


 会釈しかえした


 すれ違いかけたが、


 心当たりがなかったので、

 「すみません。どちら様でしたか」

 と言うと


 うつむき加減に女性は

 「真子です」

 と言った


 娘だった


 分かれて26年あまり


 15分だけ顔を合わせた娘だった


 友人は自分が娘を分からなかったことが、ンョックで、


 どう言葉をかけたものかパニックになってしまった


 バス停までゆくという彼女について歩いた


 仕事に向かう彼女を、手を振って見送った


 54年の人生で、


 まだ30分に届かない


 父娘の時間

 「こっちは気がつかなかったんだ。知らない顔だってできたのに、声をかけてくれた。  それなのに俺は分からなかった。どんなに傷ついただろう…」

 友人はそういって悔やんだ


 元夫婦の言い分が氷解する手はないのだろう。


 でも、彼女が気づいてほほえみかけてくれたことが物語っていることもある


 と思って私は聞いた






◇木陰の物語  第32話「身近な危機」 団士郎

 危機管理、リスク・マネージメントなんて言葉に


 馴染みがあるようになった


 会社や組織が声高にいうが、


 個人や家族にも危機管理は必要だ


 あるところで聞いたエレベーターの話は、


 なるほどと思われるものだった


 女性がマンションのエレベーター・ホール


 やっとドアが開いて乗り込んだ


 ドアが閉まろうとした瞬間


 男性が一人急に乗り込んできた

 「さぁ、あなたはどうしますか?」

 というわけだ。


 危機管理の専門家は


 こういう場合、すぐポタンを押してドアを開けて降りろという


 しかし実際、多くの日本人は


 「えっ、…変…?」と思ったとしても行動には移らない


 そんなことをしたら、相手は


 ずいぶん感じが悪いだろうと思うからだ


 自分の不安より、相手の受ける悪印象に配慮してしまう


 そして、何十分の一か、何百分の一かは知らないが、


 思いがけない不幸にみまわれる


 「不安や違和感」という警告があったのに…という


 後になって、「そういえばあの時、嫌な感じがした…」


 と振り返る人が少なくない


 「直感は過たない、間違えるのは判断である」


 人は気配というものを何かしら受け止めているものである


 振り返るとそこには、


 しばしば重要な根拠も存在している


 その次の一歩が、運命を大きく変えてしまう場合があるのだ


 また、油断している人が酷い目に遭うと、


 その傷は深いのだそうだ


 用心していることが、仮に不運な目にあっても傷を浅くとどめてくれるらしい


 これを聞いたすぐ後、


 深夜の自宅のマンションでのことだ


 降りてきたエレベーターのドアが開くと、


 床に人が倒れていた


 仰天して「殺人事件か!」、


 とっさにそう思った


 よく見ると生きていて、


 泥酔状態なのである

 「もしもし何階ですか」

 迷惑な話だが声を掛けた

 「もう京都?」

 一言そう言うと又寝てしまった


 パカバカしいので、


 男をまたいで乗った


 何度上下しても、


 京都には着かんぞ、ばか!


 翌朝出勤する頃にはもう居なかったから


 明け方にでも目覚めたのだろう


 終電で見かける、熟睡の酔っぱらい親父連


 こんな油断に満ちた気楽な国で


 リスク・マネージメントなぁ…


 そう思っている











☆「妖怪と怨霊の日本史」田中聡 集英社新書 2002年 ①【再掲載 2015.8】

<出版社の案内>
元始、日本は妖怪の国であった。彼らはこの国のあらゆる場所に暮らし、人間と共存して
きた。しかし、時代とともに妖怪はその姿を歴史の表舞台から消した。本書は、その跡を
膨大な資料でたどり、本来の歴史の中に位置づけた、まったく新しい『日本史』への試み
である。そこから浮かび上がるのは、まさに『天皇家』を中心とした権力闘争の壮大なド
ラマであった。怨みを飲んで抹殺されていった者どもの魂が、怨霊となって人間の歴史に
介入する。ここに、知られざる歴史の真髄が語られる。
1.jpg

◇妖怪立国

□ひとつ火とケガレ

○イザナギ 「一つ火」 
   イザナミの正体 - 古事記神話

   一つ火のタブーに

火 = 聖なる不穏さ 浄火と不浄火


○「一言」も忌む ~ モシモシ  
           
   一言主大神


○数ならず「ひとつ」「おひとつ」で完結


○中西進 「自然はついに もの」 

 もの … 物は霊と一緒

     |   霊が排除されて物質に

 古代日本人
  ※「もの」 = 生命あふれるものとしての万物の呼び言葉


○イザナキ 

 お清め(初) → 神々が生まれる

最後 アマテラスオオミカミ,ツクヨミノミコト,スサノオノミコト ~ 三貴神
  


□目一つの鬼 

○「一つ」

 - 不吉  = 彼岸に半身を置く者の徴


○目一つの神

 - 風,嵐,雷,蛇を表彰する神

※ 金属生産者の神



□「心」の霊蛇

○スサノオのオロチ退治

 → 草那芸之大刀 アマテラスに献げる


○軍司正勝
  
 「八」 … 沢山の意味  

八 ~ 生産力の数
  


□邪神の戦い 

○生命の連続を支配する巨大な水神の新旧交代劇
  


□女神を殺すもの

○アマテラス   岩戸 → 後回 

 スサノオ追放 → 出雲 ヤマタノオロチ退治

 スサノオ追放 → 五穀



□最後の星  

 海から来た女


nice!(147)  コメント(4) 
共通テーマ:学校