(1)キーワード「国語」⑧ (2)「西行さん」鈴木 実 <「新津村の地名伝説三影」 『土のいろ』(昭和初期浜松の郷土誌)より>【再掲載】 [読書記録 教育]
今回は、5月22日に続いて、読書ノートより
キーワード「国語」の紹介 8回目です。
今回は、岩下修さんの国語物語文基本発問の紹介です。
現在の国語の授業とは大きく違います。
時代を感じます。
もう一つ、再掲載となりますが、郷土誌『土のいろ』より、
鈴木実さんの「西行さん」を紹介します。
わたしの地域の伝説ですが、大人になってから知りました。
昭和初期の文章ですが、地域の人の語り口を懐かしく思い出しました。
<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>
ものづくりのまちとも言われる浜松。
山田卓司さんのすばらしい作品を
ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。
(1)キーワード「国語」⑧
◇国語物語文基本発問 岩下修
「良い話し合いのできる問題づくり」
Ⅰ 設定
① 時は?
② 場所は?
③ 登場人物は?
④ 主人公は誰か?
Ⅱ イメージ喚起-形象化 (本を見ないで)
⑤ 話の中に出てきたもの?
⑥ 話の中に出てきた色?
⑦ その色は何色?
⑧ どんな音が聞こえた?
Ⅲ 対比・類似により形象化
⑨ 対比されている言葉?
⑩ その言葉の対比の意味は?
⑪ 類比されている言葉は?
⑫ 類比の意味は?
Ⅳ 話者の検討により形象化する
⑬ 何人称の視点で書かれていますか?
Ⅴ 人物の心情の理解を促す
⑭ 登場人物の目に見えたモノ(物,人,色,場所)は?
⑮ 登場人物の耳に聞こえたモノ(音,声)は?
⑯ 登場人物の心が一番動いたところは?
⑰ 登場人物の心が一番変わったところは?
Ⅵ 構造の理解を促す
⑱ 二つに区切るとしたらどこか?
⑲ 物語のクライマックスはどこか?
Ⅶ 主題を検討させる
⑳ この話に長い題(15~20字)を付けるとどんな題がよいか?
<自学>
発問A (この教材の場合)どんな問題なら良い話し合いになるでしょうか
発問B この中でちょっと良い話し合いになりそうもないと思うものを言ってください
(2)「西行さん」鈴木 実 <「新津村の地名伝説三影」 『土のいろ』(昭和初期浜松の郷土誌)より>【再掲載】
浜名郡新津村倉松に90近くのおばあさんがある。そのおばあさんの話によると,
「ちんちんしゃららと一条の杖をついて日本国中を歩きまはって」,
うたがたいへんうまかった
西行さんは,この倉松に生(ま)れたのだと言ってゐた。
「今から凡そ70年前に,倉松字まつり川に西行さんの墓の跡があって,其処には松が一
本たってゐた。跡といふのは田の中の周囲5,6間ぐらいの島で,おしめがはってあっ
た。西行さんは大へんうたがうまかったげな。それでこの倉松に来て死んで,ここに埋
けたと言ふことだ。」
それから又,そのおばあさんは,まつり川についても説明して呉れた。
「もとは松振川,松振川といったさうで,或時,大へんお天気のよい時に何処からともの
う,一羽の大きな鶴がまって来て,西行さんのお墓のそばで,小さな松を振り振り,何
処に落(と)さうかと思ってゐたが,たうたうお墓のすぐそばに落(と)して,又どっ
かにまって行ってしまった。つるが松を振って来たから松振り川と言ふのださうだ。そ
の松も,わしらが少しは知ってゐるが,大きな松ではなかった。『松ふり』の『ふ』を
ぬかしてしまって,今では『松り』『祭(り)』といって,お祭りの様な名になってし
まった。今はもうその松もなく,みんな田んぼになってしまった。」
と,おばあさんは話してくれた。そこで私は聞いてみた。
「それなら生(ま)れたのはどこですか。」
「こんなうたがありますよ。西行の生(ま)れ故郷は堤村、身のなれのはては松振川ばた」
「新津村の堤ですか。」
「さういうことですよ。」
「どの辺りか知って居ますか。」
「その歌だけで他は何も知りませんよ。」
「…さんはいろいろの学問のことを知ってゐなさるから,西行さんのことを教えておくん
なさい。」
と歯のない口をもぐもぐさせた。
キーワード「国語」の紹介 8回目です。
今回は、岩下修さんの国語物語文基本発問の紹介です。
現在の国語の授業とは大きく違います。
時代を感じます。
もう一つ、再掲載となりますが、郷土誌『土のいろ』より、
鈴木実さんの「西行さん」を紹介します。
わたしの地域の伝説ですが、大人になってから知りました。
昭和初期の文章ですが、地域の人の語り口を懐かしく思い出しました。
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(1)キーワード「国語」⑧
◇国語物語文基本発問 岩下修
「良い話し合いのできる問題づくり」
Ⅰ 設定
① 時は?
