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竹原泰三さんはこんなことを(月刊「少年育成」より)① - 教育基本法見直しの「中間報告」を考える  竹原泰三 ジャーナリスト /「哲学が好きになる本」96年度版 御厨良一 エール出版社 1995年 ③(最終)【再掲載 2013.9】 [読書記録 教育]

今回は、かつての月刊「少年育成」誌のコラムから、
「竹原泰三さんはこんなことを」①を紹介します。

20年前の文章です。
教育基本法を見直して、効果があったということができるのでしょうか。


もう一つ、再掲載になりますが、御厨良一さんの
「哲学が好きになる本」③を載せます。






☆竹原泰三さんはこんなことを(月刊「少年育成」より)① - 教育基本法見直しの「中間報告」を考える  竹原泰三 ジャーナリスト

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 文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会が昨年11月、教育基本法の
見直しについての「中間報告」を明らかにした。


 中間報告は現行法の理念は大切としながらも、こうした理念だけでは不十分
で、見直しを行うべきだとしている。


 そして、□伝統や文化を尊重し「郷土や国を愛する心」を育てる。□社会が
直面する課題の解決に主体的に貢献する「公共の精神」を育むことなどを、教
育の基本理念として新たに定めるべきだとしている。


また、□豊かな情操や基本的な生活習慣を養ううえで家庭が重要だとして,家
庭の果たすべき役割や責任についても法律で定めるべきだとしている。


 教育基本法見直しの議論の背景には、少年犯罪の凶悪化やいじめ、不登校な
ど教育現場の問題が深刻化しているという現実がある。


 それではマスコミは中間報告をどのように伝えただろうか。
 

「朝日新聞」は、一面は比較的客観的に伝えているが、それでも「反対者は根
強く、改正の是非をめぐる論議は高まりそう」と付け加えている。


 二面に目を移すと、「今なぜ改正-見えず」、「課題先送り、内部に批判」
「低い関心、強まる反対論」といった見出しが目立つ。そのなかで、「国民の
意見を拝聴するといっても半煮えのままにしていて、味はいかがですか、と聞
くようなもの。返事に困る」という、審議会の委員でもある教育学者の発言を
紹介している。


 しかし、この意見については朝日新聞自身が、「このような発言をする委員
はほかにはいなかった」と書いている。


 これではたった一人の委員の発言を根拠に、中間報告全体を否定しようとし
ているようなものである。


 朝日新聞はさらに、日本PTA全国協議会が小中学生の保護者を対象におこ
なったアンケート調査で、基本法の内容を知らない人が約85%を占めたとし
ている。


 この論法でいくなら、同じように改定が議論されている「憲法」についても、
条文をよく知っている人がどのくらいいるだろうか。


 一般の人の関心はこの程度である。


 自分の都合のいいところだけを取り出して議論するのは常道ではあるが、説
得力はない。


 要するに朝日新聞は基本法の見直しには反対で、「国家主義からの脱却を目
指した戦後教育の否定つながる」「憲法改正への一歩になる」といった反対論
を代弁しているにすぎない。


 「東京新聞」はなぜか翌週になって特集記事を載せている。


 反対の立場の教育学者の委員の意見を多く採り入れているところは、朝日新
聞をまねたか、あるいは朝日新開の記者が書いたかと思わせるほどである。


 しかし、「愛国心」の表現をめぐって政治家が、「愛国心を国を愛する心な
どと、かみついた話を紹介し、基本法見直しの核心ともいえる点での議論の様
子をにおわせている。


「産経新聞」は中間報告を歓迎する立場で書いている。


「意義深いのは『国や公』土を愛する心」や「公共に主体的に参画する心」が
盛り込まれたことだ」「学校現場ではこれまで、こうした価値観は一貫してな
いがしろにされる傾向があった」「教員自治」や「職員会議至上主義」が横行
し…をことさら敵視する価値観があった点は見逃せない」。朝日や東京新聞と
は明らかに論調が違う。


 「中間報告」が出されたのをきっかけに改めて教育基本法を読み直した。
「補則」も含めて全部で十一条からなる基本法は前文で、憲法とともに「民主
的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献する決意」を示
している。


 そして、(第一条)心身ともに健康な国民の育成、(第二条)自他の敬愛と協
力による、文化の創造と発展への貢献、(第六条)学校教員、などが規定されて
いる。


 基本法見直しの識者の中には、朝日新聞が指摘しているように、なぜ今見直
しが必要なのか、現行の法律で十分ではないか、といった意見がある。しかし、
そういう人は、教育が行き詰まった結果をどのように見ているのだろうか。


 教育基本法が制定さたのは、戦後聞もない昭和22年3月である。


 その後一度も見直されたことはないが、改正論は制定直後から何度もあっ
た。


 「愛国心」や「伝統」を重んじる賛成派と、「復古的なナショナリズムや国
家主義にむすびつく」とする反対派の対立が続いた。見直し案が具体化したの
は初めてである。


 今後は愛国心とともに、教職員の職務が議論の重要な課題になりそうである。
       (2003.1月号)






☆「哲学が好きになる本」96年度版 御厨良一 エール出版社 1995年 ③(最終)【再掲載 2013.9】

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◇ジョン=ロック
「市民政治二元論」
社会契約説 
      「社会契約」と「自然状態」
  人間の本性
    … 性善説
  自然状態では生命・健康・自己所有が不安定・不確実だから社会状態
   に移行せざるを得ない

    自然的自由を捨て,市民社会の拘束を受ける状態
     = 社会状態に入っていく   
        1 国民主権
     2 私有財産
      3 多数決原理
    4 革命権の主張
    権力の分立
    抵抗権


◇ルソー  
  ロックと対立する社会契約説
   - 社会主義的民主制の中に
  外に向かう自由
    … リバティ 
  内に向かう自由
    … フリーダム


◇デカルト 
  近代的自我の発見
   - 正しく導き正当に考察する
 数学的論理的手法
    演繹的方法
近代的自我の確立
合理論の確立
近代哲学の金字塔
 

◇カント  
  悟性によって事実判断がなされ,理性によって価値判断が成される
  「自分には道徳を,そして他人には幸福を…」
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