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「愚者が訊く」倉本聰・林原博光 双葉社 2014年 ④ /「こんな教科書あり?」谷川俊太郎 斎藤次郎 佐藤学 岩波書店 1997年 ①【再掲載 2014.10】 [読書記録 一般]

今回は、11月24日に続いて倉本聰さん、林原博光さんの
「愚者が訊く」の紹介 4回目です。



出版社の紹介には


「豊かな自然の中で環境教育活動を行なっている脚本家・倉本聰が、自
 然のあり方、ヒトの行く末、日本の未来について、一流の専門家たち
 に恥も外聞も捨て、愚者として初歩的な質問をどんどん問いかける対
 談集。『誇りを捨てなかったら得られなかった』- 珠玉の知識に溢れ
 た一冊。 対談相手は池上彰氏、ベストセラー『原発のウソ』の京大
 助教・小出裕章氏、地球惑星科学者で東大名誉教授・松井孝典氏など
 7人。」

 
とあります。


今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「類人猿は人間と遺伝子の違いは2%。一番近いのはチンパンジーで
  一番遠いのはオランウータン」


・「猿の美男美女の観点は、①健康美-毛並みの良さと②構え-立ち居
  振る舞い。かっこいい雄の形はゴリラと人間と一緒」


・「最大の問題は今の資本主義の経済優先社会は早晩立ちゆかなくなる。
お金さえ払えば何でも手に入る贅沢な時代が終わるのはホント目
 の前なんです。(倉本)」


・「インターネットにもよい点はあって、元々表情が豊か表現力豊かな
  欧米人には、その力を飛躍させる本当にいいパートナーになるんで
  しょうけど…オランウータンのような日本人にはマイナスに働いて
いるとしか思えません。オランウータンは個でいることを好み、
  『引きこもり』が多いのです。また、日本人が長い時間を掛けて
  培って文化にしてきた共感能力とその社会をITはあっさりと突
  き崩しました(山極)」




もう一つ、再掲載になりますが、
「こんな教科書あり?」①を載せます。




☆「愚者が訊く」倉本聰・林原博光 双葉社 2014年 ④

1.jpg

◇サルを通してヒトを見つめる 山極寿一 1952東京生 霊長類学者 京大教授
□あなたのお隣さんはサル?それともヒト? 
山極 人類学霊長類学
類人猿 エイプ グレイトエイプ オランウータン 
         ゴリラ チンパンジー       
     猿  モンキー
  類人猿は人間と遺伝子の違いは2%        
一番近いのはチンパンジー 
    一番遠いのはオランウータン
ゴリラはペットを飼える
 

□恋の季節
ハツジョウキ 
    発情季  ニホンサル 秋~冬
発情期  排卵の同期
ゴリラは雌が誘う
オランウータンは発情期じゃない雌を見てもやる気になる
 

□愛の逃避行
近松もの  
    違いは人間の怨念 
     - 共感力の暴発
  猿の美男美女
    1 健康美  毛並みの良さ 
2 構え   立ち居振る舞い
           「見得」はゴリラそっくり
           「すもうの仕切り」も
           |
    ◎ かっこいい雄の形はゴリラと人間と一緒           


□性交と繁殖  
チンパンジー 
   「精子競争」精子の強さで競う 
    乱婚


□たとえば愛
同じ群れに属しているものに対しては確実に愛情を持っている
◎ 特に幼い子供に


□ゴリラ  
   自分に危険が迫っていなくても子供に危険が迫っている危険が分
  かるから助けることができる
→ ◎ 人間はさらにそうしたことを「想像」することができる
 

□誰かと「つながる」ことができる
類人猿
   ~ 食欲、性欲、友達欲
 

□社会全体で未来を担う子供を育てる
ゴリラの雄は子育てに大きな役割を果たす
子供も大人の雄を頼りにする
特に歳とった雄にとって子供に頼られるのは大きな喜びになる

昔話
      「昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいま
       した」
類人猿は5~8年間に一遍しか子供を産まない
→ じっくり育てられる

「僕は今人類は退化していると思います。IT技術の便利さに流さ
   れて精神的にはどんどん退化していると感じます」(倉本)

最大の問題は今の資本主義の経済優先社会は早晩立ちゆかなく
   なる。お金さえ払えば何でも手に入る贅沢な時代が終わるのはホ
   ント目の前なんです。(倉本)

◎人間力で乗り切るしかない

「インターネットにもよい点はあって、元々表情が豊か表現力豊か
   な欧米人にはその力を飛躍させる本当にいいパートナーになるん
   でしょうけど…オランウータンのような日本人にはマイナスに働
   いているとしか思えません」(山極)
オランウータン
       - 個でいることを好む
         「引きこもり」が多い      

  「日本人が長い時間を掛けて培って文化にしてきた共感能力とその
   社会をITはあっさりと突き崩した」(山極)
ポーカーフェイスの日本人
     - 共感力を培った
 

□旧友との再会
2008年 ルワンダに1982年以来26年ぶりに
子供に戻った「タイタス」








☆「こんな教科書あり?」谷川俊太郎 斎藤次郎 佐藤学 岩波書店 1997年 ①【再掲載 2014.10】

1.jpg

◇国語を中心に
□教科書は本ではない
  = 作者が見えない
    ① 無味乾燥が問題
 ② 一つの教科書の中に脈絡が感じられない
 ③ 子供に媚びている


□なぜ笑っている子供しか描かないのか
個性をおそれ普遍性にこだわる
   → 国語の定番教材
子供がみんな笑っている
   = 異質なものが出てこない
マスメディアに類似 匿名性、作者不在、責任を取らない
= 自己検閲的なもの


□検定と採択の不思議
  教科書 
  ①国定 中国、北朝鮮
    ②検定 小数派
    ③認定 米国27州 ドイツ カナダ フランス 
         = 一般図書も含めて
    ④自由採択
国語教科書は圧倒的に「光村図書」のシェア大
制約された市場競争
   - 教科書会社が儲けているもの 
      = 教師用指導書
 

□プロジェクトとしての授業 
テーマ中心授業に
   昔は四書五経の素読
     - 言語スタイル・文体
→ 今はチープな日本語から


□子供を白紙と考える態度
  「言語観」がない 
↑↓
  『にほんご』
   (安野光雅 大岡信 谷川俊太郎 松居直 福音館書店 1979)
  <学校教育は子供のメモリーをゼロに戻してしまう
    = 白紙から始まる>
→ 教育のハンコを押す
日本の代表的な古典の導入を1年生からするべき!
  古典が抜けている 
   = 教材の安定性がない
     ◎ 悪しき近代主義  
教科書の絵の多くがサンリオ路線
   = 教科書の商業主義


□言語教育と子供たちの言葉 
黒板の前で発表するときの言葉 
画一化された作文
- 「先生でもね」
       マニュアルからはいい文が出てこない


□一貫した言語観があるか 
日本では作品が変にダイジェストされている
感動していればいい
   → 一行一行分析していたらおもしろくも何ともない(谷川)


□言葉はコミュニケーション
聞き言葉を大切に
立場・場面によって言葉を変えなくてはならない
◎ <2枚舌の人間>


□文学を勉強するときの無理
読みっぱなしでもいいと思う(斎藤)
子供「教科書は月刊でくるのがいい」
 

□作品の選択 
子供の言語感覚を!

  〈略〉


□漢字の学習
漢字は漢字で教えた方がいい
   作品と一緒では漢字の面白さは伝わらない
  国語の教科書に怒りと反発と薄気味悪さ
    → 救いは教師
  ◎ 子供は絶対白紙でない
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