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「倒れないでくれ!教え子たちよ」  『普通の教師が“普通に"生きる学校―モンスター・ペアレント論を超えて』小野田正利 時事通信社 2013年 より 後半 [読書記録 教育]

今回は、3月22日に続いて、小野田正利さんの
「倒れないでくれ!教え子たちよ」の紹介 2回目、後半です。



『内外教育』誌の連載を興味深く読んでいます。
現在の教育の、社会の課題の1つを知ることができます。


出版社の案内には、


「学校の先生、保護者のみなさん、『相手が分かってくれない』と思っていませんか?全
 国津々浦々をまわって、先生たちを元気づける講演を行っている、小野田正利・大阪大
 教授が、豊富な事例とともにトラブル回避の方法を伝授! 学校と保護者の間に生じる『ト
 ラブル』や『紛争状況』を、どうやって解決していくか。双方の間の意識の『ずれ』を
 解消するために、互いに何ができるのか。 本来であれば、子どもの成長をともに喜び
 とし、目的とする学校と保護者はどこでボタンの掛け違いをしてしまうのか。『お父ち
 ゃんが学校に怒鳴りこんできたのは、本当は別の理由だった』(『父ちゃんの愛情弁
 当』)。『話がまとまりかけた頃に、校長先生がつい漏らしてしまった不注意な一言で
 …』(「その『ひとこと』で座り直す」)など、豊富なエピソードを基に、学校の先生が、
 生き生きと活躍できる学校環境をつくりあげる秘訣が満載です。」


とあります。




どの学校も研修を行っています。
もちろん、教育力を高めるために必要ですが、研究していこうともなれば、何とか成果を
出さなくてはと、無理を重ねてしまうところも多いようです。
恒例だった「(自主)研究発表会」を思い切って取りやめた学校もあります。
労力対効果を第1に考えるべきだと感じています。






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☆「倒れないでくれ!教え子たちよ」  『普通の教師が“普通に"生きる学校―モンスター・ペアレント論を超えて』小野田正利 時事通信社 2013年 より 後半

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○教師となった教え子からのメール

 今日は金曜なので、早めに仕事を切り上げて(とは言っても8時ですが…そして仕事は
土日に持ち越し)帰宅したところ、先生が郵送してくださった冊子が届いていましたので、
さっそく読ませていただきました。


 それにしても、先生の送ってくださった冊子を見て、つくづく頑張りすぎてはいけない
な、と改めて思いました。


 余裕をもって働けるように、なんとか工夫しなければと思います。教員生活9年目とな
り、当たり前と思っている生活でも、いざ振り返ってみるとハードだなあと思えます。



 今目で言えば、7時15分に出勤。7時30分から8時まで卸活動の朝練指導。学年の先
生と簡単な打ち合わせをして、8時10分に教室に行く。


 8時18分から朝の合唱練習を始めるために、時間ぎりぎりにやってくる生徒をせかし
て大きな声をあげ、時計とにらめっこで、慌ただしく時間が過ぎていきます。


 授業と授業の10分の合間は、時間ぎりぎりまで自分の担任するクラスの生徒たちが、
ちゃんと教室にはいるのを確認してから、自分自身の担当授業のために教室に移動します。


 午前中に3時間の授業を行い、残りの秋の一時間は、生徒が提出した生活ノートの点検
をして使い切ってしまいます。


 午後の授業の2時間のうち、空き時間の1時間は、生徒が提出してたまりにたまった社
会科のレポートをチェックして終わり。


 この点検は、前日にやろうと思っていたのですが、昨晩に中体連のバレーボールの会議
があったため、時間がまったくとれませんでした。


 掃除時間は、なかなかまじめにやらない生徒よりも一生懸命すみずみまで掃除をし、帰
りの会を終えて、教室から生徒を追い出し、生徒の下校を校門で確認して5時。今日は部
活がなかったので、生徒との関わりはこの時刻まで。


 これが、普通に部活がある日だと6時下校になります。


 その後、生徒の提出したノートにコメントを書き終え、ようやく8時すぎに学校をあと
にします、しめて5時間の勤務外労働でした、明目は土曜日で授業がない日なのでこの程
度ですが、翌日に授業があればその準備でさらに遅くなることのほうが多いです。


 最近は個人情報の問題もあるので、仕事も持ち帰りづらくなっています。


 とはいえ、最近は手抜きを覚えてしまったので、前よりは帰宅時間が早くなっています。


 しかし、娘たちをお風呂に入れる時間には間に合わず、寝顔しか見ることのできない日
ばかりです。


 妻には迷惑かけています。


 話変わって、○○県には研修校制度というものがあり、指定された研修校ともなると、
毎日の勤務は夜12時を超えて当然という学校もあります。知り合いの多くの先生が研修
校勤務となっていますが、話を聞くたびにうんざりします。


研究のため、発表のためとの号令の下、文章作り(指導案作成や論文作成)の仕事ばか
りに時間を費やし、勤務時間外の校内会議だらけで、家庭と健康を犠牡にしながら働くこ
とは理解できません。


 いつかは研修校に行った方がよいと言われますが、どうもそんな気にはなれません。


 そこまでしないと研修の時間がとれず、授業力がつかず、教員として必要な教育力がつ
かない言ってしまえば、元も子もないのですが…。


 実際そのような研修校勤務を乗り切った先生方は、確かに力のある先生ばかりのように
思います。


 けれど、時間外勤務を前提として、日々の余裕がまったくない生活を5年も強いられる
のは…。
 

 と、なにか愚痴ばかりとなってしまいましたが、先生からもらった冊子を読んで、教員
の仕事のやりがいや社会的使命を再確認しました,それを全うするためにも、うまく休ん
で、日々を楽しんで、元気に教壇に立てることに全力を尽くします、.


 ということで、来週土曜日にバレーボール関係の出張で大阪に行ったついでに昔の仲間
たちと飲んで元気を出します。

 
 今年、家庭訪問で生徒宅を回った折は、今までになく「先生も大変ですねえ」という言
葉をかけてもらいました。


 これも、小野田先生が各地でがんばってくださっているおかげだと、本当にありがたく
思っています。

 暑くなってきましたので、先生もお体に気をつけてご活躍ください







 教え子からのメールの発信は夜の11時だった。私は次のような返信をした。

「 たっぶりのメールありがとう。状況を彷彿とさせる内容ですね。私たち教育学者が、
 きちんと社会全体に向かって、今の学校をめぐる状況を、分かるような形で伝え切れて
 いないもどか しさがあります。

  大学教師27年間の中で、教師になった教え子をうつ病による自死でなくしたことも
 あります。うつ病で数回休職して不安状態の中でこの春から再び教壇に戻ったものの、
 残念なことに退職した者もいます。

  あなたへのお願いなのですが『どうか自分の心と身体を大切に』ということです。そ
 れはあなただけのものではなく、奥さんや愛娘のものでもあるのです」






◎ポイント

 ① 教師となった教え子に「頑張り過ぎるな!」と言わなければいけないほど状況が悪
  化している。

 ② 教師たちの過酷な労働実態を、どうすれば世間に伝えられるか。教育学者たちがそ
  の使命の一部を負う必要がある。

 ③ 教師労働の「質」に焦点を当てる研究が必要。

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