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草柳大蔵さんはこんなことを34 [読書記録 一般]

今回は、11月30日に続いて、わたしの読書ノートから、
「草柳大蔵さんはこんなことを」34回目の紹介です。





今回は、「続午前8時のメッセージ」(静岡新聞社)からの紹介です。




出版社の案内には、


「評論家・草柳大蔵が送る待望の第2弾。家庭、学校、社会、さまざまな角度から子ども
 の心を見つめ、輝く未来のために祈りを込めて語る珠玉の99話。


とあります。


心にしみる話が詰まっている本です。


鬼沢リポーター 
… 懐かしく思い出しました。



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☆草柳大蔵さんはこんなことを34


☆「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年 (1)

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◇人間形成という問題
 今の母親の中には、どうやって愛情を表現したらいいかわからない、という人が随分と
いるようですね。


 愛情表現がわからない母親(父親も含めてですが)に、降る星の如く愛を浴びせられな
いで育てられた少年少女、殊に少年が、例えば電車の中で


「ちょっと席をずらしてください」


と言った人に対して、危害を加えてしまったりするんですね。



 芸能レポーターの鬼沢慶一さんの事件もそうです。


 若者が二人で優先席に座っていたところへ、幼児を抱えたお母さんが乗ってきた。

 そこで鬼沢さんが


「ちょっと席を代わってあげたら」


と声を掛けたんですね。


 若者は無言で反発し、電車から降りていきました。

 その後電車を降りた鬼沢さんが、その少年たちに鉄の棒で殴られたんです。

 鬼沢さんは指の骨を折る大怪我をされました。



 その後、この鬼沢さんという方は、どうして日本の少年はこうなってしまったのか、と
いうことをご自分でまた取材されました。


 暴走族の少年に


「君ならどうする」


と聞いてみたら、


「俺なら駅を降りたら速攻で刺し殺すね」


と言ったというんですよ。



 「オヤジ狩り」だけでなく、野宿している人たちを攻撃する「プー太郎狩り」まである
そうなんです。



 私は驚いたのですが、「デリバリー狩り」をご存知でしょうか? 


 デリバリーとは配達の意味です。

 つまり、出前する人間を狙って、殴って怪我をさせて抵抗力を失わせたところで、持っ
ていたピザやおすしやおそばを食べてしまうんですよ。

 すごいことをやるものですね。


 すし桶をかっぱらってすしを食べた少年が捕まったときの言葉が、


「腹がへっていたから、すし屋かピザ屋かどっちでもよくて、先に来た方を狙ったんだ」


だったんです。


 全然悪いと思っていないんですよ。


 こういう突発的な、抑制の効かない行動の原因がどこにあったかというと、結局、愛情
というものを親と一緒に、家庭という空間の中でつくる時間が極めて少なかった、という
環境なんですね。



 そうすると、これは教育問題なんでしょうか? 


 私は、ただ単に教育問題としてだけで片付けるものではなくて、いわゆる人間形成の問
題ではないかと思うんです。


 つまり、よく言われるように、父親母親が子どもを育てるレベルまで達しているのか、
という問題でもあるのです。


 生きていくのに忙しくて子どもの方に割く時間が少なかった、ということもあるでしょ
う。


 しかし、自分だけの楽しく充実した世界、例えば、一日中パチンコをしたり、映画館の
はしごをしたり、そういうことを許容する器が社会の中にできている。


 すると、結局はその人の人間形成という問題になるんですね。


 そこまで下りていくと非常に難しいんです。


 それは、そういう人たちとの会話がなかなか成立しないからなんでしょう。


 どうやったら、その会話を成立させることができるのか。それを21世紀でやってみま
しょう。


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