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参観会・懇談会資料 ⑪ [読書記録 教育]

「『子どもを非行にする十力条』
1 子どもに学習を強いること。
 2 夫婦婦喧嘩は派手にすること。
 3 不平はたゆみなく主張すること。
 4 子どもを徹底して大切にすること。
 5 夫婦は教育理念を違えること。
 6 子どもの要求は何でも聞き入れること。
 7 子どもの人格を常に評価すること。
 8 子どもは勝手に行動させること。
 9 常に子どもを他人と比較すること。
 10 流行に遅れない子どもにすること。」
若林繁太『教育よ、よみがえれ』講談社 1985




今回は、わたしの教育ノートから、4月21日に続いて、
キーワード「参観会・懇談会資料」11回目の紹介です。



懇談会資料として使えるなと思ったものをに
教育雑誌、教育書籍より、ノートに要約したものです。



教育界では東井義雄さん、若林繁太さん、著名な方です。



今回も前回に続き、草柳大蔵さんが書かれたものからの要約です。




今回紹介分より強く印象に残った言葉は…

・「わしこそ、幸せのど真ん中。こんな遠いところまでせがれが来るもんなあ」

- 「しあわせのど真ん中」、いい言葉ですね。いつか使ってみたい。


・「父とは生涯に3度叱りつける存在である」
「①嘘  ②友達への裏切り  ③母への手向かい」


・「子どものゴールを考える。それが家庭教育の基本なのにね。」
「①職分  ②自己形成  ③思いやり」


・「もっぱら学校教育の中で、進学体系の何番目に自分の子どもを当てはめるか、それが
  お父さんやお母さん、殊にお母さんの価値観だったのではないですか。」





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☆参観会・懇談会資料 ⑪ 


◎草柳大蔵

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◇父とは生涯に3度叱りつける存在

 東井義雄先生という大変な指導者がいらっしゃいました。


 この先生が、6年生の理科の時間に、カエルを一匹ずつ捕まえて解剖をさせたんです。


 先生が教壇の上に立っていると、ヒソヒソと子どもたちが何かをつぶやいている声が聞
こえる。


「何を言っているんだろう?」

と教壇から下りて耳を澄ますと、


「カエルさんごめんね。カエルさんごめんね」


と言いながら、カエルのお腹を子どもたちが開いていたというんですね。


「この『カエルさんごめんね』に対してどう答えてやるか。子どもたちが納得するように
 答えられるのが教師ではないかと子どもに教えられた」


とエッセイの中で書いていらっしゃる。


 私は息を呑みました。


 こういう人が本当の教師なんだな、と思いました。



 東井先生のお父さんは、貧しいお寺の和尚さんでした。


 生まれついてのお人よしで、他人の借金の連帯保証人になったために差し押さえをくら
い、お寺の中のものをすべて持っていかれてしまったんですね。


 それでもお酒をやめないで、時々道で寝ていたんだそうです。


 先生はお父さんを起こして、その重い体を引きずってお寺に運んだけれども、どうして
もお父さんが憎めなかったそうです。


 その後、師範学校にお入りになるのですが、いよいよお父さんが、お酒の飲み過ぎで肝
臓を悪くしてお亡くなりになるんです。


 その臨終のときに、「チチキトク」という電報を貰った東井先生は、深夜に10キロの
道を自転車を漕いで駆けつけるんですね。


 そのときお父さんが目を覚まして、


「わしこそ、幸せのど真ん中。こんな遠いところまでせがれが来るもんなあ」


と言った。


 それが臨終の言葉だったというんですね。



「わしこそ、幸せのど真ん中」、



ちょっといい言葉ですね。




 また、升田幸三さんという将棋の天才がいます。


 この方のお父さんも村一番の飲み助で、その上に博打好きなんですよね。


 升田さんは、子どものころから将棋が強かった。


 そこで、家出を決意するんですね。


 それをお父さんに言うと暴れて怒られるから、墨をすって、細い筆を探してきた。


 お母さんが一所懸命に仕立物をして家計を支えているのですが、そのお母さんのものさ
しを裏返して、


「日本一になるまで帰りません」


と書いて家出をし、大阪に出てくるんですね。                  




 教育者の森信三先生が、


「父とは生涯に3度叱りつける存在である」


と言っています。


 1番目は、子どもが嘘をついたり、盗みを働いたり、弱い者いじめをしたときはこっぴ
どく怒れ。



 2番目は、人を裏切ったとき。

 友人でも、先生でも、社会の人でも、とにかく自分の子どもが卑怯な心から人を裏切っ
たときはこっぴどく怒れ。



3番目は、母親に手向かったときにこっぴどく怒れ。



 この3つを挙げていらっしやいます。



 また、「父は働いている姿をなるべく見せろ」


と言うんです。これはいいですね。







◇子どものゴールを考える

 若林繁太さんという大変な教育家がいらっしゃいました。


 高校の校長先生をお務めになった方ですが、1985年に『教育よ、よみがえれ』(講
談社)という本を出していらっしゃいます。


 その中に「子どもを非行にする十力条」というのがあるんです。



 この十力条を読むと、そのころから日本の教育は一斉に崩壊を始めたということが分か
るんですね。



 読んでみます。(前掲書より抜粋)

 1 子どもに学習を強いること。


 2 夫婦婦喧嘩は派手にすること。


 3 不平はたゆみなく主張すること。


 4 子どもを徹底して大切にすること。


 5 夫婦は教育理念を違えること。


 6 子どもの要求は何でも聞き入れること。


 7 子どもの人格を常に評価すること。


 8 子どもは勝手に行動させること。


 9 常に子どもを他人と比較すること。


 10 流行に遅れない子どもにすること。



 どうしてこの十力条にあてはまるようなことを、父親母親、殊に母親が言うようになっ
たかというと、やはり、子どもをどういう人間に育てるか、という子どものゴールを親が
考えたことがないからなんですね。


 子どものゴールを考える。それが家庭教育の基本なのにね。



 第1は職分です。手に技を持つこと。

「何か世の中に役に立つことをしたい」という子どもがいたら、その夢を叶えてやればい
いんですよ。


 つまり、生きていくための技術なら何でもいいんです。


 問題は大学を出ることではないんですね。




 2番目は自己形成です。

 自己形成というのは、自分の意見を自分の言葉でハッキリと言えるような人間にするこ
と。



3番目は、他人に対する思いやりです。


 この職分と自己形成と他人に対する思いやり、この3つが家庭教育の基礎なんですね。



 もっぱら学校教育の中で、進学体系の何番目に自分の子どもを当てはめるか、それがお
父さんやお母さん、殊にお母さんの価値観だったのではないですか。


 ですから、大学に入ってしまうと、「もうゲームは終わった、競争は終わった」といっ
て、急に子どもから無関心になっていく。


 子どもの方も「もう勉強しなくていいんだ。バンザイ!」というようなもので、ますま
す人格も能力も低下していく。



 こんなことを言われて怒っている親の多いことを祈ります。



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