SSブログ

「授業の展開」斎藤喜博 国土社 2006年(1964年の新装版) ③(最終) [読書記録 教育]

今回は、12月24日に続いて、斎藤喜博さんの
「授業の展開」の紹介3回目 最終です。




出版社の案内には、


「この本は今や授業の実践と研究では“伝説”の存在になりつつある斎藤喜博の授業に関
 わる三部作の三作目のもので、もっとも内容が豊富で、理論的にも実践的にも最重要な
 書となっている。」


とあります。


斎藤喜博氏の強烈なリーダーシップ、教員の思いの強さを感じます。



斎藤喜博さんの『君の可能性―なぜ学校に行くのか』(ちくま文庫)は、
子どもたちに読んでもらいたい本です。




今回紹介文より強く印象に残った言葉は…

・「読ませる指導案」


・「その人間を感じさせるような授業案」


・「何を,どういう角度から子どもに投げ掛け,という質の思考を子どもにさせてやろう」


・「『発問はこの発問から始めるのだ』ぐらいまで明確に」




<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。

浜松ジオラマファクトリー






☆「授業の展開」斎藤喜博 国土社 ③(最終)

1.jpg

◇展開の組織

Ⅰ 授業案の立て方

1 授業案について

 ① 第三者にも理解できる 

     第三者にも意欲を


 ② 読ませる指導案   

     読み物としてその授業の世界に読者を引き込む


 ③ 第三者にも豊かなイメージが湧いてくる


 ④ その人間を感じさせるような授業案 

     個性的な授業案






 ① 何よりも自分の為に書く

    自分なりの考えなり方向なりをはっきりさせる 自分との対面


 ② 子どもとの対話のある授業案

    具体的な子どもの姿  読者は子ども




2 授業案の形式




3 島小授業案形式の解説

(2) 教材の解釈 … 一人の大人としての考えを自由に書く

   その教師の人間としての最高の読み取り

      ∥

   教師の力が分かる 
     教材解釈,教材と対面,専門的な力


(3) 授業展開の角度 = 教師の願い

    角度がはっきりすることにより,単純化され明確に方向があり意欲のあるものに
         
  「何を,どういう角度から子どもに投げ掛け,という質の思考を子どもにさせてやろ
   う」    


(4) 全体の指導計画

    角度をさらに明確にする為の時間配当

    具体的に角度に触れて


(5) この時間の目標

   この時間に配分された角度をさらに整理し,分析して,その時間に配分された角度
  を実現する為の方向を明確にする
         
  「発問はこの発問から始めるのだ」ぐらいまで明確に    


(6) この時間の計画

    展開の核 

    子どもの可能性 

    授業の結晶点 

    予想される難関




4 展開の変更








Ⅱ 授業の形態

1 はじめに 

(1) 個人学習


(2) 組織学習  

   交流 ~ 自分から関わりを持つ
                 
   → 一人一人に子どもの学習をつなげる


(3) 一斉学習 

   共通問題を対象に 

   学習の山


(4) 整理学習 

   整理し確実に一人一人のものにする

nice!(146)  コメント(2) 
共通テーマ:学校

草柳大蔵さんはこんなことを42 [読書記録 教育]

今回は、12月23日に続いて、わたしの読書ノートから、
「草柳大蔵さんはこんなことを」42回目の紹介です。





今回も、「続午前8時のメッセージ」(静岡新聞社)からの紹介です。




出版社の案内には、


「評論家・草柳大蔵が送る待望の第2弾。家庭、学校、社会、さまざまな角度から子ども
 の心を見つめ、輝く未来のために祈りを込めて語る珠玉の99話。」


とあります。



わたしが子どもの頃は「公害」が大きな話題となっていました。






<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。

浜松ジオラマファクトリー




☆草柳大蔵さんはこんなことを42

1.jpg

☆「続午前8時のメッセージ」草柳大蔵 静岡新聞社 2002年(8)

◇水俣病患者と歩んだ医師

 熊本大学医学部で40年余り水俣病に取り組んできた原田正純さんは、2001年の吉
川英治文化賞を受賞された一人です。


 私はこの授賞式を拝見する立場にありました。
 

 原田先生がかかわった何百人かの水俣病の患者さんの中の一人、ある漁師のおかみさん
の話です。


 おかみさんの長女は胎児のときから水俣病で、目も見えず聴覚もなく、言語能力もなく
手足は伸び切ってしまったままでした。

 夫妻は娘さんを智子と名付けて大切にし、


 毎晩抱いて眠ったそうです。


 1971年にユージン・スミスという世界的な写真家が水俣に住み込んで水俣病の一切
を写真に撮り、写真集を出版しました。


 世界中の人が彼の作品を通じて、水俣病という人間が犯してはならない文明上の過ちを
認識したのです。



 原田先生の話は写真集が出たところから始まります。


 先生はこの写真集で、湯船の中で智子ちゃんを抱く写真「入浴する母子像」を見て驚き
ました。


 それで、お母さんに「何で智子ちゃんを写させるんだよ?」と聞いたそうです。



 やり切れなかったんでしょうね。


 そしたらお母さんが


「『何で』って先生、どうして聞くだね? この子はね、世界の宝なんだよ。智子は世界
 の宝だから写させたんだよ」


と答えたというんですよ。


「どうして『世界の宝』なの?」


と尋ねる原田先生に、おかみさんは言ったそうです。



「第一に、この子がお腹にいるときに私が水銀のたっぷり入った水俣の魚を食べた。そし
 てお腹から出たときから、耳も聞こえなければ目も見えなければ口も利けず、全身に全
 く力がないのだけど、それは、智子が私の体の中の水俣の魚の毒を全部食べたからだ。
 そのおかげで私は智子の後6人の子どもを生んだけれども、だれ一人水銀を持った子が
 生まれなかった。だから智子が自分一人で、この小さな体で、みんな水銀の毒を吸い取
 ってくれたんだよ。
 第二には、私がこの智子に掛かり切りでほかの子どもたちの面倒を全く見てやれなかっ
 たために、6人の弟妹は、母親から何の手助けも得られないままに、お互いが支え合い
 助け合って子どものころから自立できたんだ。今、立派にこの6人は自立している。こ
 れも言ってみれば智子のおかげだね。
 第三には、ユージン・スミス先生の写真集に載ることによって、世界中の人が『水俣病
 はひどい。こんなことをしてはいけない』という反省をしてくれただろ?先生、だから
 智子は世界の宝なんだよ。宝を人に見せて何が悪いのかね?」

と。



 原田先生は「分かりました」と頭を下げて帰ったそうです。

nice!(145)  コメント(0) 
共通テーマ:学校