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「宮本常一さん 教育について」 27 「彷徨のまなざし」長浜功 明石書店 1995年 ① [読書記録 教育]

「金というものは,儲けるのはそんなに難しくない。しかし,使うのは難しい。それだけ
 は忘れないように。」






今回は11月26日に続いて、
「宮本常一さん 教育について」27回目。


長浜功さんの
「彷徨のまなざし」1回目の紹介となります。





出版社の案内には、

「『民衆』という言葉を使い、民衆の視線と同じ高さで民衆を論じた民俗学者・宮本常一。
 その生涯と全国を歩いて調査した旅について概観し、彼の業績と民俗学研究上での役割
 を考える。」

とあります。


父の十訓をこれまで何回か本ブログで紹介してきましたが、
何度読んでも心に響きます。



今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「民衆は抑圧され虐げられてきたのではない」


・「道をシャンと歩けるものは仕事もまたきちんとする人になる」


・「大切なのは話のきっかけを作ること」
「自分の顔が一番よい紹介状」


・「べたべた歩く = 野暮ったさが信頼の印」
- ほっとする言葉です。






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☆「宮本常一さん 教育について」 27 「彷徨のまなざし」長浜功 明石書店 1995年 ①
 
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◇宮本学再評価

□評価されていない理由 

 ① 全体像が定まっていない
 
             
 ② 後継者の動きが慎重


 ③ 学界の体質 

    学閥  野生の学者の一人


 ④ 保守主義と位置づけ否定する,左翼・進歩的革新的学者



□民衆と共に  

 宮本は「常民」を使わず「民衆」

「民衆は抑圧され虐げられてきたのではない」



「調査者でなく友人であれ」
 




◇父の人生訓(父の十訓)

① 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ。田や畑に何が植えられているか,育ちがよいか
 悪いか,村の家が大きいか小さいか,瓦葺きか草葺きか。駅に着いたら人の乗り降りに
 注意せよ。服装に注意せよ。駅の荷置き場にどういう荷が置かれているかをよく見よ。
 そういうことで,その土地が富んでいるか貧しいか,よく働くところかそうでないとこ
 ろか,よく分かる。



② 村でも町でも新しく訪ねていった所は,必ず高い所に上がって見よ。方向を知り,目
 立つものを見よ。峠の上で村を見下ろすようなところがあったら,お宮の森やお寺や目
 に付くものをまず見,家のあり方や田畑のあり方を見,周囲の山々をよく見ておけ。そ
 して,山の上で目を引いたものがあったら,そこへは必ず行ってみることだ。高い所で
 よく見ていたら,道に迷うことはない。



③ 金があったらその土地の名物や料理は食べておくのがよい。その土地の暮らしの高さ
 が分かるものだ。



④ 時間のゆとりがあったら,できるだけ歩いてみることだ。いろいろのことを教えられ
 る。



⑤ 金というものは,儲けるのはそんなに難しくない。しかし,使うのは難しい。それだ
 けは忘れないように。



⑥ 私は,お前を思うように勉強させてやることはできない。だから,お前には何も注文
 しない。好きなようにやってくれ。しかし,身体は大切にせよ。三十歳までは,お前を
 勘当したつもりでいる。しかし,三十歳を過ぎたら親のあることを思い出せ。



⑦ ただし,病気になったり自分で解決のつかないようなことがあったら,郷里に戻って
 こい。親はいつでも待っている。



⑧ これから先は子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしない
 と世の中は良くならぬ。



⑨ 自分でよいと思ったことはやってみよ。それで失敗したからといって親は責めはせぬ。



⑩ 人の見残したものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。焦る
 ことはない。自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。


 

◇旅の明け暮れ
  
□日本中をべたべた歩く 「カッタイ道」さえ

「道をシャンと歩けるものは仕事もまたきちんとする人になる」

 旅は生きた教科書



□旅の明け暮れ  

 すさまじい貧乏旅行

 家族を放っての旅 … 自らに厳しく他人に寛容



□旅に生きる人々 

 きっかけ(の言葉は=ハマコウ註)
   「お天気でよろしゅうございます」

「ご苦労様でございます」

  「この花は何と言いますか」



 大切なのは話のきっかけを作ること


 自分の顔が一番よい紹介状


 旅の目的「村に生きる人々からの聞き取り」


 べたべた歩く = 野暮ったさが信頼の印





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