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「くじ引き民主主義 政治にイノヴェーションを起こす」吉田徹 光文社新書 2021年 /「ほんとうの人間になるということ」竹下哲 光雲社 1989年 ③【再掲載 2014.8】 [読書記録 一般]

今回は、吉田徹さんの
「くじ引き民主主義 政治にイノヴェーションを起こす」を紹介します。


出版社の紹介には


「くじ引きに民主主義が有効に機能するためには、いくつかの欠かせな
 い条件もあるし、何にでも通用する万能の民主主義でもない。デジタ
 ル・デモクラシーやネット投票が叫ばれる時代にあって、対面と議論
 と熟慮を核とするくじ引き民主主義は、いかにも時代遅れに見えるこ
 とだろう。しかし、そのスローな感じとぬくもりは個人主義とスピー
 ドが優先される現代においてこそ、必要なものなのだ。そして温故知
 新、現代の民主主義が上手く機能していないのであれば、人類が歴史
 上すでに経験した異なる形の民主主義に範を求めて、その足りない部
 分を補えるようなイノヴェーションを起こせばよい。そもそもくじ引
 き民主主義は、おそらくもっとも根源的な民主主義に近いものなのだ。
 なぜならそれは、あなたや私を含むみんなが平等な条件でもって、共
 同体の意思決定に参加することができる民主主義だからだ。」

 
とあります。




今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「今日わたしたちが慣れ親しんでいる民主主義は選挙を通じて選ばれ
  る『代表』を介した民主主義、過去2世紀ばかりの間に発展してき
  た『代表制民主主義』である。しかし、代表制民主主義は完全な形
の民主主義ではない。手直しする方策が必要があり、そのひとつが
  『くじ引き民主主義(ロトクラシー)』である」


・「民主主義が円滑に機能するためには信頼が不可欠である」


・「高まる党派的分断、社会の分断の問題解決に必要なのは寛容と相互
承認の精神」


・「愛想をつかされているのはあくまで選挙、代表制であり、民主主義
の仕組み、理念は愛想を尽かされていない」


・「くじ引き民主主義とは、地域の市民や住民、場合によっては国民
から無作為抽出(母集団を代表するサンプル抽出)で代議員や委員
を選び、特定の課題や目的を達成するにはどうしたらよいかを話
し合い、その上で意思表明や決定をしてもらう仕組みのこと」



帯に書かれている「選挙では何も変わらない」の言葉が重く響きます。
現在の政治状況が、わたしたちの生活と離れてているように感じます。
しばらく前に読んだ本ですが、大変興味をもちました。
出版当時、大きな話題とならなかったことを不思議に感じます。



もう一つ、再掲載になりますが、竹下哲さんの
「ほんとうの人間になるということ」③を載せます。


☆「くじ引き民主主義 政治にイノヴェーションを起こす」吉田徹 光文社新書 2021年

1.jpg

◇はじめに
□古代アテネ
「民会(エクレシア)が月に数回」
   提案執行は「500人評議会(ブーレー)」 
各地の10部族からくじで選ばれた30歳以上の男性たち
   多くの重要な役職がくじ引きで選ばれていた  

□15世紀イタリア
フィレンツェ共和国 1466年5月27日
政府の役職をくじ引きで
   ↑↓
 ◎ 今日わたしたちが慣れ親しんでいる民主主義は選挙を通じて選ば
  れる「代表」を介した民主主義、過去2世紀ばかりの間に発展して
  きた「代表制民主主義」である。しかし、代表制民主主義は完全な
  形の民主主義ではない。
   ↑
◎ 様々な問題  
     市民はますます自国の経済や政党を信頼しなくなっている

