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「学び方」289号 290号 /『宮本常一の写真に読む失われた昭和』 佐野眞一 平凡社 【再々掲載 2014.4】 [読書記録 教育]

今回は、日本学び方研究会の
「学び方」289号と290号を紹介します。


本日紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「釣った魚を千匹与えるよりも,一匹の魚を釣る釣り方を身に付けること
が,人生を創造する鍵である」


・「学び方を指導することが,今日の通用語になっている「学習指導」の真
  実である。これを忘れると,「指導学習」に逆転するだろう。」


・「大切なポイントは皆が共有できるまで戻すこと。顔を見てあの子にあの子
にと意識して話すこと」


・「教師が子どもの作文への朱書きにより与える教育効果を期待して丁寧に朱
書きを入れようとするものの結果として処理が追いつかず、作文を書かせ
る頻度を減らすよりも子どもに一枚でも多くの文章を書かせる教育効果の
  方が大きい」




もう一つ、再掲載になりますが、佐野眞一さんの
「宮本常一の写真に読む失われた昭和」を載せます。





<浜松のオリーブ園>

浜松にもオリーブ園ができました。
和Olieve 園のサイト





ふじのくに魅力ある個店
静岡県には、個性ある魅力ある個店がいくつもあります。
休みの日に、ここにあるお店を訪ねることを楽しみにしています。
機会があれば、ぜひお訪ねください。
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<浜松の新名所 浜松ジオラマファクトリー!>

  ものづくりのまちとも言われる浜松。
 山田卓司さんのすばらしい作品を 
 ザザシティ西館の浜松ジオラマファクトリーで味わえます。
 お近くにお寄りの時は ぜひ お訪ねください。






☆「学び方」 289号 日本学び方研究会

◇学び方開発の信条 野瀬寛顕(初代会長)
□1970年代初頭 10の信条
1 釣った魚を千匹与えるよりも,一匹の魚を釣る釣り方を身に付けること
  が,人生を創造する鍵である


 2 学び方を指導することが,今日の通用語になっている「学習指導」の真
  実である。これを忘れると,「指導学習」に逆転するだろう。


 3 何のために・何を・どう学ぶか-この3つの学び方が身に付いて初めて,
  今日目指している自主学習が実現する。


 4 学び方を話し合う「学習協議」は,学級の学習に全員参加の道を開き,
  協同学習の基盤を強化する。


 5 学び方を身に付けることは,学習するものに「できる」という成功の喜
  びをもたせ,学習が好きになる根強い興味と自信を与える。


 6 確かな学び方はその基本を伝統に学び,それが独自の経験と創意によっ
  て無限に成長していく。


 7 学び方は,教科学習の「覚え方」「考え方」「問題の解き方」などはもち
  ろん,生活学習から人生のあらゆる学習の場で育てられる。


 8 学び方を身に付けることは,人間の能力を開発する「頭づくり」で通し
  て,新しい時代に生き抜く「人づくり」をする。


 9 学び方を心がけることは,いつでも,どこでも,だれでもできることで,
  これによって生涯教育は推進される。


 10 学び方を開発することによって,コンピュータなど,教育の新しい機器 
  も本格的に利用され,技術革新時代の教育は進展する。

◎ 教育を画一的な目標に追い込むのではなく,それぞれの子どもが自分の
  学びのスタイルを獲得できるようにすることだ



◇授業を支えるために
□この三つを
① 一人一人の子どもの思いを大切にすること
  
  ② 教材の発展性を大切にすること
  
  ③ 自分の哲学を大切にすること

◎ 大切なポイント
     = 皆が共有できるまで戻す
       顔を見てあの子にあの子にと意識して話す 



◇少人数指導 野田愛教大教授
少人数指導    
    ① 習熟度別 
    ② 課題別 
    ③ 興味関心別

  自己評価力の育成ポイント
① だれにでも簡単に記入できどのクラスでも共通にできる
② 子どもがいつでも振り返ることが可能である
③ 自分自身で毎時間評価できる



◇考える心を持つ子供を育てる授業とは  深谷圭助
考える心を持つ子供を育てる授業とは
考える条件や材料を与え,明確にそれらの存在を意識させる場面の設
   定が必要

  子どもを大切にするということのはきちがい
教師が子どもの作文への朱書きにより与える教育効果を期待して丁寧
   に朱書きを入れようとするものの結果として処理が追いつかず、作文を
   書かせる頻度を減らすよりも子どもに一枚でも多くの文章を書かせる教
   育効果の方が大。



◇自己教育力を啓発する三色マーカーと付箋の活用 吉野昇之助(春日部中)
教科書余白の活用
三色マーカーと付箋
      ① 青(言語事項)
② ピンク(キーワード)
③ 緑(疑問点)
  
  1 付箋の枚数を競うことで読解の深さを期待

2 発表 意見交換 (時間限定=5分間)

  3 どの色を何枚か調べる
ノートに表を作成して分類,はる





☆「学び方」 290号

◇学び方教育の言葉 齋藤宥雄
実践運動3原則 
    ① 無理なく(合理的に)
② 無駄なく(能率的に)
       → 子どもの心に合った教育実践
③ むらなく(連帯的に)



