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キーワード 読書について56-「消える本、残る本」永江朗 編書房 2001年(1) /『ことばの風景』中西進 角川春樹事務所 1999年 ③【再掲載 2014.10】 [読書記録 一般]

今回は、11月21日に続いて、
「キーワード 読書について」56回目、
「消える本、残る本」の紹介 1回目です。


出版社の案内には、

「極端な新刊偏重に走る出版界。話題となっている本に一斉にむらがり、
 一つのブームが終わるとそれをすべて捨て去り、また次のブームに群
 がる。そしてひっそり消えていく本。しかし、確実に残る本もある。
 いったい生き残る本とはどんな本なのか。消える本に焦点をあてた本。」

とあります。




今回紹介分から強く印象に残った言葉は…

・「本がたくさん出てよい前提は2つ。『それぞれが違うこと』と『消費
  者にちゃんと伝わりいつでも入手可なこと』」


・「残る本とは、誰かに影響を与えられずにはいられない本、誰かに影響
されて書いた本、常に誰かに参照される本」


・「スポーツでたたえるべきは勝者。敗れ去るものには、その健闘に拍手」


・「褒め書評が多い理由の1つに『誌面がもったいないから,けなすぐ
らいならその本を取り上げない方がいい』」




もう一つ、再掲載になりますが、中西進さんの
「ことばの風景」③を載せます。




☆キーワード 読書について56-「消える本、残る本」永江朗 編書房 2001年(1)
 
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◇消える本残る本
 1979年 出版点数 27177点
1989年 39698点
1999年 66621点 20年間で約2.5倍

□本の贋金化
本はたくさん出た方がいい?
前提 
     ① それぞれが違うこと 
         クローン本が多い
② 消費者にちゃんと伝わりいつでも入手可能
日本の出版 再販制と委託制
洋書 「七掛け 委託6か月 終了時精算 」
↑↓
日本 一度仕入れ代金を払い返品すると返品分の代金バック

出版社
      返品が戻ってくる前に新刊をつくればよい
◎テープレコーダーとパソコンで簡単に作る
(リライター・ゴーストライター)

オンライン書店
「本屋さんには欲しい本がない」

□残る本とは? 
  ① 誰かに影響を与えられずにはいられない本
② 誰かに影響されて書いた本
③ 常に誰かに参照される本

 

◇ベストセラーを解読する
□「天才伝説 横山やすし」小林信彦・文藝春秋
ダウンタウン,ナインティナイン 
     「いじめ芸」
       = 芸になっていない芸
ミスタービーン 
     志村けんのネタ本
自滅型
     横山やすし

□「日本社会の歴史」(上中下)網野善彦・岩波書店
スポーツ
    - たたえるべきは勝者
      敗れ去るものの健闘に拍手

□「血と骨」梁石日 幻冬社 
   憎悪すべき人物 
    - 悪の権化

□「鳥頭紀行ぜんぶ」西原理恵子・朝日新聞社
   責任から逃れない辛口と毒舌

□「理由」宮部みゆき・朝日新聞社  
   完全無欠の幸福な家庭のうさんくささ

□「マガジン青春譜」猪瀬直樹・小学館

□「史実を歩く」吉村昭・文春新書  
   新書
    - 基礎知識

□「節約生活のすすめ」山崎えり子・飛鳥新社
三つのK
    「健康」「環境」「倹約」
= 見栄を棄てる
  
□「消費なき成長」内橋克人・光文社
役人は浪費のすすめ
    - 幼稚な発想
土建屋政治の発想と同様

□「リストラと能力主義」森永卓郎・講談社現代新書
日本型リストラの間違い
① デフレ下のタイミング 
     ② 速すぎるスピード 
     ③ 方向性
④ 能力主義の誤解

◎人事部中間管理職こそリストラを!
現在の規制緩和,リストラの方向は間違っている

□「朗読者」ベルンハルト・シュリンク・新潮社
本を読むことの根元的な喜びに向かって

 

◇書評・インタビュー
□ベストセラーは意図的に作るもの

□褒め書評が多い理由
「誌面がもったいないから,けなすぐらいならその本を取り上げな
   い方がいい」      『ダカーポ』デスク
オンライン書評 
    bk1 書評多く
書評家 
    池澤夏樹,荒川洋治,斎藤美奈子,坪内祐三

□新聞書評はおもしろくなくてよい
  = 高齢化

◇個性派書店
  「クラークケント」(長崎県有川町)
「ブックスステーション飯塚店」(福岡県飯塚市)







☆『ことばの風景』中西進 角川春樹事務所 1999年 ③【再掲載 2014.10】

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◇「いきる」(1)
□いきる
  命ふたつのなかに生きたる桜かな 芭蕉
「いける」→「いかす」
そのものの命を他者が与える
古代人の考え「別のものが命を生かす」
「自分の力で生きる」
    ~ つっぱり
    = 昔は反逆者
  かつての反逆者は,今日から見れば立派に自らの力を尽く
     してきた人たち
明日を夢見ることは,人間生かされて生きることが不満で
     自ら生きようとすることであった。

□中国も見渡す反逆児 - 藤原広嗣
◎あすはついにきのうでしかない
◎歴史とはうずたかく積まれた昨日のことだ
藤原広嗣 奈良時代(天平12年 740年に乱)
  太宰府の次官に 
      → 天平12年 天皇に意見書
  「玄昉・吉備真備が政治を誤らせている」

   4日間 九州一円の兵に動員
   「中央政府が言うことをきかないなら九州王国を独立させて
     みせる」気概
    → △失敗   
        中国に渡ろうとしたが捕らえられる
        夢
        - 九州一円の隼人を率いて九州の王を称する

□性急すぎた改革主義 - 恵美押勝
  天平宝字8(764)年9月恵美押勝の乱
押勝
   = 藤原仲麻呂
   孝謙女帝 ← 橘奈良麻呂クーデター未遂
政界は押勝の意のままに(一族独占)  
  官制を中国風に改めようとした
   「中国風」に燃えた男
   性急に過ぎた 理想主義者
反乱者になったのは孝謙女帝の寵愛が道鏡に移り焦った
  - 奈良麻呂らを拷問で殺した冷酷な押勝が女帝の寵愛の衰え
   故に焦燥し失脚していった人間ドラマ

□流沙のかなた真実求め - 高岳親王
真如(799~865)高岳親王(平城天皇 第三皇子)
「力遊に心有り,管摂に心なし」(空海)
 皇太子からおろされた「薬子の乱」の結果
  822年 四品位を返上して東大寺に 弘法大師門下
「皇子禅師」
  老齢になり四国修行の旅の願いを調停に
→太政官符 VIP待遇
中国への渡航を願い出る
864年 洛陽に着く
        → インドへ
途中死去

□悲願に倒れた才人 - 伴善男
866年3月10日 応天門炎上 不審火
  5ヶ月後
      大宅鷹取が善男が犯人だと訴える
9月22日 伊豆へ配流
   曾祖父 大伴古麻呂 橘奈良麻呂の乱に連座 拷問死    
    父 大伴国道 佐渡配流 20年間流人
→ のち恩赦 参議に
大伴善男 大納言に(大伴氏として133年ぶり)
   大伴善男 小男 態度でかく身勝手ずるい奴
   秀才 ~ 冷静 合理主義者
賢さは両刃の剣
長上のものに迎合 
     → 皆の反発
応天門は別名大伴門  
    真犯人は藤原氏か源信?
有罪の根拠 
      取り調べの中で善男が偽証したから放火も善男の仕業
     だと決めつける
→ 大伴氏・紀氏の13人が配流
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