キーワード 読書について63-「生きることを学んだ本」高史明 ちくまプライマリーブック 1987年 ① /「津波と原発」佐野眞一 講談社 2011年 ① 【再掲載 2012.7】 [読書記録 一般]
今回は3月1日に続いて、
「キーワード 読書について」63回目、
「生きることを学んだ本」の紹介 1回目です。
出版社の案内には、
「貧乏な朝鮮人の家に生まれ、およそ本とは縁のない生活だったけれど、
人生の節目には必ず本との出会いがあった。むすこの自死をきっかけ
にそれらをもう一度読み返し、作中の人物五十余人をとりあげながら、
人間とは何かを考える。」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「人間は常に人間への問いを抱き続けてこそ人間の責任を果たし得る」
・「本当の賢さとは?悪魔は『働かないで生きる方法』を説く。知識の
みをよしとするものはいのちを見失い、知識に敗れるのだ」
・「近代とは人間の物質的な豊かさを向上させるとともに、心の深淵
をいよいよ暗くしていると言える」
・「『己のものだぞ』(『蜘蛛の糸』芥川龍之介)という言葉、人間はいの
ちを自分のものとしているがゆえに死ぬのである」
もう一つ、再掲載になりますが、佐野眞一さんの
「津波と原発」①を載せます。
あれだけの避難者を出しておきながら、
未だに原発再稼働を急がせる人々…
「わたしたちがその地域に住むから」のひと言もなく?
☆キーワード 読書について63-「生きることを学んだ本」高史明 ちくまプライマリーブック 1987年 ①
◇生きることと読むということ
石川啄木『一握の砂』
生きている人々に学ぶ
… 労働者の明るさ善良さ
人間とは何か
政治運動への絶望
◎ 人間は常に人間への問いを抱き続けてこそ人間の責任を果
たし得る
◇愛のかたち
『ヴィヨンの妻』 太宰治
『父と子』 ヘミングウェイ 谷口陸男訳
『伸び支度』 島崎藤村
『小さき者へ』 有島武郎
死に照らされる生、その生が改めて死を照らすものになると
き愛が生まれる
『帰ってきた子供』 タゴール 清水茂訳
『エミリーのばら』 フォークナー 瀧口直太郎訳
『顔の中の赤い月』 野間宏
『可愛い女』 チェーホフ 原久一郎訳
人を愛し仕事を愛する
『ひとよ草』 幸田露伴
『雪山童子の求法』 ジャータカ 平川彰訳
釈尊の過去物語
◇命の優しさと悲しさ
『人間の誕生』 ゴーリキー 湯浅芳子訳
『山椒魚』 井伏鱒二
『よだかの星』 宮沢賢治
近代の我
生あるものの幸せを願う「悲」
『城の崎にて』 志賀直哉
『生物祭』 伊藤整
『赤蛙』 島木健作
『春先の風』 中野重治
『二銭銅貨』 黒島伝治
『セメント樽の中の手紙』 葉山嘉樹
『小さな王国』 谷崎潤一郎
◇人が言葉を持つこと
『春の鳥』 国木田独歩
『風と光と二十の私と』 坂口安吾
要は魂の問題だ
『少年少女』 アナトール・フランス 三好達治訳
『夕鶴』 木下順二
言葉の知恵は金を生む。その代わり人間をバラバラにして命
を見失わせる働きを隠し持っている
~ いのちの美しさと哀しさ
『イワンのばか』 トルストイ 樹下節訳
本当の賢さとは?
