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「もう一度読みたい子どものための文学」西本鶏介 ポプラ社 2014年 ⑥ / 「正月の神様」(宮本常一『見聞巷談』八坂書房 2013年より)【再掲載 2014.1】 [読書記録 教育]

今回は、12月15日に続いて、西本鶏介さんの
「もう一度読みたい子どものための文学」の紹介 6回目です。





出版社の案内には、

「『母子の愛憎』『動物への愛』『子どものユートピア』『探偵小説のヒーロー』など、そ
 のテーマにふれた内外の作品を二点ずつとりあげ、比較対照的に解説。異なる時代や環
 境で描かれた作品の本質から、人間らしく生きることの意味を考える。」


とあります。





今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「『花さき山』斎藤隆介 滝平二郎 岩崎書店」

- わたしは斎藤隆介さんの本に弱いのです。
  国語では「もちもちの木」、道徳ではこの「花さき山」が教科書に取り上げられます。
  いかにも民話風な物語、それを飾る滝平二郎の切り絵が好きなのです。
  特に好きなのは、「ベロだしチョンマ」です。
  子どもたちに読むたびに泣いてしまいそうになります。 


・「『賢者の贈りもの』Оヘンリー ポプラポケット文庫」

-短編集の一つですが、思い出に残ります。
 夫婦の互いへの思いやりが切ない話です。

 





もう一つ、再掲載となりますが、歩く民俗学者と言われた宮本常一さんの
「正月の神様」を載せます。
あと2週間で新年を迎えます。一つ賢くなった気がします。








<浜松のオリーブ園>
浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





☆子供たちの学習に
文部科学省の
「子供の学び応援サイト(臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト)」




ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。





☆「もう一度読みたい子どものための文学」西本鶏介 ポプラ社 2014年 ⑥

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◎「百羽のツル」花岡大学 戸田デザイン研究所
   
 当たり前みたいな心と心のつながり




◎「きずついたつばさをなおすは」ボブ・グラハム 評論社
   
 ウィルのやさしさとそれに共感する両親




◎「人はなんで生きるか」トルストイ 岩崎文庫
   
 民話に託して語られた悟りの哲学




◎「花さき山」斎藤隆介 滝平二郎 岩崎書店
   
 小さい子供がさらに小さい子供のために必死で我慢する

 愛




◎「賢者の贈りもの」Оヘンリー ポプラポケット文庫
   
 切なくも美しい恩愛の物語




◎「きつねとぶどう」坪田譲治 金の星社
   
 「親思う心に勝る親心」

 「おかさんありがとうございました」




◎「わがままな巨人」オスカー・ワイルド 偕成社文庫
   
 どんな人間も神の使徒となりることを教えてくれる




◎「ぼんさいじいさま」木葉井悦子 ヒワケン出版
   
 自然とともに生きその自然の中へ還っていく喜び














☆「正月の神様」(宮本常一『見聞巷談』八坂書房 2013年より)【再掲載 2014.1】

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 お正月ァんどこまで

 坂東山の麓まで

 木っ葉のような餅しょって

 油のような酒しょって

 ござったござった (栃木)




 昔の人は、正月には正月様という神様がいて、それがどこか遠いところからやって来る
ものだと信じていました。


 その正月様はどんな神様だったでしょうか。



 鹿児島県に屋久島では正月様を年の神と言っており、年の神は山から下って来るもので、
白いひげをはやし竹蓑を着たものと、赤いひげをはやして棕櫚蓑(しゅろみの)を着たもの
とがいて、袋をかついで子供のいる家々をまわり子供がわるいおこないをしないようにい
ましめて行きました。



 同じ鹿児島県の甑島ではその年神様が子供たちのためにお餅を持って来てくれたといい
ます。サンタクロースに大変似たところがあります。



 秋山県男鹿半島のなまはげという鬼の姿をした神も子供のいる家をおとずれて怠けも
の、親の言うことをきかない子をいましめて行きますが、なまはげの「なま」は「なまみ」
のことで、炬燵などに長いあいだあたっていると赤いあざのようなものができますが、そ
れのことで、「はげ」ははぎとることです。


 つまり怠け者をいましめることなのです。



 家々の前に立てる門松も正月の神を迎える目じるしだったのです。


 東北地方では12月27、8日ごろに山へ門松の木を伐りにいきますが、これを松迎え
といい、松を伐るにも拝んでから伐り、それを家の前まで持ってかえって前の畑に立てて
おき、大晦日に改めて門口に立てます。


 神はこの松を目じるしにしてその家を訪れるものと信じられていました。


 そして正月神は先祖様であるとも信じられており、また鬼の姿をしているとも考えられ
ています。


 愛知県三河地方の山中に古くからおこなわれる花祭という古風な祭にはたくさん鬼がで
ますが、幸福な春をもって来るものとして、鬼の大将の榊鬼は尊敬されていました。


人びとは正月神を迎えて一年中の幸福や健康を祈りました。


 関東地方では目なしだるまを買って来て、願望がかなうと目玉を書き入れて神社の境内
におさめる風習がありますが、そのだるまを売るための市が方々にひらかれて大へんにぎ
わいます。


 そのほか幸福や健康を祈るための行事は方々に見られますが、大阪市今宮の十日戎など
は商売繁昌を祈るためにごったがえしてにぎわいます。



 正月がすぎると神様はまた遠くへ帰って行くと考えられ、15日にそれまで飾ってあっ
た門松や注連縄をはずし1カ所に集めて焼きました。


 これをトンド・ドンド・左義長などと言い、長野県地方では三九郎焼きとも言っていま
す。


 正月の神はこの火の煙に乗って帰ると信じられ、子供たちは書き初めの紙を火で焼き、
その灰が高く上ると字が上手になるといわれています。

             (「花椿」復刊175号、資生堂、昭和39年12月)


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