大村はまさんはこんなことを ⑳-『灯し続けることば』大村はま 小学館 2004年 (7) /「あんな作家 こんな作家 どんな作家」阿川佐和子 ちくま文庫 2014年【再掲載 2016.7】 [読書記録 教育]

今回は、11月21日に続いて、大村はまさんの
「大村はまさんはこんなことを」の紹介 20回目です。
「灯し続けることば」の要約の7回目です。


わたしの大好きな本です。
大村さんのたとえ話は大変わかりやすく、子どもたちにもすっと入っていくようです。
わかりやすいようにと、わたしもたとえ話をするのですが、
どうもだらだらしていけません。




出版社の案内には、


「『国語教育の神様』とまで言われた国語教師・大村はま、98歳になる今日までの著作・
 執筆から選びだした珠玉のことば52本と、その周辺。自らを律しつつ、人を育てるこ
 とに人生を賭けてきた大村はまの神髄がここに凝縮された。『熱心と愛情、それだけや
 れることは、教育の世界にはないんです』『したことの悪さより、しかられた傷のほう
 が大きいということはないでしょうか』『熱心結構、いい人あたり前です』『スタート
 ラインが一緒でも、ゴールには同時に入りません』『しかられ上手であることが必要で
 す』etc.子どもにかかわるすべての大人、仕事に携わるすべての職業人に、折に触れて
 ページを開いて読んでほしい。」


とあります。




今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「クギは一本もなくなったけれど、このクギの穴は残っているんだ。神様でなければ、
この穴を元通りにすることはできないんだよ」


・「ワシントンはそれから一生涯、抜けばいいのではない、クギを打ち込んではならない
という考えを心に持っていたと言います。」


・「カードやメモに、頭に浮かぶことを次から次へと頭がからっぽになるまで、『書くこ
とがない』というところまではき出していくのです。」

「そのようにしなければ、私たちは心の底に沈んでいる自分の大切な思想を引き出すこ
  とができないもののようです。」







もう一つ、再掲載となりますが、阿川佐和子さんの
「あんな作家 こんな作家 どんな作家」を載せます。
30年以上前の、雑誌インタビューですが、ものすごく短く要約してありました。
目次のようなのですが、その作家さんらしさがわかるような気がします。
わたしにはよく分かる作家さんばかりですが、
亡くなられている方のお名前が多いと感じます。
自分も年をとったわけです。


浜松出身のベテラン寄席芸人による浜松寄席
「うなぎのぼりの会」が28日13時より
浜松駅南口近くのサーラシティ浜松で開催されます。
お時間のある方は、ぜひ!
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<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。






☆大村はまさんはこんなことを ⑳-『灯し続けることば』大村はま 小学館 2004年 (7)