悪魔は「働かないで生きる方法」を説く
知識のみをよしとするものはいのちを見失い、知識に敗れ
るのだ
『こころ』夏目漱石
釈迦
「心は遠くに行き、独り動き、形体なく、胸の奥の洞窟に
潜んでいる。この心を制する人々は死の束縛から逃れる
であろう」
先生
「自由と独立と己とに充ちた現代に生まれた我々は、その
犠牲として、みんな淋しみを味わわなくてはならないで
しょう」
「~自分が信用できないから人も信用できないようになっ
ているのです」
- ◎ 近代とは人間の物質的な豊かさを向上させるととも
に、心の深淵をいよいよ暗くしていると言える
『ソクラテスの弁明』 プラトン 田中美智太郎訳
『狂人日記』 魯迅 竹内好訳
『最初の苦悩』 フランツ・カフカ 原田義人訳
『ネギをうえた人』 朝鮮民話
◇自分との出会い
『杜子春』 芥川龍之介
命の私物化と人間の絶望
命を見失っている自我が行き着くところは死
「ただの人」の尊さ
『蜘蛛の糸』 芥川龍之介
「己のものだぞ」
~ 人間はいのちを自分のものとしているがゆえに死ぬので
ある
『鼻』 ゴーゴリ
『ナポレオンと田虫』 横光利一
『火を点ずる』 小川未明
『蜆』 梅崎春生
親鸞
「さるべき業縁のもよおせば いかなるふるまいもすべし」
『故郷』 魯迅 竹内好訳
『雪白姫』 グリム 金田鬼一訳
◇人間が人間であること
『ひかりごけ』 武田泰淳
「我慢」の意味
『重右衛門の最期』 田山花袋
『老人』 モーパッサン
人間は生の方から死を見る。その生がすでにして死の方か
ら見られていることに気付かないで済む
『高瀬舟』 森鴎外
☆「津波と原発」佐野眞一 講談社 2011年 ① 【再掲載 2012.7】
[出版社の案内]
東日本大震災にノンフィクション界の巨人が挑む。三陸に住んでいた
ゴールデン街の名物オカマの消息。日本共産党元幹部の「津波博士」
はどこへ? 正力松太郎・天皇・原発のトライアングル。江戸時代、飢
饉で荒廃した地は、陸軍の飛行場を経て、堤康次郎が土地を買収し、
福島原発となった
-『東電OL殺人事件』で東京電力の実相を暴き、『巨怪伝』では原
発を日本に導入した正力松太郎を活写した佐野眞一が3・11の真実を
描く!
◇日本人と大津波
「今回の大災害を論評する連中の言葉には、被災者たちの沈黙に匹敵
するだけの重みも深みもなかった」
※ 言葉を空疎に操るだけのテレビ向け評論
「大災害はそれに直面した人間の本性をいやでもあぶり出す」
「これだけの災害に遭いながら、略奪ひとつ行われなかった慎ましさ
を見せたのも日本人なら、米、水、灯油などをがつがつ買い占めに
走る浅ましさを見せつけたのも日本人である」
「被災者はあまりにも激甚な災害に言葉を失った。その沈黙を伝える
には、大文字の論評ではなく、ディテールを丹念に積み上げて小文
字で語るノンフィクションしかない」
□志津川病院の中に入って 3月18日出発
□おかまバーの名物ママの消息
新宿ゴールデン外「ルル」のママ・キン子
□壊滅した三陸の漁業
□熱も声もない死の街
1974年創共協定
共産党文化部長・山下文男
= 在野ピカイチの津波研究家
山下文男
「津波てんでこ」言葉を流布
尋ねて陸前高田へ
広田地区へ
「何も考えずに逃げる」浜協組合長・佐々木賤さん
地震の予兆
- 2月頃急にマイワシがとれるようになった
「わたしは何も持たずに逃げましたよ。津波の時はそうしなけれ
ば必ず死にます」
□「英坊」は生きているか
「ルル」のママ・キン子こと金野英治
- 金野栄久夫
◇「ジャニーズ」の電源車
未曾有の大災害は人間の崇高さも醜悪さも容赦なくあぶり出す
◇高さ10メートルの防潮堤
□大槌町
- 井上ひさし「吉里吉里人」のモデルの町
□浦島太郎伝説と津波伝説
