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「鎮守の森は泣いている」山折哲雄 PHP 2001年 ③ / 東井義雄の言葉25-「喜びの種をまこう」東井義雄 柏樹社より④【再掲載 2014.8】 [読書記録 一般]

今回は、2月27日に続いて、山折哲雄さんの、
「鎮守の森は泣いている」の紹介 3回目です。


出版社の案内には、

「いま日本人は自らの『心』の在り処を見失いつつある。何に感動し何
 を悲しみ、日々をどう生き、死に際して何を考えたのか。この国に連
 綿と繋がる感性を取り戻す事が強く求められている。
 本書では『日本人の信仰のかたち』を見つめてきた著者が、人々の感
 性を掘り起こしていく。
 西行、芭蕉という『日本をさまよう』求道者がいた。彼らは蔑まれ孤
 独の中に生きる『こじき』に憧れ、そうなる事で悟りを開こうとした
 のだ。つまり私を無の状態にしたとき、ものがよく見えてくると信じ、
 そういう心の在り方、生き方にどこまでもこだわった、と著者は言う。
 また日本には『人間は一度死を通過する事で神になることができる』
 という独自の死の感覚があり、そこから死の世界の近くにいる『老人』
 が神にも等しい存在として崇められてきたのである、と述べていく。
 日本人の行動規範をユニークかつ大胆な視点から論じていく、眼から
 ウロコが落ちる日本人論。」

とあります。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「宗教的構成と政治的権力の二元構造」


・「日本人の倫理観は『奉公』がモチーフとなる 
『貧しさからの脱出』と『義侠心』」


・「温和な自然であり凶暴な自然でもある風土が生み出した
日本人の『無常』感覚」
「廃墟の情景に美を感じる」



もう一つ、再掲載になりますが、東井義雄さんの
「喜びの種をまこう」④を載せます。







☆「鎮守の森は泣いている」山折哲雄 PHP 2001年 ③

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◇日本人の心情
  明治維新を無血革命にした日本人のメンタリティ
 
  「無」の人間観はどこから生まれるのか
 
  心身一体となって得る「無」の状態
 
  「無私」が矛盾する生き方をバランスさせる
 
  宗教的構成と政治的権力の二元構造  

  天皇家の移転の儀式・大嘗祭
 
  宮中で行われる2種類の正月行事
  神道中心  前七日の節会
 仏教中心  後七日の御修会
 
  霊肉二元の考え方が生む殯の観念 
  乃木希典の殉死45日間殯のあと
      | 
 天皇 1か月 1年の殯も多い

 王位継承者が見つからないような場合
  生理的な死
 社会的な死
 
  諸外国にはない日本の王権の特殊性
    「人すなわち神」という日本型人神思想  

  「人を信じる」ことから成り立つ日本の社会秩序
     最大の悪は裏切り 
      ~ 内部告発 
 
  山本周五郎や司馬遼太郎の小説に現れる日本人の倫理観
    「奉公」がモチーフ 
 「貧しさからの脱出」「義侠心」

  「戦後」の底流に流れる内村鑑三の無教会主義
  内村「2つのJ」 Japan 、Jesus Christ

  怨念を鎮める装置としての加持祈祷 
    怨霊思想  怨霊史観(梅原猛)
 平安時代の怨霊の考え方
      桓武天皇 弟の早良親王を死に… 

怨霊会
    物の怪 
 ニーチェ 
      ルサンチマン  → 革命
 地鎮祭   
      土地の神に敬意 
        ~ 祟りをおそれる気持ち
 
  風土が生み出した日本人の「無常」感覚
  「温和な自然」と「凶暴な自然」
    廃墟の情景に美を感じる








☆東井義雄の言葉25-「喜びの種をまこう」東井義雄 柏樹社より④【再掲載 2014.8】
 
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◇「お茶くみなんて…」
   ある女性がそれに対して…
 「…もっとお茶くみの楽しさを味わってほしいのです。朝の一杯のお
  茶は,会社の活力を生みます。そう考えたらどうでしょう。まるみ
  のある,心のこもった温かい一杯のお茶,こんなことを大勢の男性
  にしてあげられるのも私たちだけの特権です。未来の大切な人のた
  めに,お茶だけでも上手に入れてあげられるように,この特権を大
  いに利用しようではありませんか」


◇日本   
  豊かさ 
  ←→ 潤いがなくなり,温かさが失われ,住みにくくなりつつある
 「皆が大きいこと目立つことに心を奪われ,小さな心配り 小さい事
  柄を粗末にしているからではないでしょうか」


◇無罪の七施
「一切経」の中の「雑法蔵経」の中の教え
   ①眼施 ②和顔悦色施 ③言辞施 ④身施 
   ⑤心施 ⑥床座施 ⑦房舎施
  - 樹は,また,太い巨大なところだけで生きているのではなく,
   一枚の葉も,一本の細い根も重大な役割を担っている

 ◎ 人生においても,派手でないこと,小さいこと,外見にはなか
   なか現れてこないこと,みんなが忘れやすいものの中に全体の価
   値を決定するほど大切なものがあることを今考え直すべき


◇「眼施」 - ものごとの「見方」を考え直してみよう
□牛飼いさんの話 
  二人の違い…
   一人は
     「飼料は高いし,牛は安いし,土日もないどころか盆も正月
      もありません。ええことはなんにもありません」
 一人は
     「はい,おかげさんで今日も牛どんに養うてもろうとります」

□ 心と心 国語教科書・四年・巻八
「心と心」
軒下にはらばへる黒き犬    縁側にうずくまる三毛のねこ
憎しき黒と思えば    愛らしき三毛と思えば
黒もまた意地悪き人と見るらん 三毛もまた慕わしき人を見るらん
歯をむきてううとうなりて  毛を立ててのどを鳴らして
垣を出てゆく   我にすり寄る

  ◎ 慈愛の目で相手を見ればつながり合った大きないのちをいきる
   ことができる
- 植物,動物,慈愛の目に敏感に反応

□米田啓祐先生の目
  「…気の弱さをもっともっと大切に」

□宮本善四郎先生の目
  けんかした子どもに 
   「弱い者いじめをしない。たいしたものだ」
  → 宮本先生の見方が子供を変えた

□井上和昌先生の目
  M君の作文が学級を変える
  ◎ 井上先生は なぜM君がみんなに嫌がらせや乱暴をしても 叱
   らなかったのでしょうか?
  → ◎ 伸びたがっているのは草や木だけではない
つまらない子になりたがっている子なんて一人もいない

□平野寿先生の目
  家出少年を自宅に  
  親に連絡してから 
   → 一週間面倒を見る

□心の目の視力表
  ○は大きく×は小さく

□二人のお嫁さんと二人のお姑さん
人を見る目,自分を見る目が周りを輝かせ自分を幸せに導く上に大
 きな役割を果たすことを教えられる思いがする

□しあわせの見える目
  全盲の六年生
  「先生,そりゃもし見えたら真っ先に母ちゃんの顔が見たいね。け
   ど,もし見えたら,ぼくなんかあれも見たいこれも見たいという
   ことになってしもて,気が散って,ダメになってしまうかもわか
   らへん。見えんかて別にどうということもあらへん。先生そりゃ
   見えんのは不自由だで。でも,ぼく不幸や思ったこといっぺんも
   あらへん。先生,不自由と不幸とは違うんやね」
 - ◎ 物の姿・形・色合いを見る力は持っていない。
    でも,「幸せを見る目」を育ててもらっている。
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