② 場所は?
③ 登場人物は?
④ 主人公は誰か?
Ⅱ イメージ喚起-形象化 (本を見ないで)
⑤ 話の中に出てきたもの?
⑥ 話の中に出てきた色?
⑦ その色は何色?
⑧ どんな音が聞こえた?
Ⅲ 対比・類似により形象化
⑨ 対比されている言葉?
⑩ その言葉の対比の意味は?
⑪ 類比されている言葉は?
⑫ 類比の意味は?
Ⅳ 話者の検討により形象化する
⑬ 何人称の視点で書かれていますか?
Ⅴ 人物の心情の理解を促す
⑭ 登場人物の目に見えたモノ(物,人,色,場所)は?
⑮ 登場人物の耳に聞こえたモノ(音,声)は?
⑯ 登場人物の心が一番動いたところは?
⑰ 登場人物の心が一番変わったところは?
Ⅵ 構造の理解を促す
⑱ 二つに区切るとしたらどこか?
⑲ 物語のクライマックスはどこか?
Ⅶ 主題を検討させる
⑳ この話に長い題(15~20字)を付けるとどんな題がよいか?
<自学>
発問A (この教材の場合)どんな問題なら良い話し合いになるでしょうか
発問B この中でちょっと良い話し合いになりそうもないと思うものを言ってください
(2)「西行さん」鈴木 実 <「新津村の地名伝説三影」 『土のいろ』(昭和初期浜松の郷土誌)より>【再掲載】
浜名郡新津村倉松に90近くのおばあさんがある。そのおばあさんの話によると,
「ちんちんしゃららと一条の杖をついて日本国中を歩きまはって」,
うたがたいへんうまかった
西行さんは,この倉松に生(ま)れたのだと言ってゐた。
「今から凡そ70年前に,倉松字まつり川に西行さんの墓の跡があって,其処には松が一
本たってゐた。跡といふのは田の中の周囲5,6間ぐらいの島で,おしめがはってあっ
た。西行さんは大へんうたがうまかったげな。それでこの倉松に来て死んで,ここに埋
けたと言ふことだ。」
それから又,そのおばあさんは,まつり川についても説明して呉れた。
「もとは松振川,松振川といったさうで,或時,大へんお天気のよい時に何処からともの
う,一羽の大きな鶴がまって来て,西行さんのお墓のそばで,小さな松を振り振り,何
処に落(と)さうかと思ってゐたが,たうたうお墓のすぐそばに落(と)して,又どっ
かにまって行ってしまった。つるが松を振って来たから松振り川と言ふのださうだ。そ
の松も,わしらが少しは知ってゐるが,大きな松ではなかった。『松ふり』の『ふ』を
ぬかしてしまって,今では『松り』『祭(り)』といって,お祭りの様な名になってし
まった。今はもうその松もなく,みんな田んぼになってしまった。」
と,おばあさんは話してくれた。そこで私は聞いてみた。
「それなら生(ま)れたのはどこですか。」
「こんなうたがありますよ。西行の生(ま)れ故郷は堤村、身のなれのはては松振川ばた」
「新津村の堤ですか。」
「さういうことですよ。」
「どの辺りか知って居ますか。」
「その歌だけで他は何も知りませんよ。」
「…さんはいろいろの学問のことを知ってゐなさるから,西行さんのことを教えておくん
なさい。」
と歯のない口をもぐもぐさせた。