□嗚咽する「定置網の帝王」山根正治
□日本共産党元文化部長・山下文男
著書 『津波でんでこ』
山下
「要するに菅直人はじめみんなが混乱していて、今回の大災害に
誰も正しく対応できていないんだ」
「ハードには限界がある 祖父と面で一番大切なものは教育です」
9歳で昭和大津波に遭遇
山下文男
大正13(1924)年生
著書『哀史 三陸大津波』
◎「津波は正体が分からない」
□朝まで生テレビ
「彼らは口を開けば三陸地方を襲った大津波の犠牲者を評して3万
人の死があるわけではない、一人一人のかけがえのない命があり
死がある、などと利いた風なことを言う。だが彼らの大仰な言説
から一度でも一人の生、一人の死を感じたことがあるだろうか」
◎ 今回の大災害は、これまで通用してきたほとんどの言説を無力
化させた。言葉を弄して世の中を煽ったりたぶらかしたりしてき
た連中の本性を暴露させた。
「キーワード 読書について」63回目、
「生きることを学んだ本」の紹介 1回目です。
出版社の案内には、
「貧乏な朝鮮人の家に生まれ、およそ本とは縁のない生活だったけれど、
人生の節目には必ず本との出会いがあった。むすこの自死をきっかけ
にそれらをもう一度読み返し、作中の人物五十余人をとりあげながら、
人間とは何かを考える。」
とあります。
今回紹介分から強く印象に残った言葉は…
・「人間は常に人間への問いを抱き続けてこそ人間の責任を果たし得る」
・「本当の賢さとは?悪魔は『働かないで生きる方法』を説く。知識の
みをよしとするものはいのちを見失い、知識に敗れるのだ」
・「近代とは人間の物質的な豊かさを向上させるとともに、心の深淵
をいよいよ暗くしていると言える」
・「『己のものだぞ』(『蜘蛛の糸』芥川龍之介)という言葉、人間はいの
ちを自分のものとしているがゆえに死ぬのである」
もう一つ、再掲載になりますが、佐野眞一さんの
「津波と原発」①を載せます。
あれだけの避難者を出しておきながら、
未だに原発再稼働を急がせる人々…
「わたしたちがその地域に住むから」のひと言もなく?
☆キーワード 読書について63-「生きることを学んだ本」高史明 ちくまプライマリーブック 1987年 ①
◇生きることと読むということ
石川啄木『一握の砂』
生きている人々に学ぶ
… 労働者の明るさ善良さ
人間とは何か
政治運動への絶望
◎ 人間は常に人間への問いを抱き続けてこそ人間の責任を果
たし得る
◇愛のかたち
『ヴィヨンの妻』 太宰治
『父と子』 ヘミングウェイ 谷口陸男訳
『伸び支度』 島崎藤村
『小さき者へ』 有島武郎
死に照らされる生、その生が改めて死を照らすものになると
き愛が生まれる
『帰ってきた子供』 タゴール 清水茂訳
『エミリーのばら』 フォークナー 瀧口直太郎訳
『顔の中の赤い月』 野間宏
『可愛い女』 チェーホフ 原久一郎訳
人を愛し仕事を愛する
『ひとよ草』 幸田露伴
『雪山童子の求法』 ジャータカ 平川彰訳
釈尊の過去物語
◇命の優しさと悲しさ
『人間の誕生』 ゴーリキー 湯浅芳子訳
『山椒魚』 井伏鱒二
『よだかの星』 宮沢賢治
近代の我
生あるものの幸せを願う「悲」
『城の崎にて』 志賀直哉
『生物祭』 伊藤整
『赤蛙』 島木健作
『春先の風』 中野重治
『二銭銅貨』 黒島伝治
『セメント樽の中の手紙』 葉山嘉樹
『小さな王国』 谷崎潤一郎
◇人が言葉を持つこと
『春の鳥』 国木田独歩
『風と光と二十の私と』 坂口安吾
要は魂の問題だ
『少年少女』 アナトール・フランス 三好達治訳
『夕鶴』 木下順二
言葉の知恵は金を生む。その代わり人間をバラバラにして命
を見失わせる働きを隠し持っている
~ いのちの美しさと哀しさ
『イワンのばか』 トルストイ 樹下節訳
本当の賢さとは?