◇愛と教育  村井実(慶應大)
ペスタロッチ Gegennliebe(応える愛)
教育での愛の働き
     一方から他方に注がれる普通の愛の働きとは違って,まず相手がそ
    れなりに生きていること自体を喜ぶ教師の「やさしさ」,人間愛の働
    きに他ならない。ただ,その働きが相手に喜びと力とを呼び起こさな
    いではない 



◇武石実践(当時浜松北小学校=ハマコウ註)について 野田愛教大教授
習得型・活用型・探究型の教育

問い続け高め合う ポイント
    ① 自分なりの単元を貫く問いと学級共通の問いをもつこと
② 友達との関わりの中で自己表現をしながら,互いに課題解決に向
     けて練り合うこと

◎「自分」「級友」「学習内容」
これらを絡ませる手だて
       = 教師の授業力

  「自分」と「学習内容」 
     めあてを単純化し学習内容を身近なものとし,興味をもって取り組
    めるようにする

  「自分」と「級友」   
     相互交流と全体交流を位置づける

  「級友」と「学習内容」



◇伝え合い・学び合い 野々村智(愛教大院)
伝え合い・学び合いの意義とは?
  ① 友達との共有化
 ② 考えの集約化
 ③ 課題の発見











☆『宮本常一の写真に読む失われた昭和』 佐野眞一 平凡社 【再々掲載 2014.4】

[出版社の案内]
2004年5月、宮本常一の郷里、山口県東和町に、その足跡を顕彰する「周防
大島文化交流センター」がオープンしました。没後23年にして建設された、
まさに待望の施設です。
 宮本が書いた厖大な著作が広く知られていることに比べると、10万枚に及
ぶ写真を遺したことはちょっと影が薄いかもしれません。本書はそこにスポッ
トを当てたものです。精選した写真は、昭和30~40年代の200枚。そし
て、それを「読んだ」のは、宮本の生涯を描いた『旅する巨人』で大宅賞を受
賞した佐野眞一さんです。
 いま、その昭和30~40年代が単なるレトロ趣味を超えて人びとの関心を
集めているのは、あの時代のよさに多くの人が気づき始めているからではない
でしょうか。  
「宮本写真」をまとめた初めての本として、また、昭和時代半ばの日本を知る
本として、必読です。



◇おわりに - その写真をどう読むのか

 日本人の「読む力」の減退が、最近しきりといわれている。


「読む力」の衰えが、活字離れを引き起こし、ひいては出版不況を招く遠因と
もなっている。


「読む力」というイディオムはそうした文脈で使われることが多い。だが、私
の見方は少し違う。


「読む」という行為は何も活字だけに向けられたものではない。


 人間は相手の気持ちも「読む」し、あたりの気配も「読む」。


 将棋を指すときは、何手先まで「読む」し、風景や写真もまた「読む」対象
である。


 第六感を働かせて、危険を事前に察知する能力も「読む」力と密接不離の関
係にある。


「読む力」とは、人間の身体の全領域にわたるこれらの能力のすべてを指して
いる。


 それが本当に衰えているとするなら、活字離れや出版不況どころの騒ぎでは
ない由々しき大問題である。



「読む力」というものを少しむつかしく定義すれば、人間であれ、事物であれ、
自分と向き合うべき対象との距離を測り、その関係性の間合いのなかに、自分
の「立ち位置」を正確にポジショニングしていく能力だといえる。


 つまり、自分という存在が、その時空間の奈辺にあるかを感じとる能力のこ
とである。


 すぐれた写真は、それを自ずから喚起する力を内在的に備えている。それを
見る者は、自分がどういう時代に生き、その時代とどう向き合ってきたのか、
鋭く問われることになる。


 その写真を見ることによって、自分と世界との間に横たわる目に見えない等
高線を感じとり、自分がその等高線のグラデーションのどのあたりに存在して
いるかを、いやおうなしに実感することになる。



 宮本(宮本常一=民俗学者)の写真は、一見、懐かしい世界だけを写しとっ
ているように見える。


 しかし、その写真は、見る者の身体能力のすべてを稼働させなければ本当に
読み解くことはできない。


 一本の流木から相互扶助の精神を読みとり、杉皮が干してあるだけの山村風
景から山林労働の全過程を読みとることはできない。


「あるくみるきく」精神から生まれた宮本の写真には、キーボードをたたくだ
けで、瞬時に「解」が出るインターネットとは対極の世界が広がっている。


 そこには、歩くことでしか見えてこない「小文字」の世界が、ゆったりと流
れるアナログの時間のしわとともにゆるぎなく定着されている。


 宮本の写真は、われわれがどこから来て、どこに行くかを静かに問うている。



 「記憶されたものだけが記録にとどめられる」



 宮本が晩年語った言葉だが、宮本の写真から伝わってくるのは、それを反転
させた言葉である。


 「記録されたものしか記憶にとどめられない」


 宮本の写真の底には、高度経済成長期前後の日本人の記憶と記録がおびただ
しく堆積されている。

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