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◇「このクギの穴は残っているんだ」

 アメリカの有名な大統領ワシントンの少年の頃のエピソードです。


 サクラの木を切った話でわかるように、ワシントンは相当ないたずら坊主だったようで
す。


 困ったお父さんは、ワシントンを呼んで、「これからおまえが悪いことをしたら、この
キッチンの柱にクギを一本打ち込む。


 その代わり、いいことをしたら、一本抜く」と言いました。


 こうすれば、いたずらが減ると思ったのでしょう。


 しかし、なかなかいたずらはやまず、柱はクギだらけになりました。


 やがてワシントンも考えるようになって、優しい心を見せたり人を助けたりするように
なります。


 そのたびにお父さんは黙ってクギを抜きました。


 減ったり増えたりが続いて、ある日、とうとうクギは一本もなくなりました。


 お父さんはワシントンを呼んで、柱をなでさせ、「おまえは本当にいい子になった。ご
らん、クギはもう一本もない」。

 ワシントンもニコニコしました。

「だけどね」とお父さん。

「クギは一本もなくなったけれど、このクギの穴は残っているんだ。神様でなければ、こ
 の穴を元通りにすることはできないんだよ」


 ワシントンはそれから一生涯、抜けばいいのではない、クギを打ち込んではならないと
いう考えを心に持っていたと言います。





◇バケツの水を捨てるときのように

 掃除の後、バケツの水を捨てるときに、ぐるぐるぐるぐる回してポイと捨てると、底の
ほうに沈んでいた澱が浮かんできて捨てられます。


 でもその回転を途中でやめたら、また澱が沈んでしまいます。


 人間の頭もそれと同じではないか、と子どもに話すことがありました。


 ゆっくり少しずつやっていたのでは、アイディアが出てこないということがあります。


 ですから、ぐるぐるかき回して、ぱっと捨てるように進めていくのです。


 とくに文章を書くときなどに、そういう場面があるようです。


 カードやメモに、頭に浮かぶことを次から次へと頭がからっぽになるまで、「書くこと
がない」というところまではき出していくのです。


 こうやっていくと、自分でも知らなかったような自分の持っている考えが浮き上がって
きます。


 そのようにしなければ、私たちは心の底に沈んでいる自分の大切な思想を引き出すこと
ができないもののようです。


 それを目覚めさせるために、ぐるぐる回していくこと、からっぽになるまで頭を使い、
鉛筆を止めずに書き続けること。


 そこからいい文章、いい見方が生まれて来るというのは、私の実体験でした。













☆「あんな作家 こんな作家 どんな作家」阿川佐和子 ちくま文庫 2014年【再掲載 2016.7】

<出版社の案内>

聞き上手、引き出し上手の阿川佐和子が、お歴々の作家に体当たり取材。「恋愛、趣味」
など普通の質問から入ったのに、いつしか作家は胸の内を吐露するはめに。奥深く切り込
んでゆく鮮やかな手並は、見え隠れする作家の素顔をすかさずキャッチ。登場作家57人。
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◇民話ジョッキー  松谷みよ子

 『昔話十二か月』 

  ◎ 祖先の生きてきた姿がその話の中から透けて見えてくる



◇卑弥呼に内縁の夫有り  松本清張

 『清張通史』全6冊  

独特な視点で新しい味方を示唆

◎ 転換の速さ + 旺盛な好奇心



◇素子の好き嫌い  新井素子

  めいっぱい数奇で楽しい人物 1986



◇京都ミステリアス訪問  山村美紗
  
  胆大   

京都の人 
   - ミステリアス 裏言葉 反語 隠し言葉 まわりくどい

◎ 華やかなのか淋しいのか分からないのが京都の魅力  1986



◇男と女のプライベートタイム  山口洋子

  ◎ ステキな男をいっぱい書きたい

魅力的な女性 … 自然に老い朽ちていく女性

  魅力的な男性 … 未練がましくなく、笑顔がよく、安心感を与える話し方をする



◇カラッとハードボイルド  大沢在昌 

  ◎ ダンディボーイ

ハードボイルド  1986



◇避暑地のコンペイフォイ  宮本輝

『命の器』エッセイ 1986



◇作家と豚の脂身  吉村昭

  津村節子 1987



◇突っ張りロック  山川建一

  ロックのスピリット 1987



◇イスパノフィロとPR  逢坂剛

  博報堂のPRマン  父は画家 中一弥  

  スペイン狂い 1987



◇花も団子も  田辺聖子

  心和む    

◎ まじめとなあなあ 1987



◇冒険家の夢  CWニコル

  黒姫   

◎ 夢のない人は退屈  1987



◇刀嫌いの時代感覚  白石一郎



◇わが愛しのアイコ様  中山あい子
  
 「イキ」



◇ジャーナリストの目  中村敦夫
 
  活字はカメラ 小説は映画

  ◎ 人生はサービス業



◇夢見る赤ベコ  高橋克彦

  ◎ 盛岡    

ミステリーのかたちをとったカルチャー小説



◇庵主さまのほっぺた  瀬戸内寂聴

 岩手県・定法寺町  天台寺  1988



◇目利きのスカウトマン  村松友視
  
  祖父・村松梢風    

  「キャバレーのスカウトマン」(吉行)



◇今日はまた男と女の話  渡辺淳一

  1988



◇準美少年の瞳  森村誠一  

ホテルマン 

  ◎ 下からの視点



◇ふんふんダンナ  吉行淳之介
  
 「ふんふん」



◇澤地式生き方  澤地久枝 

  ハンディキャップ



◇ミステリーがお好き  藤沢周平

  江戸市井談 剣豪小説 1988



◇「悪」を学ぶ  曾野綾子



◇エンドマークからの出発  高橋治



◇永遠の青春  高橋三千綱  



◇フェイズ3からの手紙  柳田邦男

◎ 世の中を常にフォローアップ



◇エンドウマメの気持ち  遠藤周作

  ご子息ガールフレンドいたずら事件  1989



◇永遠のジョーク&パロディ  清水義範

  アイデア  

◎ 子どもに対するときは、まず、相手に共通項で喋るようにすること
   「勉強なんかやりたくないなあ。先生だってやりたくなかったよ」 



◇猫と作家  西村京太郎

人事院  1989



◇南部への片想い  三浦哲郎 

  南部  お人好し ◎おとなしく淡泊

 「大きな作品を書くときは、必ず心の中で誰かに片想いしています」



◇歴史を見据える大きな目  杉本苑子

  旺盛な好奇心



◇丸い辛口  塩田丸男

  きついことを言うときはニコニコ    



◇知識欲への挑戦  立花隆

  ◎ 超知識空間  

  ◎ しつこい



◇恋のチェーンスモーカー  山田詠美



◇笑いの紳士  井上ひさし

  桃太郎に憧れたい

  『ナイン』1990



◇あとがき   

 1986~1991 講談社『IN☆POCKET』連載

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