悪魔は「働かないで生きる方法」を説く
知識のみをよしとするものはいのちを見失い、知識に敗れ
るのだ
『こころ』夏目漱石
釈迦
「心は遠くに行き、独り動き、形体なく、胸の奥の洞窟に
潜んでいる。この心を制する人々は死の束縛から逃れる
であろう」
先生
「自由と独立と己とに充ちた現代に生まれた我々は、その
犠牲として、みんな淋しみを味わわなくてはならないで
しょう」
「~自分が信用できないから人も信用できないようになっ
ているのです」
- ◎ 近代とは人間の物質的な豊かさを向上させるととも
に、心の深淵をいよいよ暗くしていると言える
『ソクラテスの弁明』 プラトン 田中美智太郎訳
『狂人日記』 魯迅 竹内好訳
『最初の苦悩』 フランツ・カフカ 原田義人訳
『ネギをうえた人』 朝鮮民話
◇自分との出会い
『杜子春』 芥川龍之介
命の私物化と人間の絶望
命を見失っている自我が行き着くところは死
「ただの人」の尊さ
『蜘蛛の糸』 芥川龍之介
「己のものだぞ」
~ 人間はいのちを自分のものとしているがゆえに死ぬので
ある
『鼻』 ゴーゴリ
『ナポレオンと田虫』 横光利一
『火を点ずる』 小川未明
『蜆』 梅崎春生
親鸞
「さるべき業縁のもよおせば いかなるふるまいもすべし」
『故郷』 魯迅 竹内好訳
『雪白姫』 グリム 金田鬼一訳
◇人間が人間であること
『ひかりごけ』 武田泰淳
「我慢」の意味
『重右衛門の最期』 田山花袋
『老人』 モーパッサン
人間は生の方から死を見る。その生がすでにして死の方か
ら見られていることに気付かないで済む
『高瀬舟』 森鴎外
☆「津波と原発」佐野眞一 講談社 2011年 ① 【再掲載 2012.7】
[出版社の案内]
東日本大震災にノンフィクション界の巨人が挑む。三陸に住んでいた
ゴールデン街の名物オカマの消息。日本共産党元幹部の「津波博士」
はどこへ? 正力松太郎・天皇・原発のトライアングル。江戸時代、飢
饉で荒廃した地は、陸軍の飛行場を経て、堤康次郎が土地を買収し、
福島原発となった
-『東電OL殺人事件』で東京電力の実相を暴き、『巨怪伝』では原
発を日本に導入した正力松太郎を活写した佐野眞一が3・11の真実を
描く!
◇日本人と大津波
「今回の大災害を論評する連中の言葉には、被災者たちの沈黙に匹敵
するだけの重みも深みもなかった」
※ 言葉を空疎に操るだけのテレビ向け評論
「大災害はそれに直面した人間の本性をいやでもあぶり出す」
「これだけの災害に遭いながら、略奪ひとつ行われなかった慎ましさ
を見せたのも日本人なら、米、水、灯油などをがつがつ買い占めに
走る浅ましさを見せつけたのも日本人である」
「被災者はあまりにも激甚な災害に言葉を失った。その沈黙を伝える
には、大文字の論評ではなく、ディテールを丹念に積み上げて小文
字で語るノンフィクションしかない」
□志津川病院の中に入って 3月18日出発
□おかまバーの名物ママの消息
新宿ゴールデン外「ルル」のママ・キン子
□壊滅した三陸の漁業
□熱も声もない死の街
1974年創共協定
共産党文化部長・山下文男
= 在野ピカイチの津波研究家
山下文男
「津波てんでこ」言葉を流布
尋ねて陸前高田へ
広田地区へ
「何も考えずに逃げる」浜協組合長・佐々木賤さん
地震の予兆
- 2月頃急にマイワシがとれるようになった
「わたしは何も持たずに逃げましたよ。津波の時はそうしなけれ
ば必ず死にます」
□「英坊」は生きているか
「ルル」のママ・キン子こと金野英治
- 金野栄久夫
◇「ジャニーズ」の電源車
未曾有の大災害は人間の崇高さも醜悪さも容赦なくあぶり出す
◇高さ10メートルの防潮堤
□大槌町
- 井上ひさし「吉里吉里人」のモデルの町
□浦島太郎伝説と津波伝説
□嗚咽する「定置網の帝王」山根正治
□日本共産党元文化部長・山下文男
著書 『津波でんでこ』
山下
「要するに菅直人はじめみんなが混乱していて、今回の大災害に
誰も正しく対応できていないんだ」
「ハードには限界がある 祖父と面で一番大切なものは教育です」
9歳で昭和大津波に遭遇
山下文男
大正13(1924)年生
著書『哀史 三陸大津波』
◎「津波は正体が分からない」
□朝まで生テレビ
「彼らは口を開けば三陸地方を襲った大津波の犠牲者を評して3万
人の死があるわけではない、一人一人のかけがえのない命があり
死がある、などと利いた風なことを言う。だが彼らの大仰な言説
から一度でも一人の生、一人の死を感じたことがあるだろうか」
◎ 今回の大災害は、これまで通用してきたほとんどの言説を無力
化させた。言葉を弄して世の中を煽ったりたぶらかしたりしてき
た連中の本性を暴露させた。