 ◎ 手直しする方策が必要
     そのひとつが「くじ引き民主主義(ロトクラシー)」
        スローな感じ、ぬくもり   


◇作動しない代表制民主主義
□高度政治不信社会
日本 
    61%(国会) 49%(地方)の有権者が不信感
各国の政治不信の高まり
① 批判意識の高まり
② 政治の実際のパフォーマンスの○さ 経済上の期待に応え
     られない
③ 社会のあり方が変化していることに政治不信を求める考え
     方
  政策の実効性を低める不信
「政治的期待」
    「経済的期待」
    「社会関係資本の衰退」
◎ 民主主義が円滑に機能するためには信頼が不可欠である
高まる党派的分断
社会の分断  
      必要なのは寛容と相互承認の精神

代表制民主主義の限界① - 時間的な制約
選挙が起点 - 短期的に
代表制とは異なる時間サイクルで
  代表制民主主義の限界② - 空間的な制約
  代表制民主主義の限界③ - 非対称性
  
  立ち上がらない「主人」は誰のせい?
愛想をつかされているのはあくまで選挙
      - 代表制
 ←→ 民主主義の仕組み
         - 理念は愛想を尽かされていない
低調な日本の政治参加
  1980年代初頭     2010年
 ボイコットに参加 2% 1% 
デモに参加 7% 3.5%
請願 42% 28%
  代表制民主主義は次の3つの条件が必要
① 共同体を有効に統治することができ
    ② 人々が代表されていると感じることができ 
③ 国民が代表制を機能させている
  代表制への幻滅、民主主義への期待
  民主主義の発展経路
これまで 
     代表制が貴族制と民主主義の混合的な政治システムだった
丸山眞男
     「より多い民主主義はどのように可能になるか」


◇増発するくじ引き民主主義
□くじ引き民主主義とは?
地域の市民や住民、場合によっては国民から無作為抽出(母集団
  を代表するサンプル抽出)で代議員や委員を選び、特定の課題や目
  的を達成するにはどうしたらよいかを話し合い、その上で意思表明
  や決定をしてもらう仕組みのこと
◎ 各国で広がる「くじ引き民主主義」


<以下略>




☆「ほんとうの人間になるということ」竹下哲 光雲社 1989年 ③【再掲載 2014.8】


<人間を成就する>
◇いのちに目覚める教育
□いのちが見えなくなった時代
(1)科学的合理主義
おてんとうさま
一粒の米 
      八十八人の手 → 栄養補給源
人間の自我の立場から物事を分析的に見る
(2)都市化現象
アスファルト + コンクリート + 鉄の世界
土の匂い、いのちの匂いがしなくなった
いのちの共感 いのちの頷きあいがない
(3)物の豊かさ
大量生産大量消費 
  プロ野球のビール掛け 落花狼藉
(4)いのちの荒廃
いのちが見えなくなっている
 
□いのちに目覚める教育
(1)高等学校  
    長崎西高等学校長2年間
(2)広島の少女のこと
(3)目が覚めてみたら 
    東井義雄
(4)育つと言うこと 
    育つ力こそいのちの働き
(5)治療ということ
    ヒポクラテス
     「病は天が治し、お礼は医者がもらう」
 
□自分の花を咲かせる
(1)現前の境遇に落在して 
    自分でできることを果たす
(2)せんだんの実
(3)刑務所の囚人 
    藤原正遠先生
(4)君は君でいいんだよ 
    存在の肯定
(5)安心して今やることをやる


◇いのちを見つめて
□ いのちの働きに合掌する
(1)合掌の旅 
  (2)おかげさま

□千の子供に千の花 
  (1)自ら安立する 
      人間は自分自身を喜んでいるか?
(2)千の子供に千の花

□いのちの共感
(1)ある高校生の手紙 
  (2)いのちを分け合って


◇人間成就
□人間になるということ
人間として目覚める
如来の本願
    「人間よほんとうの人間になってください」 
1.他者と同心になる心
同じいのちを生きる者同士
人間
       - 自是他非の冷たい裁き
他と差別 排除しているエゴの存在
雑草さんごめんなさい  
        寿命無量の願
2.自分の存在を頷かれて
「ぼく猫になりたい」
      「一輪の花を」
3.人間尊重
常不軽菩薩 光明無量の願
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